他力本願の女性 2
他力本願の女性 2
午前2時半ごろから、家の前がまたもや騒がしくなった。
バイクの騒音やら人の話し声やらで、とにかくうるさい。
最近は、毎晩のようにこうした騒音で安眠を妨げられるので、本当に困っている。
警察もパトロールには来てくれるものの、いつまでもその場にいるわけではないので、常にいたちごっこの状態だ。
案の定、我が家の近所のあの女性も、今夜、共同浴場で一緒になった母親に愚痴ったそうである。
「もう、うるさくて、うるさくて、本当にかなわない。毎晩、家の窓から、騒いでいる連中を見ているんだけれど、腹が立ってしかたがないわ」
そこで母親が、訊いた。
「毎晩、窓から見ているって、ずっと?」
「そう、一時間でも、二時間でも見ているわよ。だって、眠れないんだもん」
彼女は、心底辛そうに答える。
「だったら、うるさいって、はっきり言わなきゃ。いつまで経っても、やめないわよ」
母親が説得すると、女性は、即座に、
「そんなの言えるわけないじゃない」
「でも、眠れないんでしょ。困っているんでしょ」
そう、母親が言い返した途端、
「あ~~~、誰か代わりに言ってくれないかしら・・・。あたし、嫌われるの嫌だもん」
いつもの他力本願が女性の口から飛び出した。
母親は、またか・・・と、思いながら共同浴場から帰って来ると、半ば呆れ顔で、
「何でもかんでも他人に依存すればことが済むと思っているんだから---。一度ぐらい自分で警察に電話すればいいのよ」
と、言う。
でも、彼女の長い人生そのものが、すべて人の力を借りることで成り立って来ているようなものだから、これからもそのやり方は変えそうもない。
まあ、本当に骨身に沁みて困ったと思わない限り、自分の口から助けを求めることなど、金輪際しないだろうな。
*** 因みに、こういう生活一般の記事においての「他力本願」をわざわざ真顔で仏教用語と解説するのは、野暮天というものですので、あしからず。
<今日のおまけ>
何だか、最近、医師と結婚したいと思っている女性が増えているらしい。
大震災があってから、さらにそうした傾向が顕著になったようだ。
わたしの周りにもそんな女性がいる。
もう、いい年齢なのだから、今更・・・とも思うのだが、それでもドラマや小説の中の人間臭い医療関係者の話をしている時は、目をキラキラさせるのだ。
「でも、そういうのって、ほとんど健康な人の妄想かもよ・・・。だいいち、いっぱし科学者である医師が、事あるたびにベソベソ泣いているなんてキモすぎる」
と、大病をして根が病院嫌いのわたしなどが突っ込もうものなら、あんたなんかに何が判る!とでも言わんばかりの剣幕で睨み付けられた。
こわっ。(・_・;)
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