相手からの口撃を封じる方法・・・・・619
~ 今 日 の 雑 感 ~
相手からの口撃を封じる方法
文久三年、浪士隊を率いて将軍家警護の大義を口実に京へ入った幕臣・清河八郎は、浪士隊の面々を前に、非常に難解な言い回しで、「自分たちの真の目的は、将軍家を守ることではなく、天皇を日本国の首領として奉るためである」との演説をぶった。
この言葉を聞いていた浪士隊の人たちは、ほとんどが清河の話している意味が判らず、一部のサクラが「そうだ!その通り!」と、賛同の意を示したことにつられて、自分たちもそれを支持する意思を示してしまったのである。
ところが、この演説に疑問を呈した人物がいた。
その人物は、大勢の浪士が集う中、スッと手を上げると、「自分には学がないので、あなたの言われている意味がよく理解できないのだが、それでも、自分がここへ来たのは、あくまでも将軍家を守護するためであり、それ以外の何ものでもない。もしも、あなたの浪士隊構想の中に、それが含まれていないのならば、自分は、この場で浪士隊から離れる」
そう言ったのであった。この人物が、のちに京都の治安維持と長州藩士を始めとする勤皇・倒幕派せん滅のための幕府公認の斬殺集団として名をとどろかせた、新選組局長・近藤勇である。
近藤は、剣の道では天然理心流の達人であったが、元が農家出身であるため、さほど学はなかったと思われる。
しかし、彼には、人の真偽を見抜く天性の眼力があった。
こういう近藤のような人物の前では、清河のような学問で身につけた知性をひけらかす者は、実に不利だといえる。つまり、そういう人物は、頭ではなく本能的な感性で相手の正体を見破るというすべを心得ているからである。
だが、現代社会のわたしたちのようになまじ教育を受けている者たちには、この清河のような言葉巧みに相手を煙に巻く弁術が、意外に効を奏することがあるのである。
相手から圧力をかけられたり、口げんかの攻撃を受けたりした場合、攻撃相手の思考を一時的に軽いトランス状態へ持って行き、時間稼ぎをする間に逆に主導権を握ってしまうということも可能なのだ。
たとえば、こんな具合に。
「どうして、あなた自身が答えを出せないようなことをわたしに訊くの?」
「あなたは、それを知っているつもりになっていることを本当に信じているの?」
「言っていることは判るけれど、それでは真実にはならないな」
「ぼくが信じることを期待しているなら、そんなことにはならなかったよね」
「自分が信じていたことを知らないの?」
こんな言い方をされれば、相手は、一瞬何を言われているのか判らなくなるというのである。
そこで、「答えられないことを、わたしに訊くつもりなのか?」と、やり返す。つまり、ここで、既に非は相手側に移り、あなたは相手を責める方へと立場を逆転出来るという訳である。
ただ、そんな時、その相手が近藤勇のような人間でないことが重要なのだ。
もしも、あなたの切り返しを近藤が受けたなら、必ずこう言い返してくるであろう。
「あんたが何を言っているのか判らないが、それでも悪いのはあんただ」
と-----。
<今日のおまけ>
わたしは、自分のことを書くことが苦手である。
自分を客観的に見ることが出来る人は、すごいと思うのだ。
だから、自伝を書ける人は尊敬する。そういう人は、ある種のナルシシズム(自己愛)を持っているのだから。
自分を自分で好きになれるって、実は、驚くべきことでもあるんだよ。
今日は、暑い中、久しぶりに買い物に出て、疲れた。
でも、今から音をあげていても困るんだよね。
梅雨が明ければ、もっと暑くなるんだから、考えるだけでうんざりする・・・・。
で、今、岡山大学病院では、国内初の生体肺移植が行なわれているんだって。
呼吸器外科の医師20人による手術チームがあたっているそうで、ドナーのためにも成功して欲しいよね。
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