ある患者の投書

ちよみ

2012年08月19日 22:06

ある患者の投書




    インターネットが普及したせいもあり、最近の患者の中には、自分の病気についてネットで調べまくり、時に医師に対してまるで玄人はだしのような説明をする者もいるという話を聞く。

    自分がかかりたい医師も、ネット検索してから名指しで病院を訪ねるそうで、医師の立場がまるで美容師や理容師のような具合になりつつあるということである。

    中には、それが時代の流れなのだから当然と考える医師もいるだろうが、大半の医師は、頭でっかちな患者ほど迷惑なものはいないと思うそうである。

    新聞の投書欄に、やはり、持病の痛みに耐えきれなくなった60代の女性のこんな文章が、匿名で掲載されていた。

    女性は、ネットで検索して調べ出した目的の医師のいる某総合病院へ出かけ、看護師の問診の際にその専門医の診察を受けられる旨を確認したのだそうだ。

    いろいろな検査のあとで、三時間半も待たされて、ようやく診察をしてもらえることになったのだが、その医師は検査説明をほとんどせず、無表情で「一ヶ月は効く」と言い、注射をしたのだという。

    ところが、一ヶ月効くどころか、会計を待っている間にも痛みがぶり返して来てしまい、さらに職員に訊ねると、診察してくれた医師は、自分が指名した医師ではなかったことが判ったのだそうだ。

    その病院は、地域の基幹病院であり、患者が多いことは承知しているが、女性の知人には、「五時間待たされた」という者もいたらしい。

    「病院上層部の中には、『私に診てもらうならそのぐらい待つのは当たり前』という医師もいるとのことで、これでは、患者の辛い気持ちをまったく理解していないも同然だ。

    志して医療人になったのなら、心身に問題を抱えて苦しむ患者の思いや家族の思いを想像して欲しい。

    他の診療科でかかる病院では、二時間も待たせれば、医師が『長く待たせてすみません』と言う。

    その謙虚な言葉だけでも、半分くらいは心も楽になるのだが・・・」と、先の医師の態度や指名医師ではない医師に診察されたことに対して、女性は苦言を呈していた。

    

    わたしも病院にはしょっちゅうお世話になる身なのだが、この投書を読んでまず驚いたのが、初診時から自分がかかりたい医師を指名するという、この女性の度胸である。

    だが、おそらく看護師の問診や一通りの検査の段階で、彼女が特別深刻な状態にある患者ではないことが判ったのであろう。

    そうなれば、病院としても、ただでさえ受け持ち患者が多い医師に頼むよりも、手の空いている医師の応援を請うのは別段おかしな話ではないと思う。

    注射に関しても、「一ヶ月効く」というのは、「(治癒するまで)一ヶ月かかる」の聞き間違いだったのではないだろうか?

    専門医をネットで調べるくらいの女性だから、受診時には自分の症状についてもかなりの知識を医師や看護師に披露したのではないかと想像する。

    それを鬱陶しがられた可能性も捨てきれない。

    もしも、どうしてもその治療で痛みがひかないのならば、今度は五時間待つ覚悟で希望の専門医に診察をお願いしてみるしかないだろう。

    基幹病院は、高度医療に従事する専門医を揃えているだけに、どうしても命に危険が及んでいる患者の治療を優先することになる。

    わたし自身の経験からしても、朝8時30分に病院へ入ってから、何やかやで七時間待ってようやく診断が下ったということもあった。

    まあ、別に、即命にかかわる問題ではなかったからだろうが、飲まず食わずで待つのは少々大変だったが、その間にも数名の急患が到着し、院内には、

    「ただいま〇〇先生は、急患の処置にあたっていますので、申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください」

    というアナウンスが流れていた。

    もしかしたら、この女性が指名した医師も、そんな急患対応に回っていたのかもしれない。

    病院で長時間待たされた上に、希望の医師ではない人に診察され、痛みもひかないとなれば腹も立つだろうが、こういう時は、患者もある程度開き直って何度でも受診にトライしてみる覚悟も必要なのではないかと考える。
    

       
<今日のおまけ>

    「ほんとにあった怖い話」----今回は、今までになくドラマ演出が効いていましたね。

    ちょっと心臓に悪いけれど、それでも期待に添った怖さが秀逸でした。

    「呪われた病室」の天井の影も不気味でしたし、スギちゃん出演の「真夜中の最終電車」も気味が悪い話でしたね。

    「真夜中----」のあの恐ろしげな昔の看護婦姿の女性は、何者だったのでしょうか・・・。

    戦時中に空襲で亡くなった看護婦の霊だったのでしょうか?

    また、「赤い爪」は、長野県諏訪市が舞台でしたから、本当にあんな二股の道があるのかと思うと、何だかマジでヤバいなァ・・・と、思ってしまいました。

関連記事