産婦人科医への嫌悪感・・・・・439

ちよみ

2010年03月20日 11:21

~ 今 日 の 雑 感 ~


産婦人科医への嫌悪感



    産婦人科医という存在は、人間が生命を産み落とさねばならない宿命にある限り、絶対的に必要な職業ではある。

    しかしながら、その最も必要としている女性たちに訊ねれば、数ある医師の中で最も嫌悪感を抱く存在であるということも事実らしい。

    これは、ある女性から聞いた話であるが、さる産婦人科を受診した時、その男性医師が、彼女に男性経験があるかと訊ねたそうである。

    こういうことを訊くだけでも、その女性は、その男性医師を失礼な奴だと思ったのだそうだが、まったくないと、答えたところ、その医師は、如何にも面倒くさそうな顔をして、

    「困るんだよな。少しぐらいやっておいてもらわないと、診にくくて-----」

    と、平然と言ったのだそうである、その何とも破廉恥な言葉を訊いた女性は、思わず、

    「すみませんね、品行方正で。売春婦の方が良かったみたいですね!」

    そう言って、医師の前から憤りと屈辱の気持ちをかかえつつ、激しい憎悪に震えながら、診察を拒否して立ち去ってしまったのだそうである。

    彼女は、あとで、実に悔しそうにこう言っていた。

    「あの医師は、女性を物としか見ていないのよ。こっちの気持ちなどどうでもいいの。自分が診察しやすければ、それがいい患者なのよ。だったら、自分の娘にも同じことが言えるのかって訊いてみたいわ。娘に向かって、『お前、お父さんが診察しやすいように、その辺の男とセックスして来い』って、言えるのかってね。だから、男の産婦人科医なんて、ロクでもない奴ばかりなのよ。あたし、あんな医者にかかるのなら死んだ方がましだわ!」

    では、その反対に、既に何人も子供を産んだことのある女性が、また別の産婦人科医にかかった時、今度は、その別の医師に言われたそうである。

    「それだけ産めば充分でしょう。まだ、やりたい訳?」

    その女性は、その言葉に愕然としたそうである。その医師の自分を蔑んだような目つきが、忘れられないと怒る。しかも、その医師は、こんなことまで言ったのだという。

    「患者の顔なんか、いちいち覚えちゃいないよ。あそこの格好なら、一目瞭然で判るんだけれどね」

    つまり、女性は、産婦人科の医師にとってみれば、誰もかれも物なのだと、彼女たちは言う。

    女性を一人の人間として、尊厳を持って扱おうと思う気持ちがないのだと-----。

    だから、ささいなことでも、訴えてやりたくなるのだと。
   
    そうすれば、その女性が言葉を持ち、感情を有する『人間』だということが理解できるであろうと。

    女性が最も見られたくない部分を、しかも赤の他人に診せねばならないのだから、その代償は大きいのだと。

    「根がスケベな人間じゃなければ、どだい、産婦人科なんて、男性医師が選ぶ訳ないじゃない」

    そう言って、自虐的な笑い声を立てた女性を見ながら、わたしは、背筋が寒くなるのを覚えた。

    
   
<今日のおまけ>

    医師と患者の関係ほどデリケートなものはない。

    患者は、医師の前では、平気で無防備になるものだから、いったん、その信頼が崩れた時は、騙されたという気持ちの方が、より大きくなるのだ。

    実は、わたしも、二度とかかるまいと思う医者がいる。信頼したこちらがバカだったのだろうが、医者もピンキリなのだということが、その医師に会ったことで知ることが出来た。

    しかし、田舎では医者を患者が選ぶようなわけにはいかない。移動手段がある者はいいが、それがない場合は、そこにいる医師に治療を頼むしかないのだ。

    そんな中において、ほんのささいな言葉が、取り返しがつかないほどの憎悪の芽を育ててしまうこともある。

    そんなことにならないためにも、これからの医療人は、ますます「言葉」というものの重要性を認識して頂きたいものである。

    
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