宿泊客の秘密

ちよみ

2012年05月07日 22:01

宿泊客の秘密





    守秘義務----を辞書で調べると、「公務員に課せられた職務上の秘密を守る義務」と、書かれている。

    でも、こうした職務上の秘密を守る責任は、何も公務員に限らず医師でも弁護士でも教師でも飲食店の経営者でも、仕事を持っている人は誰しもが負わねばならないものだと思う。

    しかし、そうした仕事上知り得た情報を、ふとしたことから単なる不注意で第三者に漏らしてしまい、周囲の人たちに大変な迷惑をかけてしまったという、ある女性の話を耳にした。

    それは、もう今から数十年も前の出来事である。

    地元のある旅館に、毎年夏になると避暑を兼ねて約一月ほども滞在する年配男性がいたそうだ。

    男性は、東京の大きな商店の経営者で、その旅館にはいつも奥さま連れでやって来ていたのだという。

    その年の夏も男性は奥さまとともに旅館に長逗留したのち、女将さんや仲居さんたちに丁寧にお礼を述べて帰って行った。

    その後、旅館の女将さんは、その男性宛てに改めてお礼状を出すことを思いついた。

    「いつも当館へのご宿泊を頂きまして、誠にありがとうございます。----奥さまにもよろしくお伝え下さいませ」

    ところが、後日、この手紙を受け取った男性から怒りの電話が旅館へかってきたそうで、そのわけを聞くと、男性が旅館へ連れて来ていたのは妻ではなく、実は愛人だったということが判ったのだった。

    しかも、女将さんが出した手紙が奥さまの目に触れて、すべてがばれてしまったということであった。

    そんなことがあってから、その男性は二度とその旅館を訪ねることはなかったのだそうである。

    まあ、これはかなり昔の話なので、悪気のない不注意とはいうものの、手紙が客の秘密を暴露するための手段に使われてしまった例だが、今ならさしずめブログやツイッター、メールがそうした守秘義務違反の媒体に使われる可能性もあるということになるだろう。

    ネット社会の現代においては、こうした守秘義務違反のような問題は、ますます日常的に注意する必要があるように思われる。

    つい何の気なしに書き込んだ他愛もない顧客情報が、後にとんでもない結果をもたらす可能性もあることを念頭に入れた上で、インターネットは慎重に使用しなければならないと、そんな世間話を聞きながら改めて考えた次第である。




        
<今日のおまけ>

    いつも利用している共同浴場を、組うちの住民が出て掃除をするという日があるのだが、この掃除当番に今回うちも選ばれた。

    今回は、わたしが出るか、母親が出るか・・・と、考えていたところ、やはりいつものように父親が出るということになり、わざわざゴム手袋を買って来た。(まあ、わたしが出ても体力的に戦力外通告されてしまうことは明白なのだが・・・)

    掃除が終わると、参加した人たちは「ご苦労呼び」ということで組の公会堂へ集まりお茶を飲むのだが、父親は早めに帰って来てしまったので、参加した近所の人が父親の分だということでお菓子をたくさん届けて下さった。

    袋の中を見ると、どら焼き、お煎餅、羊羹、クッキーなどなどバラエティーに富んだお菓子がぎっしり入っていて、何だかとても楽しい。

    子供に戻ったようなワクワクした気分で、選びながら食べた。

    今流行りの高級スウィーツはもちろんおいしいが、こういう色とりどりの庶民的なお菓子も心がほっこりするようで好きだなァ・・・と、思った。
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