仮設入居が進まないわけ・・・・・1056

ちよみ

2011年06月12日 22:11

~ 今 日 の 雑 感 ~


仮設入居が進まないわけ




    東北の被災地で仮設住宅への入居が進まず、空き部屋が幾つもあるという。

    テレビの報道番組では、その理由を調べるため、被災地の現状がどうなっているのか追っていた。

    被災地の自治体では、抽選にあたった場合、少なくとも二週間以内には避難所から出て、仮設住宅へ引っ越して欲しいと話していたが、入居しないままに仮設の鍵を持ち姿を消してしまった当選者も多く、所在をつかむにつかめないと、困惑していた。

    それにしても、どうして、このような事態が起きているのか?

    仮設に当選しているにもかかわらず、未だに避難所での生活を続けている男性に、理由を訊ねたところ、

    「自分は七人家族で、震災で職を奪われてしまったので、今はアルバイトで生活している。給料は、これまでの半分になってしまった。もしも、このまま家族で仮設へ入れば、その日から食費も光熱費も自分たちで出さなくてはならなくなる。でも、このまま避難所にいれば、食事もただだし、生活用品などの物資も無料で支給してもらえる。だから、今は、ここから出ることは出来ない。しかし、避難所から出るようになった場合、仮設がないと路頭に迷うことになる」

    と、いうことであった。

    つまり、今は、二股かけておかないと、不安で仕方がないということなのだろう。

    しかし、そうして当選しても入居しない人がいる一方で、入りたくても抽選に漏れて悔し涙を流している人もいるのだ。

    これは番組取材とは別の避難所だったが、奥さんが人工透析が必要で自分も身体が弱く高齢のため仮設へ早く入居したいのだが、遠方だが一応息子がいるということがネックになったためか、抽選に外れてしまったと、泣いていた男性もいた。

    とにかく、今回の震災では、行政や企業の思惑と、被災住民の希望がほとんど合致しないというミスマッチが異常に多いような気がする。

    政府や企業側が良かれと思い行なった就職支援も、結局、地元の被災者には受け入れられず、未だに就職出来ない人があふれている。

    他県での就職を斡旋したものの、どうしても、地元を離れたくないというのだ。

    福島県の避難準備地域に指定されている人たちも、地域の高濃度の放射能汚染が判った時点で、自主的に避難するかと思えば、土地を捨てたくはないという。

    政府は、命が大事なら何を置いても自主的に避難するだろうと考えたのだが、何故か彼らはそれをしない。

    これもまた、計算外だったといえよう。

    別の番組だが、一人の農家の主婦が発言していた。

    「もう、放射能で汚染された畑では野菜を作れない。どうしても出て行けと言うなら、(収入に見合う)お金を下さい」

    でも、本当に命が大事なら、そんな悠長なことは言っていられないと思うのだが、彼女たちはどうしてそうまでして危険な場所に居続けられるのだろうか?

    東北地方の人たちの気持ちが、信州人のわたしには、どうしてもいまひとつ良く判らないというのが、本音である。

<今日のおまけ>

    テレビニュースで放送していたが、栄村の高齢者たちは、これほどの大きな災害に見舞われながらも実に前向きだ。

    自宅や田畑を失いながらも、生きること、生活することの意欲を失ってはいない。

    村を出て新たな人生を築こうという積極派も多い。

    むしろ、慌てた島田村長の方が、村を出て行く住民を何とか足止めしようと、村営住宅の建設を急ぐという。

    今日は、村の復興のテコ入れイベントとして、村民総出で30メートルの巻き寿司作りに挑戦したそうだ。

    栄村の高齢者に、信州人の底力を見た思いである。

    
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