中高年登山の危険・・・・・99
~ 今 日 の 雑 感 ~
中高年登山の危険
七月十六日、北海道の大雪山系のトムラウシ山と美瑛岳(びえいだけ)で、夏山遭難事故が相次ぎ、トムラウシ山に登ったツアー十九人のうちの男女八人と、単独登山の男性一人、美瑛岳へ登った六人のうちの女性一人の死亡が確認されました。
病院の発表によると、亡くなった十人のうち八人の死因は、低体温症による凍死とのことで、十六日の大雪山系は悪天候で、風雨が強く、上空ニ千メートル付近では、気温が八度から十度。また、登山コースには山小屋などの避難場所もなく、ツアー客のほとんどが六十歳以上の中高年であったことなどからも、体力を消耗したものと考えられるということでした。
しかも、夏山登山ということで、装備も夏山向きに軽く、これほどの気温低下が起こるとは、予想していなかったと、自力下山者は、話していました。
でも、ツアーには、登山ガイドも付いていたといいます。それらのことは、おそらく事前に判っていたはずだと、思うのです。しかし、夏山を甘く見て、登山参加者への注意喚起を怠ったのでしょうか。
原因は、色々考えられると思いますが、わたしは、このツアーに中高年が多かったということが、この遭難事故の最たる原因だと思うのです。
今の中高年は確かに元気です。子供たちも独立し、かつての若かりし頃に憧れたり、また、昔取った杵柄の登山をもう一度やってみたいと思う気持ちも判ります。しかし、気持ちの元気さとは裏腹に、自分たちは、かつての体力を維持している訳ではないということに、気付いていないのです。
特に、六十代には、もうすぐこんなことも出来なくなるから、今のうちに体験しておこうという焦りも働きます。気持ち的にも、まだ若い者には負けないという、プライドもあります。
しかも、今回、トムラウシ山へ登ったパーティーは、十九人という登山にしては大人数です。もしも、万が一のことがあっても、誰かが自分を助けてくれるはずだという、漠然とした楽観もあったのでしょう。
ところが、その大人数が、むしろ、いざという時には最悪のアキレス腱になろうとは、たぶん誰も予想しなかったのだと思います。軽装備による寒さで、体力を消耗した仲間が一人出れば、その仲間のために、歩くスピードは鈍ります。そうなれば、ますます、パーティー全員の体温は奪われ、他にも脱落者を出すことになるのです。
中高年登山者の体力のなさに加えて、パーティーの人数の多さが足を引っ張ったのです。
わたしたちも、学生の頃、夏山で、風雨のため気温が想定外に下がり、登山を断念したことがありました。
その時も、登山続行を支持するグループと、断念するグループに意見が分かれ、しばしもめたことがありましたが、山の雨は、下から吹き上げるため、その寒さは尋常ではなく、また、ガスもひどく、周囲が見えなくなるほどでしたから、最終的には、全員が下山を選択し、事なきを得たのでした。
夏山は、そういう意味では、むしろ、冬山よりも怖いと言えます。
これは、登山者に限らず、一般の中高年にも言えることなのですが、煩わしい家族や会社からも解放されて、羽を伸ばしたい気持ちも判らなくもありません。が、ご自分が思っているほど、あなた方は、若くないのですから、もう少し体力に見合った行動をとって頂きたいものです。
何事も、ほどほどが、一番なのですから------。
<今日のおまけ>
散歩の途中で、時々立ち寄るお寺があります。
荒れ寺で、人など住んでいる気配もないお寺です。
以前、ここの住職をしていた庵主さまが亡くなられてから、無人の古刹になっていたのですが、最近、境内がとても綺麗になっていて、誰か、かつての檀家の人が、ボランティアで掃除をしているのかと思っていました。
ところが、そうではありませんでした。いつから、来られたのか、三十代の若いお坊さんが、独り住んでおられるのです。
びっくりしました!
お寺には、やはり、お坊さんがいらっしゃらないと、様になりませんね。
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