入院病棟24時 5・・・・・83

ちよみ

2009年07月04日 12:08

~ 今 日 の 雑 感 ~


入院病棟24時 Ⅴ


    皆さんは、「ミュンヒハウゼン症候群」という病気をご存じですか?

    これは、小児期に受けた手術の経験がもとで、その時の家族や医療関係者からの同情や親切が忘れられず、大人になってからも、相手の気を引くために、自ら病気を作り出すというものなのです。

    これが、自分ではなく、自分の子供や家族に対してわざと危害よ加え、献身的な看病をしている母親や身内だと周囲に称賛されることを快感とする場合は、「代理によるミュンヒハウゼン症候群」と、いうそうです。

    これほどの病気ではないと思いますが、わたしが入院していた時の同室に、とにかく、手術をするのが趣味のような六十代の女性がいました。

    とにかく、全身病気だらけといった感じで、手術も頭から足まで、色々な部位を手術しているのです。それも、大した病気ではないと思われる時でも、悪化したら困ると、自ら、希望して入院するのだということでした。

    先日亡くなったマイケル・ジャクソンさんも、整形手術をしなければ安心できないというような精神状態になっていたため、医師が、もうその必要はないと忠告しても聞かず、仕方なく医師は、一応、全身麻酔をかけて手術したように見せかけたこともあったそうです。

    その女性患者も、ややそれに近いところがあったのかもしれません。そんな多くの経験則を持つことで、とにかく医学的知識も玄人はだし。わたしたち同室の患者たちが驚くほどの博識ぶりで、若い医師と自分の症状についてのやり取りを、侃々諤々(かんかんがくがく)議論し合っていました。

    「もう、〇〇さん、こっちは一応プロなんだから、ぼくの意見に従って下さいよ」

    「なによ、プロならプロらしく、そのぐらいの薬の知識、持っていなさいよ」

    一事が万事、こんな調子で、先生方も看護師さんもやりにくくて仕方がないようでした。そして、検査を自分から頼みこみ、車椅子を押してもらいながら、検査室へ行く時の嬉しそうなこと------。わたしには、とても信じられませんでした。この人は、いったいどういう神経をしているんだろうと、他の患者さんたちとも話し合ったくらいです。

    しかも、病室の中は、その女性が何もかも仕切るという具合で、八十過ぎのおばあさんが、隣のベッドのわたしに、女学校時代の思い出を話してくれていた時も、急に不機嫌になり、「静かにしてよ!眠れないじゃないの」と、腹を立てたこともありました。病院内は、さも自分中心に動かなければ承知出来ないといったような、感じさえ受けました。

    わたしが考えるに、その女性は、入院し手術をたくさんすることで、常に医師や看護師とも接していられ、しかも、若い医師たちに、まるでホストクラブへ通う常連マダムの如くかしずかれることが、快感でたまらなかったのではないかと、思うのです。

    それが証拠に、外科部長が退院許可を出しても、絶対にそれを承諾しませんでした。そして、わたしが退院する日も、彼女は、まだその病室にいました。おそらく、この病院が、彼女にとって、かなり居心地良かったものと思います。

    その後、その女性は、同じ病院内の別の病棟へ移動させられたそうですが、その際も、かなり抵抗したと、噂で聞きました。とにかく、不思議な感覚と趣味を持った人間が、世の中にはいるものなのだと、呆れました。

      
    ***  写真は、イヤリングの片方です。何だか、青い目玉みたいですね。
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