『一心同体』では、守れない?
『一心同体』では、守れない?
新湯田中の一風景
今日の長野電鉄・湯田中駅
左奥のバス乗り場には、外国人観光客の姿が多い
『ジョンイ』を観ていた時、とある剣道有段者の男性が、こんな一言をつぶやいた。
「『一心同体』----じゃァ、人は守れんだろう・・・」
ジョンの復讐を成就させるために、自らは敵の攻撃を受けて重傷を負いながらも、なおも彼女を献身的に守ろうとするテドの台詞を聞いての言葉だった。
「テド兄さんを巻き込んでしまって、ごめんね・・・」と、詫びるジョンに対して、テドが応える。
「おれの生きる理由は、お前なんだ。おれとお前は一心同体だ。だから、二度と謝るな」
(それにしても、すごい台詞だな・・・。男同士ならばまだしも、男女の間でこれを言うか・・・?日本人には照れ臭くてとても口に出せそうにない・・・でも、まあ一生に一度ぐらいは誰かに言ってもらいたいようなグッとくる一言ではあるが・・・)
では何故、相手のことを『一心同体』と、思ってしまっては、その人を守ることが出来ないのか・・・?
「人を守るという者は、常に冷静でなくてはならない。守るべき相手と同じ感情や目線では、冷徹な状況判断が出来なくなる可能性が大だ。ましてや、自分は強いという思い込みや過信は、自らの力量を正確に把握する感覚を鈍らせ、敵の動きを見極めるすべを手放すことにもなりかねない」
と、その人は言う。
「じゃァ、テドは、この時、どんな風にジョンに接すればよかったの?」
わたしが訊ねると----、
「つまりは、『人を守る者ほど臆病たれ』----ってことだよ。本当に強い人間ほど、自分の弱みを見せるのを厭わない。テドも、ジョンを守ることを考える前に、まずはおのれを守ることを優先するべきだった----って話さ」
「でも、それってかなり格好悪いよね」
「人を守るって、格好悪いことなんだよ。テドは、ジョンにもっと本音を語ればよかったんじゃないかな。『自分も怖くてたまらない。でも、お前のために戦えるなら本望だ。ジョン、頼むから、おれに力を貸してくれ』----とでも言わせておいた方が、テドの剣士らしいよりリアルな心情が描けたんじゃないかと思うんだけれどね」
とのことのようだ。
「ただ、これはドラマ制作者の意図なんだろうけれど、テドって、結局最後まで自らの剣では誰一人として殺していないんだよな。まるで、新選組の二番隊長・永倉新八みたいに・・・。そこは、ちゃんと『侍』としての矜持(きょうじ)をまっとうさせていたように感じたね」
ほお~~、そうだったんだ・・・。観ている人は、観ているもんだね~~。
で、光海君とテド兄さん----一対一の真剣勝負!
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