不可解な女性
不可解な女性
わたしの知り合いに、実に不可解な女性がいる。
いや、知り合いだった----というべきか。
彼女は、常に自分は他の女性よりも男性から愛される存在でなければならないと考えていた。
だから、自分以外の女性が、たとえ彼女がまったく見ず知らずの男性とであろうと、親しく付き合うことが許せないのだ。
もちろん、自分には夫も子供もいるのだが、それとこれとは意味が違うらしい。
夫のことは、既にあまり彼女の眼中にはないようで、夫以外の男性にどれだけ愛してもらえるかが、彼女の自尊心の支えとなっているのだった。
そのために、彼女は、たとえ親友の女性が結婚を決めたことを知っても、本心から親友を祝福できない。
ましてや、親友女性の結婚相手がかなりのイケメンだと知って、ますます心中穏やかでなく、披露宴に出席しながら、どうしても「おめでとう」の一言が言えなかったのである。
そんなお門違いの嫉妬心は、次第にエスカレートして行く。
ある女性が男友達と親しく会話を交わしていることを知ると、その女性が秘密にしているような話を、あえて男友達に暴露して二人の間を険悪にしようと目論んだこともあった。
自分は、いつも一番でなければならない。
男性からチヤホヤされることを無上の幸福と考える彼女は、自分がどれだけ男性から惚れられる女かということを、誰かれ構わず手当たり次第に吹聴して回り、羨ましがらせることで安心感を得ていたのである。
もちろん、それを聞かされた人たちは、「何で、そんな話を何の関係もないわたしたちに・・・?」と、当惑していただけなのだが、そんなことはお構いなしだ。
こうした女性は、本心から相手の男性を好きなわけではない。
周囲に「好きな男性がいる。その男性から自分は愛されている」と、アピールすること自体に快感を覚えているだけなのである。
恋に恋している自分に酔っているだけなのだが、そのことには気付かない。
そして、彼女の中にあるのは、羨望されることでしか自分自身の価値を認識することが出来ない、未熟な自我なのである。
おそらく彼女は、幼児期に両親の愛情をしっかりと受け取ることが出来ない環境にあったのではないかと、推測される。
母親や父親の愛情を、褒められることでしか味わえなかった体験が、大人になった彼女を、称賛もしくは羨望依存症ともいうべき心理状態に作り上げてしまったのだろう。
このような心理状態に陥りやすい人は、年の近い兄弟姉妹がいる長女や長男に多いそうだ。
親の愛情を十分に受ける間もなく、下が生まれてしまうという環境に問題があるらしい。
いずれにせよ、わたしにはどうにも不可解な女性としか言いようがない。
<今日のおまけ>
父親が、テレビの台の角におでこをぶつけてケガをした。
ケガといっても、ちょっとおでこの皮がむけたくらいのものなのだが、下に置いてあった新聞を取ろうとしたらしい。
これは若い時分からの父親の癖なのだが、何か物を取ろうとする時、手よりも先に頭の方を前へ出すのだ。
以前にも某会計事務所へ行ったとき、頭を先に出して玄関脇の釘におでこをぶつけたことがあった。
今回も仕方がないので、おでこにバンドエイドを貼ってやる。
薄い頭髪が、さらに抜けても、当局は一切関知しませんのであしからず。
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