志賀高原は、再生できるか?・・・・・195

~ 今 日 の 雑 感 ~


志賀高原は、再生できるか?



    この間、親戚の家へ遊びに行った時、志賀高原観光が低迷しているという話になった。

    県内のスキー場利用者も、1992年のピーク時から比べると、四割水準にまで落ち込んでいて、ここへ来ては、志賀高原のスキー場の数もこれまでの二十一から二つ減り、全部で十九スキー場になってしまったということである。

    ちょうど、そこへ来ていた近所の高齢の主婦が言うことには、「わたし、志賀高原に限らず、ホテルとか旅館とか聞くと、本当に腹が立つんだよ。特に、あの『ご贔屓に-----』って言葉、あれなんとかならないもんかね。木で鼻を括ったようで、感じの悪いこと」とのこと。

    その主婦が、どうしてそんなに宿泊業に対して敵意を持つのか理由を詳しく聞くと、過去に次のような苦い経験があったのだということだった。

    彼女は、まだ高校生の頃とても成績がよかったので、どうしても進学がしたくて親に頼むと、親も短大への進学を承諾してくれて、本人も喜んでいたのだという。

    しかし、その噂を聞き付けた近所の旅館の旦那が、いきなりその主婦の家へやって来て、「うちのような旅館の娘が進学をあきらめているのに、小さな商売屋の娘が短大へ行くなどおこがましい。もしも、進学なんかさせたら、もう、お宅の品物はうちでは取らないからそのつもりでいろ!」と、怒鳴ったのだそうだ。志賀高原は、再生できるか?・・・・・195

    その主婦の実家は、雑貨や食品類を扱う商売をしていたため、その旅館が大のお得意先だったという。そこで、主婦の両親は、長女である彼女の下にもまだ何人かの子供がいたので、旅館にそっぽを向かれてはかなわないと、彼女に進学をあきらめさせたのであった。しかし、その旅館の娘が進学を断念したのは、学校の成績が悪かったためで、その主婦と何の関係があるのかという話なのだ。

    「昔の旅館は、そういう傲慢で横暴なところがあったんだよ。だから、別に志賀高原の旅館やホテルに恨みがある訳じゃないけれど、威張り散らしていたことには変わりがない。ダメになってざまァ見ろって感じだね」

    主婦は、そう言ってアハハと、笑った。

    そういう話は、わたしも以前に聞いたことはある。旅館は、小売りの商売をしている店などを下目に見る傾向が未だにあると思うし、旅館は旅館だけで固まって観光地を自分たちだけで盛りたてているような錯覚に陥っていることも事実である。その弊害が、現在の観光業をダメにしているということにもまったく気が付いていないのだ。

    その最たる典型が、志賀高原のホテルや旅館なのである。

    和合会という組織が志賀高原のすべてに影響を及ぼし、恵まれ過ぎるほどの自然に頼りきり、消費者のニーズを無視した殿様経営を続けたおかげで、我こそはという気風ばかりが目につき、新戦略に思い切った舵が切れないばかりか、まとまりの悪いことこの上ない。

    効率のよい団体客の取り込みにばかり力を入れて、個人客を大事にしてこなかったツケも大きいといえる。

    さらに、深刻なのが、男尊女卑の考え方の根深さである。和合会には、女性は入ることが出来ない。山ノ内町の沓野地区に住む一家の長男のみにしか入会の権利が与えられないのである。これでは、新鮮なアイデアなど浸透することは出来ず、また、女性の持つ柔軟でおしゃれな発想も、行きわたらせることすら出来ない。

    「志賀は、マーケティング理論を無視している」と、苦笑する経済専門家もいて、その人が言うことには、「志賀高原のホテル経営者たちも、自分たちのこれまでの歴史に固執し続けるばかりでなく、他の観光地の旅館やホテルへ自分たちも泊まってみて、勉強することが必要だ」と、説いている。

