歩く夢を見たら・・・

ちよみ

2012年11月05日 12:20

歩く夢を見たら・・・




    ほとんど歩けなかった時は、よく夢の中で歩いたり走ったりする夢を見た。

    何だ、歩けるじゃない・・・と、感動しながら目を覚ますと、現実に戻って落ち込む---という日々の繰り返し。

    そうかと思うと、まったく逆の夢を見た時も・・・。

    どんなに頑張って歩いても、ぬかるみに足を取られて、まったく前進出来ないとか、階段が急すぎて上れないとか、足が重くて一歩一歩が汗だくという夢も見た。

    そんな時は、やはり夢の中に現実が入り込んでいるのだと辟易したものだが、担当医の先生に電話をかけると、「階段の上り下りは、どうですか?」と、すぐ訊ね返して下さり、そんな気遣いも励みになって、毎日必死に歩く練習をしていたせいか、今では階段の上り下りもさほど苦労ではなくなった。

    人間、何でもなせばなる---である。

    で、そんな歩くという行為が夢に出て来た場合の意味を考えてみた。

    歩くという夢は、人生の歩み自体を意味するものだそうである。

    そして、夢の中の歩き方で、その意味も変わってくるそうだ。

    さっそうと歩いている夢は、目標に向かって順調に進めるという暗示であり、成功や達成が手に入るという兆しを意味するものだが、歩き疲れてふらふらしていたり、時々躓いたりする夢は、もっとしっかり前を向いて行きなさいという忠告だそうだ。

    また、歩き疲れている夢は、心身ともに疲れが溜まっている証拠。現実では、ゆっくりと休養をとることが必要という意味だという。

    一歩一歩確実に歩みを進めている夢は、地道な努力を続ければ、頑張っただけの成果が得られるだろうということで、歩いている間に目的地が見えて来たら、恋のチャンスが巡って来る兆し。

    しかし、いつまでたっても目的地が見えない場合は、自分が内心、そんなチャンスは到来しないかも・・・と、弱気になっている証拠だということのようである。

    あてもなくさまよい歩くのは、現実でも、この先自分はどうしたらいいのか判らず、精神的に不安定な証しであり、何処かに寄り道をしてしまう夢は、一度立ち止まってよく考えよ、という注意の意味があるらしい。

    夢の中の歩き方には、現実の体調や心理状態が反映されやすいそうで、迷いや不安があると夢の中でもうまく歩けないのだとか。

    もしも、そんな歩きにくい夢を見た時は、実生活をじっくりと振り返り、見詰め直すことが大事だということのようである。

    


    
<今日のおまけ>

    秋の夜長に、ちょっと怖い話を聞いた。

    ある晩秋の日の深夜、タクシー運転手のAさんは、冷たい北風が吹き過ぎる山中の峠道に、一人佇んでいた夏用のワンピース姿の髪の長い女性客を乗車させた。

    女性客は、麓の駅まで行って欲しいというので、こんな寒さの中でノースリーブのワンピース一枚で立っていた彼女を不審に思いながらも、そのままタクシーを走らせた。

    乗車中も女性は顔を俯けたまま、行き先を告げたのちは一言も言葉を発しない。やがて、女性は、おもむろに、「この辺りで降ります」と言い出したので、Aさんが、まだ駅は先ですよというと、「ちょっと、探したいものがあるので・・・」と、女性はささやくように言って、タクシーを降りて行った。

    運賃をもらえば、別に文句を言う必要もないので、Aさんは女性を夜道に降ろし走り去った。

    タクシーを走らせながら、降りた女性の様子をバックミラーで何気に見ると、その女性から頭部が消えていた。

    それから一年後の深夜、Aさんはまた同じ峠道をタクシーで走っていた。一年前のことが頭の隅にこびりついていて、背筋が寒くなるのを感じたが、あの時女性が立っていた場所に差し掛かっても、何事も起きずにタクシーは進んだ。

    やがて、自分のタクシーの前に、もう一台の別会社のタクシーが走っていることに気付いた。

    前方のタクシーの後部座席には、髪の長い女性らしき影が乗っている。Aさんは、その女性の後ろ姿をぼんやりと眺めていたが、やおらその女性の首がAさんの方へと振り向いた。

    それは、間違いなく一年前にAさんのタクシーに乗車した女性であった。

    が、女性の顔面は血だらけに崩れて、口だけが不気味な笑みを浮かべていた。

    驚いたAさんは、思わずその場で急ブレーキを踏んだ。前方のタクシーは、女性を乗せたまま闇の中へ消えて行った。

    女性は、ちゃんと乗車料金を支払ってもいるので、これらの現象はAさんの単なる目の錯覚だったのでは・・・とも思えるが、何とも奇妙な話だった。
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