壊されたピアノ・・・・・198

~ 今 日 の 雑 感 ~


♠♠ 壊されたピアノ ♠♠


    戦時中の話です。

    わたしの母がまだ小学校の低学年だったころ、東京から空襲を避けて信州へ疎開していた住友財閥のお嬢さんにピアノを教えて頂いていました。

    このお嬢さんには、肺結核をわずらうご主人がいて、このご主人の看病をしながら、レッスンをして下さっていたそうです。

    流石に、財閥家のお嬢さんだけに、いつも真っ白なボウタイの付いた絹のブラウスを着ていて、品の良い女性だったと母は話します。

    そして、やがて終戦を迎え、信州の片田舎にもアメリカ軍の兵隊たちが進駐して来ました。壊されたピアノ・・・・・198

    彼らは、志賀高原にあった老舗ホテル「志賀高原ホテル」を接収し、そこで、毎晩のようにパーティーを行ったということです。しかし、音楽好きの彼らは、どうしても何か楽器が欲しくなり、目を付けたのが、この住友財閥のお嬢さんのグランド・ピアノだったのでした。

    ある日、母がいつものようにピアノのレッスンに先生のお宅を訪れると、先生が、寂しそうな顔で、

    「ごめんなさいね。今日からレッスンはお休みします。先生のお家からピアノがなくなっちゃったの」

    「どうしたんですか?誰かにあげちゃったんですか?」

    「・・・・・・・・」

    先生は、詳しいことは教えてくれなかったそうですが、母が家へ戻ると、お蕎麦屋をやっている祖父が、

    「たぶん、志賀高原(やま)の進駐軍に持って行かれちまったに違いねえ」

    と、話したそうです。

    やがて、アメリカの日本進駐が終わり、ピアノは、先生の元に戻って来ましたが、それはひどい状態で、とてもまともな音が出るものではなくなっていたのです。アメリカ兵は、日本人のようにピアノは大切な楽器だから、むやみに子供が触ったりしてはいけないというように、敬意を払うというような気持ちは全く持ち合わせていません。

    平気でその上へ上って酒を飲んだり、足踏みをしたりなど当たり前のようにやってしまうのです。つまり、彼らにとってピアノは、酒場の遊び道具程度のものなのです。

    そんな乱暴な扱い方をされたものですから、もはや、調律して済む問題ではなくなっていました。

    信州が好きで、ピアノの先生をしながらこの地で暮らし続けたいと思っていた住友のお嬢さんは、ご主人が病気で亡くなったのを潮時と、東京へ戻って行ったそうです。

    アメリカ人の物に対する敬意の無さは、小さな母の記憶にもしっかりと刻まれ、未だに彼らに対する侮蔑の念が消えません。物事の良し悪しが理解出来ない人間など、人間としての価値がないとさえ言います。

    しかし、戦争直後の荒れてささくれ立った進駐軍の気持ちと、今現在のアメリカ人の気持ちとでは、かなりの違いがあるとは思うのですが、やはり、母のような体験をした人の気持ちの底には、アメリカ蔑視は、拭いきれない感情のようです。 

<今日のおまけ>

    『たかじんのそこまで言って委員会』で、面白いことが話されていた。

    「美人が多い国ほど、過去に他国からの侵略を繰り返されていた国だ」と、いうのである。

    つまり、その国に他国人が入り込み、子孫が生まれ続けて来たことで、混血が混血を産み、その過程で多くの美人が誕生することになるのだそうだ。

    翻れば、日本のように他国からの侵略がほとんど歴史上皆無に近い国は、混血になりようがないため、純粋な大和民族が多く、美人は出にくいというのが本当のところらしい。

    確かに、日本人の美人は、おしなべて一般人とさほど変わりがないくらいの「美人度」である。

    まあ、考えようによっては、特別な美人もいなければ、最悪のブスもいないということなのだろうが、こういうナカラの女性たちを見慣れている日本の男性は、むしろ、ご自分の奥様はあまり美人でない方が、気分的に落ち着くのかもしれない。(爆)