    しかし、どんなに専門家が的確なアドバイスをしても、その大切さを実感していないのでは、「馬の耳に念仏」と、揶揄されても致し方ない。

    話は、前記の主婦に戻るが、彼女は、未だかつて、近所の旅館の女将たちと親しく話をしたことはないという。「向こうもこちらを下目に見ているみたいだし、こっちも、あんな人たちとは住む世界が違うと思っているから、きったなおっかなもん(表面上は敬いつつ、内心は軽蔑して避ける)にして、近寄らないようにしているよ」

    どうやら、古くからの観光地が低迷する理由は、こうした地元住人と宿泊施設との間の根深い冷戦構造にもあるようである。

    志賀高原の低迷不況も、案外こういうところにその根本原因があるのかもしれない。

    県外の誘客にお門違いの知恵を絞る前に、もっと地元の意見を聞き、地元の住人たちと密接に情報交換を行うことの方が、再生への近道のように思うのは、わたしだけであろうか・・・・・。

<今日のおまけ>

    きのう、弟が、喉にエビのひげが刺さっているようで、おかしな感じがして困ると言ってやって来た。

    「歯医者さんへでも行ってとってもらえばいいのに-----」と、言ったが、本人は忙しくてそんな時間はないという。

    では、わたしが見てみようと、懐中電灯で喉の奥を照らしてみると、「あった。扁桃腺の所に引っ掛かっている」

    さっそく、ピンセットで摘まみ出そうと、トライ!喉の筋肉の動き方で、見えては消えてしまうため、慎重に・・・・。

    三度目のチャレンジで、うまく取り出すことに成功した。いくら、パリパリに揚げたエビが好きでも、これからは、よくかんで食べて欲しいものだ。face03

    

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この記事へのコメント
今晩は。
う~ん、正直言って難しいでしょう・・・。
我社もそうですが、かなりの「殿様業」です。クチでは社員に忌憚ない意見を求む。とは言いながら検討したり取り入れる気はありません。
県内では大きな会社だから、ブランドだからとあぐらをかいてるとしか思えません。
いつまでも長野県は観光県だとは言っていられないんですが。そもそも、観光地の方々が他県の様子を的確に捉えてないんでしょう。はっきり言って「敵」を解っていない。どうして、流行っているのか流行っていないのかを比較検討してないんですよね。情けないことに・・・。
実際に九州・黒川温泉などは人気があるしそれなりに人も入ってます。温泉組合の若手がかなり頑張ったと聞いてますが。
折角、松本大学の観光ホスピタル学科があるのですから、そういうところと意見交換などはできないのでしょうか?
Posted by ティンク at 2009年10月08日 20:09
ティンクさまへ>

 正に、そこなんですよね。
 ティンクさんの会社も、そういう経営体質なんですね。これまで、独り勝ちして来た歴史が長いために、時代状況に合わせた身軽な転換が出来ないのですね。
 志賀高原の観光業者たちも、その古い体質から抜け出せないでいるのです。おそらく、このままではまずいということは、薄々判りかけては来ているのでしょう。ですから、今まで和合会がすべて仕切っていたやり方を改めて、外部資本を入れようという動きも出て来たのだと思います。しかし、その外部資本が「こうしたい」と言えば、「それはダメだ」と断るといったことの繰り返しで、まったく、本心から反省しているという姿勢が見えません。
 自分たちがもっと謙虚に他県の観光を勉強するという気持ちもなく、シンポジウムなどを開いても、形ばかりに専門家の意見を聞くだけだということです。
 地元には、「志賀は、もう何をやっても無駄だ」との気運さえ生まれて来ていると聞きます。
 おっしゃるように、ホスピタル学科の教授や学生さんたちの意見なども参考にするとよいのですが、彼らの気持ちの中には、「学者の意見など、机上の空論だ」という、疑心暗鬼もあるようで、「これまで佐久間象山さんから頼まれ、必死に守ってきた山を、壊されてたまるか」と、いう思いから、どうしても抜け出せずにいるのだと思います。
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月08日 21:21
鋭い指摘、、、いえいえ、ご指導すみませんです~~
あたってます、私も町内に住んでて和合会??? う~???何処かの組組織?と思っていましたから、、、。

でも嫁に来たのであまり嫌い嫌いと言ってられません、、、←もぉ言ってるけど、、、。

私が中学生の頃も似たような事がしばし、
進学の話ではありませんが、当初スキー部は旅館、ホテル経営の子供達ばかりしかいませんでした、そぉです、スキー部は大金がかかり、一般の家庭では毛頭入れる訳もなく羨ましい目で見ているしかなかったのです。

このままではいけない、、、と言うのはもぉ10年も前から言われているそぉです、
が、本当に心から治す(もぉ病気ですね)までにはまだまだ時間がかかると思います、
今の60歳代以上がいるまでは無理です!!

