美容院へ行くと言ったら怒られた

ちよみ

2012年10月05日 18:02

美容院へ行くと言ったら怒られた




    「今日、美容院へ行って髪を染めるといったら、旦那に『何処にそんな金があるんだ!?』と、怒られた」

    共同浴場で、一人の主婦が嘆いていた。

    「生まれてからこれまで、美容院へ行っちゃいけないなんて言われたことなかったから、もうショックで、心臓がどうかなりそうだった」

    と、悔しがる。

    でも、その主婦も、確かにこんな不景気になれば少しでも贅沢を控えなくてはいけないことは判っているようだが、70歳を過ぎてここまで落ちぶれた生活が待っているとは思いもよらなかったと、落胆する。

    すると、もう一人の主婦が、

    「うちだって同じだよ。今まで行っていた美容院は、染めるだけで5800円もとったから、そんなお金はもったいないと思って、家で染められる染め粉を買うことにした」

    と、苦笑した。

    「おばあちゃんもまだ生きているし、これから自分らだっていつまで元気でいられるか先は判らないから、出来るだけ切り詰めようと思えば、一番手っ取り早いのが髪いさんや化粧品のお金だからね」

    これを聞いた先の主婦は、

    「もう、情けないったらない。惨めだ・・・。何で、こんな世の中になっちゃったんだろう」

    と、怒りを漏らす。

    「あんたも、市販の毛染めにしなよ。安上がりだし、それなりに染まるから」

    そう言われても、主婦はどうしても納得が出来ない様子で、

    「どこか、安く染めてくれる美容院ないかな?」

    「自分で染めるのが嫌なら、あたしがやってやろうか?」

    「・・・・・」

    そうは言われても、彼女はもう一つ我慢がならない様子で、即答を避けた。

    高度成長期の好景気をバリバリ稼いできた世代の主婦たちは、よもや自分たちの老後がこれほど不景気に見舞われるとは思いもよらなかったために、節約のため美容院へさえ思い通りに通えなくなるなどとは、想像すらしてはいなかったはずである。

    これまできっちりと身仕舞を正して生きて来た女性にとって、たかだか髪を整えられないなどということは驚天動地の出来事に他ならない。

    「白髪のままで生きなきゃならないくらいなら、死んだ方がマシだ」

    主婦は、吐き捨てるように呟いた。




       
<今日のおまけ>

    長野市の市街地に熊が出たそうだ。

    ニュースではJR長野駅のホームを歩いていたとも伝えていた。

    熊は二頭いて、一頭は大人のオス。一頭は子供だそうだが、大人の方は午後四時頃、県庁近くで猟友会により射殺されたという。

    もう一頭の捕獲は、日没のため見送られた。

    やはり、今年は山に餌となる木の実が少ないのかもしれないな。




    ところで、女性にとって、身の回りのことで何が最も切実な問題かと言えば、ほとんどの女性が「髪を綺麗に整えること」というそうだ。

    つまり、美容院へ行くということは、ただ単に身綺麗になるという理由だけではなく、多くの女性は、そこである意味小さな人生のリセットをするというほどの気持ちの変化をきたすのだという。

    女性とは、一定のサイクルで脱皮し続けなければ精神を健全に保てないという特徴がある生き物で、そこが男性とは大きく違う点なのである。 

    その時間を規制されては、生きる希望を失ったという言い方も、あながち大げさではないのかもしれない。   

    
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