噂が怪物を創る・・・・・496
~ 今 日 の 雑 感 ~
噂が怪物を創る
ある実験で、Aさんが自分の欠点ばかりを話します。その告白を聞いた五人の人が、今度はAさんの告白を他の十人に話します。
そして、今度はその十人がまた別の十人に、先ほど聞いた話を伝えます。
すると、Aさんは、「自分は足が遅い」と、言っただけにもかかわらず、最後に情報を得た人たちは、「Aさんは、クラスでいつもビリだった」「リレーの時もいつもチームの足を引っ張った」などと、一言も話したことがない部分までが尾ヒレとしてくっついて、誇張されていたというのです。
こういうことは、日常生活でもよく起こります。
人間は、特に顔を合わさない人の情報については、とかくイメージで欠損部分を補おうとするのです。こう話した方が判りやすいだろうとか、自分の中で納得しやすいと思う方向へ、意識を誘導しやすいものなのです。
ルーマニアの吸血鬼ドラキュラ伝説も、そうした類のものだと言えますね。
串刺し公と呼ばれた15世紀ルーマニアのワラキアの領主ヴラド三世が、吸血鬼ドラキュラのモデルとされていますが、実際の公は、ルーマニア独立のために戦った英雄だということです。
しかし、その戦いぶりがあまりにすさまじかったことから、その後の小説で「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとされ、彼の悪名だけが独り歩きしたということです。
まあ、日本で言えば、織田信長が吸血鬼として描かれたようなものですね。
そして、こうした噂が信じられて行く過程には、特別に噂を信じやすい人々の存在が不可欠です。
心理学者アドルノたちの研究報告によれば、ナチスドイツでユダヤ人に偏見を抱きやすかった人たちは、ユダヤ人がまるで悪魔の使いのように思い込んだというのです。
このユダヤ人に特別嫌悪感や恐怖感を抱いた人々には、ある共通点があったといいます。
それは、因習や序列を重んじ、権威に対して服従的で、権力のある人と自分を同一化しやすく、固定観念の強い人。そして主体性がなく、他人の意見に流されやすい、同調性の強い人たちだったのだそうです。
こういう人たちは、ささいなことでも恐怖心や猜疑心を抱きやすく、必要以上に悪いイメージを相手に持ちやすい性格をしているのだということです。
顔が見えない相手には、どうしても人間は警戒心を懐くものです。
噂の相手が、実際に顔を合わせてみれば、ごく気のいい普通の人間にもかかわらず、顔が見えないと言うだけで、敵対心を膨らませる人たちがユダヤ人の大量虐殺に加担したのです。
そう考えると、噂とは、とかく怪物を創りたがるものなのかもしれません。
身体はぐにゃぐにゃで柔らかく、やたらに声が大きい。鳴き出すと止まらない自分勝手な奴で、頭は毛がほとんど生えておらず言葉さえ話さない化け物。
こう聞くと、何だかひどく不気味な物のように思えますが、この説明が示す怪物の正体は、なんだと思いますか?
答えは、赤ちゃんです。
<今日のおまけ>
ついこの間、不思議な夢を見ました。
担当医の先生に、朝顔型の湯のみ茶碗に入った緑茶を勧められる夢です。茶卓までついていました。
これって、どんな意味があるのでしょうか?
ちょっと、気になりますね。
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