守って来たものは壊さなくても、今あるのもでなんとかすれば良いのです~~

ここでは言えないお話も色々あります。

若い者は改善しなければいけないんだ!!!
と思っているはずです。
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2009年10月11日 10:44
自称 美人女将さまへ>

 和合会の会員は、英国でいえば、「紳士クラブ」のようなイメージを組織に抱いているのだと思います。何故、このような変則的な運営方法をしているのかということが、この前新聞に書いてありましたが、土地を守っている長男と、家を出ている次男、三男が、同じように遺産を相続することをよしとしない考え方から、長男のみの一子相伝としたということでした。
 この前、新しい志賀高原像を期待する渋在住の人が、この和合会に入会させてほしいといったのですが、沓野に住んでいないという理由で、きっぱり断られたそうです。このことも、新聞に載っていました。
 若い人たちが変わらなければいけないと思う気持ちは、よく判りますし、きっと地元の人たちもそう思っていることでしょう。しかし、古くからの観光地というものは、どうしてもプライドが優先してしまうのです。特に、志賀は、ロイヤルリゾートの誇りがありますから、他の観光地とはその度合いが違います。「貧乏人は、遊びに来るな」の気持ちさえあるのではないでしょうか。
 このプライドの壁を少し低くすることで、打開策も見えて来ると思うのですが、そんなことを言えば、以前の中野市との合併問題の際の反対派のように、「志賀は、山ノ内町から独立する」とも言い出されてしまうでしょうね。そうなると、志賀高原に水源を握られている山ノ内町は、莫大なお金をかけて水を志賀から買わなくてはならなくなってしまうと、言う地元の人もいました。

 また、近いうちに、山ノ内町の観光問題についてブログにアップしたいと考えています。女将さんたちには、耳の痛い話が続くと思いますが、「面白すぎるブログ」ですから、ご了承下さい。(^◇^)
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月11日 12:36
今風の言い方で、、、
全~然~大丈夫です!!!!
第3者からの意見が大事だと言う事を分かって欲しいものです。
本当は和合会の席にいらして一言物申して頂きたい所です><
が、、、、馬の耳に念仏、、、どころか馬の耳に耳栓の状態でしょうね、きっと~~

なんのこっちゃ、、、~~
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2009年10月11日 14:51
自称 美人女将さまへ>

 わたしのような素人の意見よりも、同業者である女将さんたちの意見を、和合会の人たちには聞いて頂きたいものですね。
 山の上から見ている景色では、判らないこともたくさんあると思いますから。ただ、和合会の人たちと議論するためには、膨大な知識が必要です。つまり、今までは、理屈で彼らに敵う者たちがいなかった訳です。それには、会員たち以上の知識を持つ上にそれなりの地位のある人が、志賀高原の将来について説得する必要があるとおもうのです。
 それがお出来になる人は、今の日本にたった一人しかおられないと思うのですが、まあ、絶対にあり得ない話ではありますがね・・・。(^_^;)
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月11日 18:29
おはようございます^-^

それが何方か知りたいです~~ ><

うちの社長(旦那)でもいける感じがします!!!
60歳になるけど、、、。
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2009年10月12日 09:56
自称 美人女将さまへ>

 女将さんのご主人、還暦なんですか?
 すごく年の離れたご主人なんですね。それでしたら、その地域の歴史文化にもお詳しいことでしょう。ご主人にいろいろお聞きになれば、詳しく教えて下さるでしょう。
 ご主人ならば、たぶん、その方がどなたなのか、お判りになると思いますよ。
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月12日 11:47
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