    ところで、昨日の「チーム・バチスタ第二弾(ナイチンゲールの沈黙)」やっぱり面白かった!face02

    脳外科医って、孤独な仕事なんですね~。指だけでなく、足でも機械を操作するんですね。身体中の神経が四方八方に行き渡らないと出来ない仕事なんだなァと、感心しました。

    でも、ドラマ中の脳外科医の西園寺先生が言っていた、「自分は鞄を持たない。重い物を持つと、手が震えることがあるので、細かい作業に支障をきたす恐れがある」と、いうような意味の言葉-----あれって、楽器を演奏する人にも言えますよね。

    ピアニストになりたいなら、手を使うスポーツは諦めなさいと、いいますから・・・・。

    まあ、わたしは、なるつもりはないので、バレーボールなんか平気でやっていましたけれどね。

    やっぱり、白鳥、田グッチー先生のコンビはいいですね~。icon06
    


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この記事へのコメント
病院って本当に不思議なことが沢山おこるんですね。少年の心を持っていないと入り込めないというか見えない空間があるんですね。あの火事で燃えてしまった緑風荘も座敷わらしを見ることが出来たのはやはり少年のような純粋な心の持ち主なんでしょうかね。福田赳夫さんなど有名な方々もわざわざ訪れて・・・少年の心があったんでしょうか?

子供の名前ですが 最近の育児雑誌には「赤ちゃんの名前事典」のようなものが付録についてきて
いまどきの名前が多く書かれていますよ。そこから決めるご両親もいらっしゃるんでしょうね。
基準が「音」だったりしますよ。私の場合は字画やら五行だったりしましたが…。うちは地味な名前で誰もが読める昔からある名前なんです。習字で書いて真っ黒になってしまうようのは避けたかったし。。。
仕事をしていて困るのは名前がパソコン入力では容易に出てこないんです。漢字に弱い私が苦労するのはソコなんです。
何度も聞き返すのは失礼かなぁとも思ったりね。
将来名刺を作るときはフリガナが必要な時代になりますよね。
Posted by り・まんぼーり・まんぼー at 2009年10月11日 16:34
ちよみさん書き込みする所間違えてしまいました
確認が足りない私ですみません
Posted by り・まんぼー at 2009年10月11日 18:02
り・まんぼーさまへ>

 いえいえ、何処へ書いて下さってもいいですよ。気にしないで下さい。

 このお年寄りたちも、子供の純粋な心だからこそ見ることが出来る霊だったんでしょうね。疑うことを知らないということは、ある意味、すごいことですね。
 
 緑風荘の話は、わたしもテレビで観たことがありますが、火災があったんですか。では、もう、座敷わらしは見ることが出来ないんですね。福田さんも泊まられたことがあったんですね。座敷わらしを見ることが出来たから、総理になれたんでしょうか?
 昔、わたしの友人で青森県出身の女性が言っていたのですが、「わらすさまなら、あたしの家にもいるよ。いつも階段を上り下りしているし、時々部屋にも来る」とのこと---。家の守り神だそうです。

 子供の名前ですが、小学一年生になった時、自分で漢字で書けないような名前は、つけない方がいいと思います。また、先生が必ず「なんて読むんだ?」と、訊くような名前も感心しませんね。最近の親は、簡単に自分の好みに合わせて子供の名前をつけますが、一度聴いても判らないような名前は、子供にとっても不幸です。
 それから、これは、近所のお年寄りから聞いたことなんですが、たとえば「ただのぶ」という名前があったとして、ニックネームで呼ぶ時、「ただちゃん」とは言いにくいですよね。「のぶちゃん」と、下の二文字を使う呼び方になると思うのですが、こういう呼び方になる名前は、あまり出世しないということです。
 パソコン入力の際に、出て来ない漢字というのも確かに困りますよね。やはり、子供の名前は、親の趣味ではなく、子供のことを考えてつけるべきだと思います。
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月11日 20:29
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