コウモリ人間
コウモリ人間
コウモリといえば、獣なのか鳥なのか判らないという外見から、どっちつかずの優柔不断人間を指す言葉である。
だが、それとは別に、敵対する双方に対してそれぞれに良い顔をするという、小賢しい嫌われ者につけるあだ名でもあるのだ。
そして、グループや集団には、必ずと言っていいほどこうしたコウモリ的な性格をもつ人間がいるものである。
そういう類の人間は、自分が相手から信頼されたいがために、その場その場で自分に都合の良い態度を見せる。
Aさんには、BさんがAさんのことを不快に思っていると言い、Bさんには、AさんがBさんのことを嫌っていると言う。
そして、自分はAさん、Bさんそれぞれに向かって、「わたしだけは、あなたの味方だ」と、耳打ちする。
そうやって、もともと仲の良かったAさんとBさんの間に無理やり亀裂を生じさせて、一人好人物を装うのである。
実は、ある母親グループにも、こうしたことが原因で大騒動が持ち上がったことがあった。
しかもコウモリ人間は、一人の役員男性だったのだ。
男性は、リーダー的存在の母親に取り入ろうとして、彼女が信頼していた別の母親が彼女の悪口を言いふらしていると告げ口したのである。
それだけではなく、その別の母親に対しても、今度は逆にリーダー的存在の母親が、「あなたの陰口をたたいている」と、告げたのだった。
愚かにもそのコウモリ人間の言葉を信じたリーダー的存在の母親は、自身の取り巻きである他の母親たちをけしかけて、もともと信頼していた母親を仲間外れにして口撃し、やられた方の母親と全面戦争に突入してしまった。
やられた方の母親も、決して泣き寝入りするようなヤワな神経の持ち主ではない。
味方の母親たちを集めて、法律まで持ち出して相手のグループを徹底的に痛めつけてしまった。
しかし、そのうちに、この仲間外れにされた方の母親たちが、そのコウモリ男の存在に気付いた。
この男性が、すべての元凶だということを知ったのである。
そこで、彼女たちは、男の口車に乗って憤慨しているリーダー格の母親たちとは距離を置くことにした。
そして、いつかその男性がありもしないデマを言いふらしていたということを、騙されている母親たちに向かって暴露してやろうと考えている。
それには、しっかりとした証拠を固めなくてはならないので、コウモリ男が、自分たちにもどのような相手グループの悪口を伝えていたのかということを記録し、いざという時の準備をしている。
そんな訳で、二つの敵対グループは現在没交渉になり、表面的には騒動も鎮静化しているように見えるが、このコウモリ男が再び動き出すようなことがあれば、その時は、すべての真実を明るみにしてやろうと、男性の正体に気付いた母親たちは、虎視眈眈と時期をうかがっているのである。
果たして、コウモリ男の運命や如何に?
それにしても可哀そうなのは、この男性の子供たちである。
父親が何をしていたのか暴露されれば、おそらくリーダー的存在の母親グループの子供たちとの間にも確執が生じ、本当の仲間外れにされる可能性もあるのだが・・・。
<今日のおまけ>
今日の新聞のエッセイに、
「海外のオリンピック選手は、スポーツだけのエリートではなく、選手を引退したのちも弁護士や医師になるなど、文字通り文武両道を貫いている人が多いのだが、日本選手にはそうした傾向がほとんどない。東大出のオリンピック選手がいない理由は、大学へ入ることが最終目的になってしまっているので、東大からオリンピックを目指そうという気持ちになれないからだ。それと同じように、オリンピックでメダルをとってしまった選手は、それが最終目標となるので、その後スポーツ以外の分野で活躍することが出来ないのだ」
と、いうものがあった。
確かに、選手引退後大学教授などになっている人は稀にいるが、やはり自分がこれまでやって来たスポーツ分野に限られている。
これは、日本の学校制度への観念が外国とは違うことに由来しているのではないだろうか?
海外で大学生といえば、30代、40代でも決して珍しくはない。が、日本では、相応の年齢以上の人が大学生をやっているだけでも、変わり者だとか世間体が悪いという偏見があるのも事実だ。
そこで、とにかく年齢相応の生き方をしなければならないと感じる世間一般の常識が、スポーツをやめたあとで別の道に進ももうという気力を萎えさせてしまうのではないだろうか?
加えて、スポーツでお金を使ったあとで、さらに勉強に費やす経済的余裕などないというのも、日本人が真の文武両道を実践できない大きな理由でもあるのだと思う。
関連記事