日本の女性は美しい!・・・・・72
~ 今 日 の 雑 感 ~
日本の女性は美しい!
『日本の女性は美しい』-----これは、資生堂が販売している、シャンプー「TSUBAKI 」のキャッチコピーです。
テレビコマーシャルは、SMAPが歌う「ウェルカム、ようこそ日本へ、きみが今ここにいること-----」という、如何にも女性心を高揚させるようなバック音楽が流れ、画面には、今をときめく美しい女優たちが、長い手足を伸びやかに、しなやかに動かしながら、街を歩いて行くという、実にシンプルな構成になっています。
このシャンプーは、2006年三月の発売と同時に、女性たちの圧倒的な指示を受け、一気に業界シェアのトップに躍り出ました。そして、2007年九月には、先の赤いボトルに加え、ダメージケア用の白いボトルの「白いTSUBAKI」も発売され、現在にいたるまで、シャンプー市場の売り上げトップを維持しています。
この資生堂戦略の見事なところは、このシャンプーに、特別の高級感を持たせて売り出したところにあります。とはいっても、価格は、それほど高価という訳ではありません。要するに、イメージの高級化です。
同社は、これまでにも様々な種類のシャンプーやトリートメントを量産して来ましたが、今回は、この「TSUBAKI」シリーズ一本に絞って、市場展開を試みた訳です。そこに、必然的な唯一無二の高級品イメージが生まれ、加えて、常にテレビドラマなどで活躍している女優達の姿が、消費者の女性たちに親近感を与え、更に、追い打ちをかけるように打ち出されたのが、
「日本の女性は美しい」------と、いう、このキャッチコピーです。
これまでのシャンプーや、トリートメントのコマーシャルは、綺麗なモデルが長い髪の毛をさらさらとなびかせて、「このシャンプーやトリートメントを使うと、あなたも、このように美しい髪になりますよ」と、いった類の物が大半でしたが、大多数の女性たちは、「そんな訳ないじゃないの。あんな髪は、美容師が何日もかかって綺麗に手入れをし、その上で、映像効果を駆使して撮影したものなんでしょう」-----と、いった極めて冷めた感覚で受け止めていたものです。
ところが、今回、資生堂は、「そういう『美』は、特定の女優やモデルだけのものではなく、日本女性は全員が既に持っているものなのだ。だから、日本の女性は美しいのだ」と、高らかに宣言した訳ですから、これを受けた女性の消費者たちは、今までの劣等感をかなぐり捨てて、「もともと美しいわたしたちが、より美しくなるためには、『TSUBAKI』を、使わなくては」と、なる訳なのです。
SMAPは、歌います。「きみが、ぼくのいる、この日本に生まれて来てくれたこと、このとびきり素晴らしい運命に、心からありがとうを言うよ」と------。
これにより、日本女性たちの自らへの期待は、確信へと変わったのです。そして、その自信の裏付けが、資生堂の「TSUBAKI」という訳なのです。こうして、彼女たちのハートをがっちりと握った資生堂戦略は、次の世代へと向かって行きます。
母親の愛用するものは、娘も愛用するという、いわゆる「のりたま現象」です。
これからは、以前のような急激な経済成長が見込めない化粧品業界にとって、如何にして、今までのお客を手元に引き付け続けられるかが、勝負なのです。
今後も、資生堂は、「わたしは、誰が何といおうと美しいのだ!」と、確固たる自信を芽生えさせた多くの女性たちと共に、「美」の王道を、驀進(ばくしん)して行くことでしょう。
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