買い物弱者・・・・・969

ちよみ

2011年03月10日 17:24

~ 今 日 の 雑 感 ~


買い物弱者



    
    この冬は、栄養失調で病院へ搬送された高齢者が多かったそうだ。

    冬季は、道路の凍結などもあり、自動車の運転も敬遠気味になる高齢者たちは、近くのスーパーへ買い物に行くことさえもためらってしまう。

    そんな訳で、食料品の買い出しが出来ずに、食事の回数を減らしたり、常に同じ物ばかりを食べるような日が続くことで、栄養不足や栄養の偏りが顕著となり、体調を崩す人が増えたのだそうである。

    そう言えば、最近、上諏訪駅前の「まるみつ百貨店」が閉店した。

    1965年に諏訪地方で初めての百貨店「諏訪丸光」として開店し、おしゃれな商品が並び都会的なあかぬけた雰囲気が主婦たちの購買意欲を刺激したものだったそうである。

    屋上には遊園地を備え、観覧車が子供たちの夢を誘う本格的なデパートに、家族連れが連日押し掛けたのだという。

    ところが、1980年代になると近隣地域に百貨店や大型店が軒並み進出し、90年代には売り上げも減少に転じて、2004年には会社更生法の適用を申請。店名を「まるみつ」として再生を図ったものの、客離れは止まらず、ついに閉店となったのであった。

    しかし、地域の人たちにとっては、大事な買い物の場所であり続けていたことに変わりはない。

    日常的に生鮮食料品を買っていた特に高齢者には、なくてはならない店であった。

    「まるみつ」があるので、わざわざ自動車で遠くに買い物に行く必要もないという理由から、運転免許を返上してしまった人もいるという。

    そういう人にしてみれば、正に晴天の霹靂。はしごを外されてしまったに等しい仕打ちである。

    市は、こうした買い物弱者のための緊急措置として、駅前と市内の食品量販店などを結ぶジャンボタクシーサービスを始めたそうだが、高齢者たちが時間に追われた買い物を受け入れられるか疑問である。

    たとえば、長野電鉄の木島線が廃止されたことで、バスの代替運行が行なわれてはいるが、やはり、利用者数は電車運行時の半分に落ち込んでいるという。

    バス停が寒風吹きさらしの中にあるため、高齢者たちの利用が激減しているのだそうだ。

    おそらくは、電車運行時は、毎日のように中野市内の病院へ通院していた沿線のお年寄りたちも、本当に具合が悪くならない限り、診察を受けに行かなくなっているのではないかと、推測する人もいる。

    買い物弱者や通院弱者が、これからの時代はますます増えて行くことが懸念される。

    郊外の大型店まで自動車で買い物に行くことが可能な若い人たちも、いつかは年をとるわけで、そんな時はあっという間にやって来るのだ。

    自動車に頼る必要のない社会の構築が、今まさに必要なのではないだろうか。

    買い物弱者が今後ますます増えることを考えると、自治体自身が街のあちらこちらに小規模食品雑貨量販店を作り、経営に乗り出さない限り、具体的な解決策は見つからないのではないかと考える。
<今日のおまけ>

    考えてみれば、わたしたちが子供の頃の日本には、夢があったように思いますね。

    暮らしは、それほど裕福ではなかったけれど、(まあ、今も不況で大変ですが)ほんの小さな変化でも心から楽しめたし、嬉しかったように記憶しています。

    デパートの屋上の観覧車など、正におとぎの国の光景そのものでしたし、大人も子供も今よりはずっと素直に喜んでいたと思います。

    今は、コンビニへ行けばいつでもケーキが売られています。スカートも季節に関係なく履けるようになりました。

    でも、やはり、ケーキはクリスマスにしか食べられないもので、スカートは、暖かくなった時に履くものだった時代の方が人々は生き生きと暮らしていたのではなかったか----と、この「まるみつ」閉店のニュースをテレビで観ながら考えてしまいました。
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