文章の書き出し
文章の書き出し
「ちょっとした原稿を頼まれた時など、一番頭を悩ますのは文章の書き出しだよね。どんなことから書き始めればいいのかなァ」
地域の広報に載せる原稿用紙2枚ほどのエッセイを頼まれたのだが、何から書き始めたらいいのか悩んでいるという知り合い女性の話を聞いた。
確かに、読者がそのエッセイを読みたいと思うか否かは、書き出しで決まるといっても過言ではない。
子供時代の作文や読後感想文ならば、日記のように時系列を追って書いて行くという手もあるが、大人の文章がそれではあまりに芸がなさすぎると、彼女はいうのである。
手っ取り早いのは、自分が何について書きたいのか(読者に伝えたいのか)が決まったら、この記事の書き出しのように対話形式等を用いるなどして、書きたいことの一番の問題点を表わしてしまうという方法だ。
文章は普通、起承転結(起・思いを起こし、承・それを受け、転・一変し、結・全体をまとめる)を軸に組み立てると判りやすいとはいわれるが、必ずしもそれに捉われる必要はないと思う。
しかし、少しでもその筆法に従うのならば、まず、筆者が何について述べたいのかを読者に認知させるうえでも、最初にドンと核心について書いてしまうというのもよいのではないかと思われる。
つまり、まずは、どんな文章形態であれ、「わたしは、〇〇についてこれから書きます」と、先に宣言してしまうのである。
そして、次に何故、そのことについて書きたいのか----の理由をあげる。時には、こんなこともありました----のような事例などを幾つか持ってくるのもいいだろう。
その後、「しかし、中にはこんな反対意見も・・・」のように、失敗した経験や自分の考え方の欠点などを書き、最後に、これまで書いたことを総括しての結論に落し込めば一応の文体は完結する。
大事なのは、最初の書き出しと最後の締めが同様の内容についての文章になることである。
文章をただ野放しにどんどん書きたいように書いて行くと、いつしか初めの論点がぼやけて、結局筆者は何を言いたかったのか読者に見えなくなることがある。
日記や自由文ならばそれでも構わないだろうが、一応人さまに読んで頂くものとなれば、そこまで無責任なことは書けない。
しかも、文章の書き方は、文が短ければ短いほど難しいともいえる。
とにかく、最初に自分がもっとも伝えたいことを書き、最後まで書きたい内容の核心をブレさせないこと----それが肝心なのではないだろうか。
<今日のおまけ>
リーダーシップをとりたがる人ほど、性格は焼きもちやきなのだという。
なるほど、政治家を見ていても、党首になりたがるような人ほど、ライバルに対しては熾烈な競争心を発揮する。
仕切りやといわれる人も、自分が無視されることを異常に恐れる。
そして、組織などで何事においても中心にならなければ気が済まないような人ほど、その役割を他の人に譲ったあとは、今度はその組織に対しては何の協力もしなくなる。
協力しなくなるどころか、敵に回ることさえもあり得る。
実に厄介な性格の持ち主なのである。
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