特急ゆけむり号・・・・・240
~ 今 日 の 雑 感 ~
特急ゆけむり号♨
先日、長野電鉄の「特急ゆけむり号」に、初めて乗車しました。
何と、数年ぶりに長野市へ行った帰り、ちょうど、運よくこの電車に乗ることが出来た訳です。
前身は、箱根鉄道などで活躍した小田急ロマンスカーだったこともあり、車内は広く、車高が高いせいか揺れも少なく、とても快適な乗り心地です。
一両目の車両の一番前のパノラマ・ウィンドウの特等席には、案の定子供たちが既に乗車して、ワイワイガヤガヤと大騒ぎ。目の前に線路が伸びる光景など、そうめったにお目にかかれるものでもないので、男の子たちなどは正に興奮状態です。
しかし、そんな彼らが、その風景以上に興奮したのが、運転士が、いわゆるハイデッカー構造の運転席へ乗り込む時の状況を目の当たりにした瞬間でした。
この日の運転士は、まだ二十代と思しき若い男性運転士で、乗客と同じ乗車口から鞄を抱えて入って来るや、乗車口のすぐ脇にあるステップに足をかけ、右手を天井へ伸ばしたのです。そこには、天窓のような小さなハッチがあり、彼は、そのハッチの蓋を引き開けると、鞄を先にハッチの中へと上げ、次に、中から細いタラップを引き下ろすと、それをよじ登るようにして天井裏へのぼり、後にタラップを引き上げて、ハッチの蓋を閉じると、運転室へと姿を消したのでした。
「・・・・・・・?」
その一部始終を眺めていた子供たちは、一瞬、唖然と、言葉をなくしました。
「すげ~~~~~~」
やがて、そう溜息をつくように言うと、目は、そのハッチに釘付けです。
特急ゆけむり号の運転席は、車体部分の一段高い場所にあるため、運転士がどのように乗り込むのかは、わたしも常々疑問だったのですが、その謎がようやくこの時解けました。でも、この狭いハッチの中へ滑るように入り込むには、運転士はよほど摂生してスレンダーな体形を維持しておかなくてはならないはずです。
おそらく、メタボ運転士では、タラップを上るのも難しくなるはずですから。ましてや、ハッチの入口にお腹がつかえて上り下りが出来なくなってしまっては、どうしようもありません。
しかも、運転士は乗務中、天井裏へただ一人隔離状態に置かれる訳ですから、誰の目にも触れられない状態になる訳です。体調管理は十二分にしておかないと、いざという時は、おそらく誰も助けに行けないという事態にもなりかねないのでしょう。
「ああ、だから、運転士は、若くなければならないんだな?」
通路を挟んだ隣のシートの男性が言いました。
トレイン・ジャックなどにも対応できるような作りになっているこの運転席が、よほど不思議だったと見えて、その男性は、
「西村京太郎サスペンスにも使えそうな感じがするね」
と、隣の友人らしき男性と話していました。そうか、確かに、使えるかもしれないな。タイトルは、「特急ゆけむり号運転士失踪事件の謎」-----「密室の運転室から、運転士はなぜ消えたのか?」な~んて、ネ。
やがて、特急ゆけむり号は、長野電鉄長野駅を出発。真っ暗な地下線路を権堂駅まで走ると、静かに停車。途端、今まで大騒ぎをしていた子供たちが、にわかに立ち上がり、ぞろぞろと降車して行ってしまったのです。
「え?たった一駅だけの乗車なの・・・・?」
わたしも、拍子抜け。でも、彼らの興奮はおさまることなく、中の一人が降り際に一言。
「今度は、あの運転室へ上るんだ!」
それは、無理というものだぞ、ぼく・・・・・。わたしは、胸の内にそっと呟いたのでした。
*** 写真は、資料画像を拝借しました。
<今日のおまけ>
「特急ゆけむり号」の車内では、この時、車掌さんが、「特急ゆけむり号のチョロQ」や、キーホルダーを、販売していました。年配のご夫婦や、若い主婦と思しき女性などが買い求めていましたが、きっと、お孫さんや息子さんへのお土産なのでしょうね。
長野電鉄も、なかなかユニークなアイデアを打ち出したものだなァと、感心しました。
それに、長野電鉄の長野駅にいる女性の駅員さん、制服姿がとってもキュート!女性が、駅員をするなんて、時代も変わりましたね。次は、女性運転士の養成もお願いしたいものです。
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