年の差婚を分析
わたしの大学時代の恩師でもある、現在・駒沢女子大学教授で心理学者の富田隆先生による、最近流行りの「年の差婚」についての分析が、YAHOO!ニュースに書かれていました。
『これほど年の離れた有名芸能人との結婚というと「お金が目当てではないか」といわれがちですが、心理学的にみたときに、そうではないと思います。
理性で考えたときに、うんと年上の男性と子供が作れるのだろうか?などとマイナス面も考えてしまいますよね。でも、そうしたことよりも、彼女たちの場合は、相手への「情熱」が上回ったといえると思います。ちなみに、不倫もこのパターンといえます。恋愛では、性的部分の情熱を優先して恋愛する人と、周囲の状況を考えた社会的な関係を望んで恋愛する人と大きくふたつに分かれるのですが、年の差婚をする人は、前者です。
米国の心理学者スタンバーグは、恋愛に不可欠な3つの要素があるといっています。ひとつは、いま挙げた「情熱」、ふたつめは共通の体験や慣れなどの「親しさ」、3つめは「コミットメント」で、この人の為なら多少の犠牲もいとわないと思えるかどうかです。
コミットメントには、「積極的に参加する」「宣言する」という意味があり、最たるものが結婚ですね。この3つがそろうと長続きしていい恋愛になります。年の差婚をした女性は、こうした3つの要素の中で情熱を占めるウエートが高かったということがいえるでしょうね。
こうした年の差の恋愛・結婚が増えてきた社会背景には、タブー意識がなくなったということが挙げられるでしょう。恋愛はこうでなければ、結婚はこうでなければという発想で考える人が少なくなってきた、ということです。
家族のあり方、結婚のあり方、恋愛のあり方など、大きな流れでいうと世の中の多様化が進んでいますよね。少なくとも若い人たちはこうした多様化を受け入れ、許容しています。これまではちょっとタブーと考えられてきたことが崩れていっています。こうしたことも、女性が年上男性と結婚する背景にはあるのではないでしょうか。』
富田先生、今は駒沢女子大で教授をされているんですね。
わたしの母校(S女子大)での講義を始める時の第一声、「ごきげんよう!」は、印象的でした。
で、本題。
確かに、年の差恋愛には、通常の恋愛以上に「情熱」「親しさ」「積極性」は不可欠だと思います。
また、「年の差婚」を選択する人たちは、社会通念としての理性よりも感情が先走り、結ばれているということなんですね。
今日のワイドショーでもこの年の差婚について取り上げていましたが、男性が上、女性が上のどちらのパターンでも、若い方の相手の心理は、「包容力」を年上に求めているという話でした。
殊に、女性側が10歳以上年上の場合の結婚は、既に国内でも一年間に5000件を上回る勢いだそうで、女性側の積極性が見て取れるそうです。(記憶が正しければ)
年下男性は、年上女性に対して、物心両面の安定感を期待し、年上女性は、年下男性から、育て上げる楽しさを得るのだそうです。
また、年上女性を好む男性の共通点として、今でいうところの「草食系男子」が多いそうで、もともと女性にあまり興味がないとか、自分の生活範囲に恋人としての女性は必要ないと考える男性が大半なのだそうです。
そして、そうした「草食系男子」は、もし彼女が出来たとしても、プロポーズが面倒くさいので、結婚までは考えない---という理由もあげられていました。
女性にとっての結婚は、正に人生の一大イベントですから、プロポーズされる際のシチュエーションにもこだわる人は多いはずです。素敵なレストランで結婚指輪をもらいたいとか、いきなりのサプライズ・プロポーズが良いとか・・・。
考える男性側にしてみれば、想像しただけでも疲れが出てしまいそうですよね。
でも、結婚相手が年上女性なら、そんな面倒くさい気遣いも無用と思うのかもしれません。
まあ、要は、自分に必要なものは女性ではなく「母親」であるということなのでしょうね。
自分の良いところも悪いところもすべて黙って受け入れてくれる女性----それが、10歳以上離れた年上女性というわけです。
こうした年下男性の中には、「出産後も働いてくれそう」と、いう目で年上女性を見ている人もいるそうで、正に夫婦共働きだった母親と自分の妻を混同しているといえます。
とはいえ、年上女性の方も年下男性を、自分の思い通りに育て上げる楽しみがある----と、答える人もいるのですから、どっちもどっちといった感じではありますが・・・。
因みに、年の差婚が危機を迎える原因として、4つほどあげられるそうです。
1 年上側が上から目線の説教をたれるような話し方ばかりする場合。
2 年齢差がありすぎて、お互いの話が一方通行になるような場合。(夫が妻の愚痴などに生返事ばかり返すとか・・・)
3 必要以上の過干渉。(年下妻の行動が気になって、しょっちゅうメールで居所を確認するとか・・・)
4つめは----台所と居間を行ったり来たりで、聴き損ねました。
でも、これからは、ますます年の差婚のカップルが増えるのではないかと想像されます。
いや、それ以上に、もはや結婚というシステム自体が煩わしいと考える人が増えて、案外、「茶飲み友達婚」のような、ある時間限りの縁側夫婦が出現するかもしれませんね。
<今日のおまけ>
大震災後、東北の被災地へ入ったペット保護活動をしているボランティアたちが、自分たちのペットに対する常識と現地の住民たちの犬や猫に対する接し方にあまりの違いがあり、大変なカルチャーショックを覚えているという。
主に首都圏から被災地へ入ったボランティアたちは、犬や猫の飼い方は基本的に室内飼いが当たり前と思っているので、寒空の下、粗末な犬小屋に鎖でつながれた犬たちの状態を見て、「なんて、ひどい飼い方をしているんだろう」と、愕然としたのだという。
しかも、犬の多くは大型犬である。
小さな室内犬ばかりを想像して来たボランティアたちは、犬の種類の違いにも驚き、最初のうちは怖くて手が出せなかったそうだ。
しかし、農村で飼う犬といえば、だいたいが番犬である。大型で、しかも戸外にいなければ用をなさない。
かつては、クマやオオカミなどを撃退するために飼われた犬であり、狩りをするための狩猟犬なのだ。東北や北海道では、犬は単なる愛玩動物ではなく、いざとなれば人間のために命を捨てる忠実な家来なのである。
猫も同様に家の中や米蔵のネズミ、畑を荒らすカラスやモグラを捕えるための労働動物なのである。
そして、それこそが本来人間をパートナーとした犬や猫の生きる意味でもあるのだが、彼らを自分の子供同然のペットとしか認識できないボランティアたちは、とんだお門違いの正義感を持ち出し、被災地の人たちの顰蹙を買ったのだそうである。