靴が脱げない・・・・・380

ちよみ

2010年02月09日 12:44

~ 今 日 の 雑 感 ~


 
 靴が脱げない



    先日、ちょっとした用事で近所にあるクリニックへ行きました。

    クリニックの自動ドアを開けて中へ入ると、午後の診療時間が始まったばかりだというのに、既に、シューズボックスは満杯状態で、わたしは、その中からようやく一つの空きボックスを見つけて、自分の靴を入れ、スリッパを履きました。

    そして、待合室へと行こうとした時、先ほどから、傍らで靴を脱ごうとしていた八十代の女性が、声をかけて来たのです。

    「あの~、悪いんだけれど、靴、脱がしてもらえない?」

    「・・・・・・?」

    見ると、その女性は、片手で杖を持っているのですが、もう片方の手は、まったく麻痺した状態で、小さくすぼめたままです。履いている靴は、マジックテープ付きのリハビリ用シューズなのですが、杖を持っている方の手を放すと、身体が倒れてしまうのです。

    ですから、玄関で靴を脱ぐことが出来ずに、先刻からずっと悪戦苦闘していたというのでした。

    一緒に来てくれるような家族の姿も見えません。おそらく、不自由な身体でクリニックまで一人で歩いて来たのでしょう。脳溢血でも患ったのか、言葉も明瞭とはいえないため、何となくくぐもり声で話すので、他の患者さんたちには助けを求めることが出来なかったのだと思いました。

    わたしは、「大丈夫ですか?」と、言いながら、その女性の靴を脱がせ、彼女が待合室へ入りやすいようにドアを開けて待っていました。

    それでも、その歩き方は、ゆっくりです。そろそろと、足を擦るようにしか歩けないため、やっと待合室へ入り、空いている椅子を見つけて腰を下すまで、かなりの時間を必要としました。

    待合室は、大勢の患者であふれかえり、わたしが腰を下ろす場所も見付からないほどの込み具合です。正に、立錐の余地すらないと言った具合で、最近は、総合病院にしか行ったことがないものですから、本当に、驚きました。

    その後、用事を済ませて帰ろうとするわたしを、その高齢女性は、じっと見ていましたが、何故か、彼女は、お礼一つ、会釈一つしようとはしません。

    「さっきは、ありがとう」と、言うことが恥ずかしかったのか、それとも、あのような身体になってしまったことで、他人に助けてもらうことが当たり前になっているため、いちいちお礼など言うことが面倒臭くなっているのか、いや、もしかしたら、わたしに靴を脱がせてもらったことすら、早くも忘れていたのか-----。

    いろいろ想像は出来ましたが、結局、女性は、知らん顔でした。

    でも、彼女は、今度帰る時も、おそらく靴を一人では履けないでしょう。必ず、誰かに手伝ってもらわなければならないはずです。きっとまた、そんな女性を見兼ねて手を貸してくれる人はいるのでしょうが、それでも、

    「年長者に親切にするのは、若い者なら当然のことだ」

    と、いうように、女性はおそらく無言で帰って行ってしまうことでしょう。

    何だか、社会全体が、甘えの構造で成り立っているようで、ちょっぴり寂しい気持ちになったのでした。

    
<今日のおまけ>

    皆さんは、スパークリング・ミネラル・ウォーターといえば、何を飲んでいますか?

    わたしは、『ゲロルシュタイナー』が好きです。

    もちろん、『ペリエ』も良く飲みますが、『ペリエ』のプレーンは、コーラなどを割って飲むのに適していて、『ゲロルシュタイナー』は、そのまま飲むのに適していると思います。

    
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