グループホームの役割・・・・・158

ちよみ

2009年09月08日 12:36

~ 今 日 の 雑 感 ~


グループホームの役割



    以前、信濃毎日新聞に掲載されていた「認知症を生きる」という記事に、山ノ内町のグループホームについて書かれているものがあった。

    そもそも、グループホームというものは、軽度の認知症の人が介護職員の支えで日常生活を営む目的で運営されるNPO法人である。制度上看護師を置く必要はなく、訪問看護や医師の往診以上の医療行為も出来ないというデメリットはあるものの、認知症のお年寄りを抱える家族にとっては、生活を維持するうえで、是非とも必要な施設になっていることは間違いがない。

    入居者は、ほとんどが、要介護度1~2の高齢者が中心であるが、今深刻な問題となっているのは、グループホーム発足時は、軽度の認知症を患っていた入居者たちが、年を経るにつれて、ますます身体が衰え、要介護度が進んでいるといった点であるという。

    入居当初は、職員と共に、率先して家事をこなしていた入居者も、四年、五年と、暮らすうちに、ほとんど自力で歩行することも困難になり、中には、ホームで亡くなるという例も出て来た。

    これは、当初のホームの目的とは次第にかけ離れた方向に動き始めてしまったということでもあり、軽度の認知症のお年寄りを預かるという目的が、除々に、変わりつつあるということでもある。

    この記事でも、症状が重症化し、ホームではこれ以上の延命行為は出来ないという高齢者に対して、もはや、ホームに置いておくのは入居者本人にとっても本意ではないだろうから、最期は自宅で過ごしてもらおうと、その家族に相談したところ、「今さら、帰ってこられても、自分たちでは対処のしようがないので、このままここで預かり続けて欲しい」と、頼まれたという。

    しかし、それでは、軽度の認知症高齢者を預かるという主旨からはずれることになり、次の入居希望者の順番をさらに遅らせるということにもなりかねない。

    重症化したお年寄りに帰宅されても困るという、家族の負担は、充分に判るが、これでは、グループホームへの入居は、早い話が、「先の入居者の死に待ち」ということになってしまう。

    この間、テレビ番組で、北海道のある再生病院の話題を取り上げていたが、そこでは、身体の不自由な老人を預かり、徹底したリハビリを施して、歩けるようになるまでに回復したところで、自宅へ戻ってもらうという方針で、老人の一時預かりを始めたのだが、いざ、老人たちが医師や看護師の献身的な努力もあって、歩けるようになったとしても、家族が、その帰宅を先延ばしにして欲しいと言い出し、病院側とトラブルが絶えないのだという。

    その病院の院長は、患者を入院させる際に、家族から「回復時には帰宅させる」という同意書をとっていると言うが、ほとんどの家族は、最終的にはそれを無視しようとするというのである。

    そのため、その同意書に反した場合は、家族から違約金を取るということも検討しているというのである。

    わたしも、入院している時に、何処も身体に異常はないのに帰宅するのを拒んでいる患者を見たが、働けない、自力で動けないという老人は、家族にとって厄介者の何物でもなく、殊に、夫婦共稼ぎの家庭では、とても老人の介護まで手が回らないというのが実情である。

    「もしも、自分が目を離している間に、年寄りに何かあった場合は、自分のせいにされる。親戚から何を言われるか判らないから、面倒は見たくない」

    そう話す主婦も多い。実際、家族介護での看取り方が悪かったといって、裁判沙汰になった家庭もあるらしい。

    いったん、「親の介護を他者に任せたら、のちのちどのような結果になろうと、文句は言わない」と、いう制約でも取り付けておかないことには、老人介護も出来ないような世の中になりつつあることも事実である。

    これからは、これまでの倍速で高齢化者は増えて行く訳で、亡くなるまで足腰元気で認知症とも縁がないという老人ばかりになってくれればいいのだが、そうもいかないことは明白なのだから、そうした老人が何の憂いもなく人生の最後を豊かに暮らせるような施設の充実を、心底望みたいものである。

   
<今日のおまけ>

    今日、山ノ内町の志賀高原蓮池に、古賀政男作曲の「美わしの志賀高原」の碑が建てられたというニュースを観ました。

    「美わしの志賀高原」は、長野電鉄の湯田中駅でも、電車が発着する度に駅構内に流されているそうです。

    ご当地ソングの中でも、昭和の名曲として有名なこの歌を、一度聴いてみられるのも、話のタネにいいかもしれません。

    確かに、志賀高原の魅力をたくさん盛り込んだ、素敵な歌です。
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