過干渉に悩む子供たち

ちよみ

2012年10月27日 11:52

過干渉に悩む子供たち




    NHK総合で、親の過干渉に悩む子供たちのことを取り上げていた。

    生まれてこの方、着る服から友人に至るまで、ありとあらゆる物を母親(専業主婦)に決められた生活を強いられてきたという20代の女性は、今でも母親の意見に従い続けているそうである。

    彼女は、成人しているにもかかわらず、未だに門限を守らされ、両親には自分の意見を言うことが出来ない。

    「もしも、自分を主張して、親から見放されたら怖い」

    と、その理由を話した。そして、友だちも出来ず、家族の中でも孤独を深めて行った女性は、インターネットの世界に友人を探すことにはまり、チャットで知り合った行きずりの男性と肉体関係までも結んでしまうことになったという。

    「とにかく他人と話がしたかった。話を聞いてくれる相手なら、誰でも良かった」

    女性は、現在も親に隠れてネットで話し相手を探している。

    娘を汚れた社会から隔離して大事に育てようとした両親の過干渉が、逆に最愛の娘に援助交際までもさせる結果になってしまったのである。

    番組ゲストたちは、こうした子供への過干渉の親が増えていることについて、

    「親自身が世間との接点を持たないために、関心が子供だけに向いてしまう。子供が人生に失敗しないように、先へ先へとレールを敷き、結果、一人では何も出来ない子供を育てることになってしまうのだ。

    この女性も寂しいならば、バイトでも探して働けばいいのだ。職場で家族以外の人間との社会が体験できるし、話し相手も見付かるだろう。

    そして、母親自身もまた外で仕事をすればいい。家にばかりいて狭い世界しか知らないから、子供のことしか見えなくなっている。今は、親子そろって自立出来ない人が増えているのだ」

    と、分析していた。

    そういえば、ヤフーの知恵袋にも、正社員として仕事が決まった母親からの投稿で、

    「夫も了解のうえ、子供が中学生になったら仕事に出るため医療事務の資格を取った。すると、つい最近、正社員で働かないかという話をもらい、こんな機会を逃しては損だと就職を決めたのだが、小六の娘が、

    『家に帰った時、お母さんがいないなんて嫌だ』

    と、泣きだす始末。せっかくの就職を諦めたくないのだが、どうしたらいいか?」

    というものがあったが、小六にもなって母親がいないと困るなど、過保護が過ぎるという回答が圧倒的に多かった。

    確かに、近頃は、少子化も手伝って、子供に異常なほど干渉する親が増えているようだ。

    それが原因で、大人になっても他人とのコミュニケーションが苦手で、就職できないという人たちが多いという。

    子供の安全を考えるあまり社会から遠ざけ続けたあげく、人間として生きる術まで放棄させてしまい、三十歳を過ぎても引きこもりのままだという男性もいる。

    子供をそんな風にしてしまったのは自分のせいにもかかわらず、そういう子供を持つ母親は、「働いて生き方を見付けて欲しい」と、嘆くが、それこそが本末転倒だと、番組ゲストは苦虫をかみつぶした。

    「そもそも、そういう母親の考え方が間違っている。人は働くために生きるのではない。生きるために働くのだ。まず、生きなければ意味がない。子供を生かすということを知らない親に育てられた子供は不幸だ」

    しかしながら、品行方正で成績優秀な子供を育てることが、自分自身の評価を上げることにもなるのだと思い込んでいる母親は多い。

    自分と子供は一心同体。自分が果たせなかった夢を、子供に強いる親も少なくない。

    引きこもりの子供を持つ母親の一人がこんなことを言った。

    「自分の子供だけは、良い学校に入って欲しい。自分の子供だけは、良い会社に就職して欲しい---どうしても、そう考えてしまうんです」

    他の子供はどうでも、自分の子供だけは幸せになって欲しい----そんな親の過剰なエゴが、子供たちの心を追い詰めていることに、早く気付いて欲しいと番組は訴えているようであった。

    
<今日のおまけ>

    親からの過干渉に悩む子供もいれば、親の過剰な依存から脱出できずに困っている子供もいる。

    何処へ行くにも親が漏れなくついて来る。

    子供が自分たちを見捨てるのではないかという疑心暗鬼にさいなまれ、子供が一人で買い物に出ることも許さない。

    ましてや、子供が結婚するなどもってのほかである。子供に好きな人が出来ても、尽く縁談を潰して来た。

    そういう親も世の中にはいる。

    親の面倒を見るために子供は生活力もついてたくましく成長したが、上記の例とは逆の意味でその子供に家族以外の話し相手はほとんどいない。
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