電子書籍の時代は来るのか?・・・・・968

ちよみ

2011年03月09日 12:15

~ 今 日 の 雑 感 ~


電子書籍の時代は来るのか?




    iPad(アイパッド)が日本で発売された昨年は、電子書籍元年と銘打たれ、「黒船来航」と騒がれたが、その後は、大して話題にも上らなくなった。

    少なくとも、わたしの周りで、これを買った人は、まだいない。

    電子書籍の出版社も出来たらしいが、積極的に購入しようと思っている人に会ったこともないのだ。

    評論家の歌田明弘さん(52)は、

    「電子書籍の普及は、専用端末の普及にも左右されますが、問題は価格にあると思います。本の電子化で、紙では残りにくい本がきちんと残る環境が出来るのはいいことで、今のように書籍販売のサイクルが短い状況も改善されると思います。日本での本の電子化が進まなければ、インターネット時代に情報の質、利便性で英語圏の本に遅れをとることになるでしょう」

    と、話している。

    しかし、一般の人たちの反応は、電子書籍化に対して、あまり芳しいものではない。

    「紙の本には、電子書籍にはない紙独特の手触りというものがある。紙の本には紙の本にしか出せない安心感や満足感というものがあるのです。電子書籍の流れは進むでしょうが、やはり、活字の本は残って行くと思います」

    「本が大好きで、図書館の本がすべて電子書籍になるまで、紙の本を読もうと思っています。学校で使う教科書や資料などは電子書籍になってくれれば家庭の負担も減ると思いますが、図書館の静かな雰囲気が好きなので、本の重さや紙質を感じながら本を読み進めたいものです」

    「本が好きです。本の表紙はどれも素敵で、表紙裏の紙の色や模様も楽しみの一つです。絵本の表紙は『絵画』であり『芸術』だと思います。電子書籍になったら、絵本はどうなるのでしょうか。図鑑は?紙の本の方が重くても大きくてもいいです」

    と、こうした意見が多いようである。

    確かに、電子書籍には紙の手触りというものがない。

    インクの匂いがない。

    これは、ある意味、人間の五感を生かせないという難点ではないかと思う。

    人間は、視覚、嗅覚、触覚を生かしながら、想像力を鍛え高めるのであるから、勉強の際、ノートに書くという作業も、鉛筆を手に持ち、実際に字を書くことで頭の中に文字を刻みこむことが、記憶として蓄積されるのである。

    単に、キーボードを叩くだけでは、文字が具体的な形を持たず、実感として頭に入らないのと同じことである。

    そのため、未だ心身ともに成長過程の子供たちには、電子書籍は不向きではないかと思うのだ。

    既に、勉強もやり尽くした大人が、さらなる知識を求めて読むためならば電子書籍は威力を発揮するだろう。

    また、学校や病院などで教師や医師がいちいち重い書類やカルテを持ち運ぶ煩わしさを軽減できるし、家庭で主婦たちが料理のレシピを見る時、料理本のページを固定しながら見なければならないという面倒くささが省けたりもするだろう。

    長い通勤時間の移動中など、何冊もの本を持って電車に乗るのも重いし大変だが、電子書籍ならば端末一つで事足りる。

    つまり、これからの時代は、その場の用途に応じて電子書籍と紙の本を使い分ける時代が来るということで、すべてが電子書籍にとって代わるという時代になるわけではないのではないかと考える。

    さらに、紙の本が出版されたのち、正にジェネリック医薬品のように電子書籍となったり、その逆に電子書籍として先に売り出されたものが、美しい装丁の紙の本になったりもするだろう。

    出版期限が切れた電子書籍の小説を業者に持ち込めば、世界に一冊しかないあなた好みの装丁にして紙本に作り替えてくれる本屋さんが現われるかもしれない。

    今後の出版界には、これまでになかった色々な可能性が秘められているような気がする。

    
<今日のおまけ>

    日本は会議が長いと言われるようだが、「ブレーンストーミング」という方法で、これを短くし結論を出しやすく出来るのだという。

    「ブレーンストーミング」は、奇抜であり得ないと思うアイデアでも、どんどん出し、絶対にそのアイデアを批判しないこと。

    そして、出されたアイデアを組み合わせ、発展させることを考えるのだという。

    その際に、どうしても無理だと思われるものを振るいにかけ、最後に結論を導き出すのだそうだ。

   
    

    
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