『相棒』season9最終回・・・・・970
~ 今 日 の 雑 感 ~
『相棒』season9最終回
『相棒』season9最終回スペシャルを観ました。
わたしは、映画の方を観ていなかったので、官房長・小野田公顕が亡くなっていたということを知りませんでした。
そのため、ドラマを観ていても始めのうちは内容がイマイチ理解しづらく、赤いカナリアの幹部・本多篤人死刑囚が超法規的措置で釈放されるという下りも、もう一つ飲み込めなかったので、最初の30分ぐらいは、ストーリーに違和感が拭えませんでした。
しかも、例の存在自体が謎だらけの女性代議士(名前忘れた)が出てきたところから、既に半分シラケ気味で、どうせまたいつもの勿体ぶった演技を見せられるんだろうと、ややうんざりした気分でいたのです。
この女性代議士が出て来ると、『相棒』のストーリーは、常に回りくどいものとなり、起きる必要のない事件が強引に起こされることが判っているからです。
おそらくは、この作品のシナリオライターも、かなり頭を痛めて書いているのだと思います。
ドラマの展開にどうしても無理が生じますし、一体、誰に視点をあてながらこのストーリーを追えばいいのか、最後まで結論が出せなくなるのです。
視聴者は、必ず誰かの味方をしながらドラマを観ます。
そして、そこには必然的に悪役となる登場人物が出て来なくてはならないのです。
今回は、その悪役が本多篤人の命を狙う公安調査庁という設定になっていたようですが、これが視聴者の感覚の中で確立できたのは、最後の最後、本多の娘が女性代議士に父親の居場所を携帯電話で教え、公安がそれを傍受して、本多の隠れ家とされていた場所へ刺客が差し向けられたあたりからではなかったでしょうか。
もちろん、杉下右京と神戸尊の『相棒』コンビの機転によって、この本多殺害は未遂に終わりますが、視聴者の感覚からすれば、公安が死刑囚釈放を是と出来るわけがないということの方を支持してしまうかもしれないのです。
そして、むしろ、幾ら3000万人の致死量にあたる炭素菌と、本多の身柄交換のための超法規的措置とはいえ、公安が暴走するであろうことを知らない筈はない女性代議士の、見て見ぬふりをする狡猾さの方を、「悪」とする可能性が大なのです。
そんな訳で、今回のストーリーにおいては、杉下右京と神戸尊は、単なるストーリーテラーに仕立てられてたに過ぎないような不完全燃焼的あと味の悪さが残ったと言えるでしょう。
赤いカナリアの幹部の一人が、あまりに呆気なく捕まり、公安によって簡単に殺されたという筋も不自然です。保釈された本多のライターに発信機が取り付けられていたとしても、一年もの長期にわたり、政府と水面下で本多の身柄引き渡し交渉を続けてきた幹部にしては、捕まり方があまりにお粗末ですし、だいいち、本多篤人ともあろう百戦錬磨のテロリストが、政府から返された所持品を、あれほど安易に身に付けるとは考えられないからです。
何処か、シナリオの書き方にも隙があるように思えてなりませんでした。
プロットを複雑に練り上げすぎた弊害が、物語の随所に見えて、もう一つ得心することが出来ないseason9最終回スペシャルだったように思います。
season10が制作される時は、9のように話の筋ばかりを追いかけるあざとい手法は小出しにして、もっと素直なストーリー構成で、視聴者が無理なく登場人物たちに感情移入できるようお願いしたいものです。
<今日のおまけ>
でも、さすがに『相棒』----最終回の視聴率は軽く20パーセント超えだったとか・・・。
このシリーズには、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』のような、圧倒的なファン層があるので、強いですよね。
『踊る大捜査線』も、これに似た現象が起きましたが、『相棒』ほどではなかったと思います。
では、『踊る----』になくて、『相棒』にあるものは何なのか?
それは、「男の色気と品」だと思います。
それがあるので、男性からも女性からも支持を得たのではないでしょうか。
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