サンデル教授の5000人授業
サンデル教授の5000人授業
テレビでマイケル・サンデル教授(英: Michael J. Sandel、1953年3月5日 生、アメリカ合衆国の 政治哲学者、コミュニタリアン。ハーバード大学教授。コミュニタリアニズム<共同体主義> の代表的論者)の「五千人の白熱教室」という番組を観た。
観たといっても、ほとんど掻い摘んだだけなのだが、それでも、意外に興味深い討論がなされていた。
会場に集まっていたのは5000人の日本人学生(だと思う)。
その学生たちに向かって、サンデル教授はこんな質問を投げかけていた。
「レディー・ガガのコンサートチケットをダフ屋が値をつりあげて売るのは賛成か、反対か?」
会場の意見は、賛成と反対が同じぐらいだった。次に、
「病院での診察を受けたいのだが患者が多くてすぐには診察してもらえない。患者たちは診察の順番待ちをしているが、診察のチケットを手に入れるためにはお金がかかる。その場合、ダフ屋が患者のふりをしたホームレスを診察待ちの列に並ばせ、手に入れたチケットを高値で売ることについては、賛成か反対か?」
と、訊ねたところ、今度は反対意見が圧倒的に多かった。
レディー・ガガのコンサートチケットはダフ屋が売ることを許すが、病院の診察チケットを売るのは許されない---と、いう学生が多かったわけだが、この理由を訊ねられた学生の一人は、
「レディー・ガガのコンサートはこれからも見ることは出来るが、病院にかかることは命の問題なので、そういうことに市場原理主義を持ち込むべきではない」
と、答えていた。すると、教授は、この学生に、
「では、医療ではなく、これが学問だったらどうするか?」
と、質問したところ、学生は、「学問にも市場原理を反映するべきではない。貧しい人も等しく受けられなければならない」と、答えていた。
続いて、教授はこんな質問もした。
「大学合格者の中に成績は悪くとも、多額のお金を積んだ者は加えていいか?」
すると、一人の学生は、「その多額の入学金の一部を優秀な教授を雇うお金に使うのならいいのでは?」と、言ったが、
もう一人の学生は、「教育をお金で買うようなことは絶対にしてはいけない。それは私立でもそうだ。もしも、そのお金の一部が貧しい学生の奨学金に充てられるとしても、それはやってはいけない。奨学金や勉強環境の充実は、税金で賄うべきだ」と、真っ向から相手の答えを否定した。
つまり、サンデル教授が言いたいことは、
「資本主義は社会を成り立たせるために必要だが、市場原理は全てにおいて優先されるわけではない」
と、いうことなのだろう。
社会には、売っていいものと、売ってはいけないものとがある。
人の生命や尊厳、知識や情報に関係するものは売買の対象としてはならないはずだ----と、教授は説くのだ。
学生の一人が面白いことを言っていた。
「(成績が上がればお金をもらえるというアメリカの試験的教育導入に関して)お金をもらうことが勉強の面白さに目覚めるためのきっかけに使われることは、悪いとは思わないが、お金をもらえれば何でもやる、もらわなければやらないというような間違った考え方を子供に植え付ける可能性も考えられるので、あまり賛成できない」
確かに、教授の話では、シカゴのある小学校が本を一冊読むたびに2ドルをあげていたところ、本を読む児童は増えたのだが、皆薄い本しか読まなくなったそうだ。
また、ニューヨークでは成績向上のためにテストの点数が良い子供にお金をあげていたのだが、結局、子供たちが頑張ったのは最初の頃だけで、その後の成績には特別の進歩は見られなかったのだという。
このサンデル教授の提唱するコミュニタリアニズム(共同体主義)は、今後、日本が進もうとしているTPPなどのメリット、デメリットを考える場合においても、大いに参考になるのではないかと思った。
<今日のおまけ>
近所に両親や祖父母のことが大好きで、実家から離れられないという40代男性がいる。
この男性、最初の奥さんとは、奥さんが祖母のことを「年寄りは汚い」と、言ったことを理由に離婚した。
二度目の奥さんが来た時は、奥さんが男性の実家での同居を望まず夫婦二人で住みたいといったため、両親が激怒し、「二度と実家の敷居を跨ぐな」ということで、別居式なるものまでやって、男性夫婦は実家から出た。
しかし、何かの用事で男性が実家に帰ったことをきっかけに、奥さんと住むアパートへ戻らなくなり、彼女とも離婚。
そして、最近になって、また三人目の奥さんが来たらしいのだが、この奥さんもいつまでいられるかと、早くも近所の噂になっている。
まあ、どの奥さんとの間にも子供が出来なかったので、それはそれで問題がこじれないのでいいのだが・・・。
わたしの周囲には、三度目の結婚という人が他にもいる。一般人も、松田聖子並みになって来たようだ。(・_・;)
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