もったいないは、悪いこと?・・・・・78

ちよみ

2009年06月29日 12:07

~ 今 日 の 雑 感 ~

もったいないは、悪いこと?


    「もったいない」の精神は、日本の素晴らしい美徳であるといった外国の著名人がおられますが、この「もったいない」の精神が、現在の日本では、実に微妙な立場にあると言えます。

    三年程前、街の店頭から老舗菓子メーカーの不二家の製品がすべて撤去されたことがありました。消費期限切れの牛乳を製品に使用していたという理由でしたが、この製品を製造していた従業員たちの話によれば、たとえ、消費期限が過ぎたとしても、製品に問題がない牛乳を廃棄するのは、創業以来の、「もったいない精神」に反することだ、との社訓に従っただけだと、いうことだったようなのです。

    また、昨年には、大阪市の高級料亭船場吉兆が、食べ残しを別の客に使いまわしていたことが発覚して、客離れが加速。廃業に追い込まれるという一件もありましたが、これも、先代の「食い物を粗末にするな」との教えを忠実に守ったための転落でした。

    他にも、やはり、老舗菓子店の赤福による「まき直し」という餡子の使い回し事件も、ありました。

    要するに、これらの老舗は、いずれも、古くからの創業者の精神である、「もったいない」を、真剣に守ったことが、自らの首を絞めることになってしまったと、言えるのです。

    そして、ここに来て、今度は、加盟店に対し弁当の安売りを制限したとして、セブンーイレブンージャパンが、独占禁止法に抵触すると、排除措置命令を受けました。消費期限切れが近い商品は、値下げしてでも売り切りたいという加盟店側と、安売りをすることで、ブランド価値が下がり、更に売れ残りが出ると考えるフランチャイズ本部との間で、激しい攻防があり、ついに当局が動いた格好になった訳です。

    しかし、この騒動も、結局はお互いに、売れ残りを出さないようにしようとの発想から出発したもので、まだ充分に食べられる弁当が、毎月一店舗当たり三十万円から四十万円分も廃棄されて行くことが忍びないという、気持ちがあればこそ、加盟店側は、本部に反旗を翻したのでしょう。

    「もったいない」の精神は、尊ばねばならないが、だからと言って、まだ食べられるとしても、消費期限を過ぎたものは買いたくない。-----そんな、消費者の身勝手が、こういう様々な事件や騒動を生んでいるのです。

    かつての美意識は、今では、ただの不衛生の異物と化しているのです。わたしの、ご近所の高齢の女性も、まだ充分に食べられる野菜や高級な果物を、少し賞味期限が過ぎたからと言って、平気で捨ててしまいます。それを、傍で見ていたもう一人のご近所の高齢男性が、皮肉な目で、こう揶揄しました。

    「戦時中は、腐った物でも平気で食べていたくせに、贅沢になったものだよ。今さら、お上品ぶるんじゃないよ・・・・」

    と------。


ハエたかる  腐肉も食いし  過去忘れ   

         すぎしひと日に  文句(もの)たれるとは

                      豊千
 
    
<今日のおまけ>

    松本ザリン事件発生から、今年で十五年になる。

    月日の経つのは、早いものである。しかし、わたしには、未だにこの事件のマスコミ報道には腑に落ちない点がある。

    それは、第一通報者の河野義行さん宅のことについて、近所の人たちの話が、ほとんどマスコミに取り上げられなかったことである。

    普通、これだけの大事件が起きれば、近所の事情通がこぞって、マスコミのインタビューの応え、「あのお宅は、〇〇なのよ」「あそこのご主人はね~」などという、まことしやかな情報を流すのが常であるはずなのに、テレビのワイドショーやニュースなどでも、それを聞いた記憶が、わたしには、まったくないのである。

    これは、当局から各社に対して、住人のインタビューは遠慮するようにでも規制がかかっていたためなのだろうか?

    それとも、もともとこの土地柄が、他人の生活には無関心なところだったのであろうか?

    何か、不自然な報道がされているなァと、いう感があったことを、いまさらながらに思い出した次第である。



    ***  写真は、イヤリングで~す!夏らしいでしょ? 


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