睡眠時間の不思議・・・・・162

ちよみ

2009年09月12日 11:53

~ 今 日 の 雑 感 ~


睡眠時間の不思議


    人間の睡眠時間は、実に様々です。

    一日に三、四時間ほどの睡眠で充分だという人もいれば、八時間から十時間もたっぷり眠らないと調子が悪いという人もいます。

    これは、別に、長時間睡眠の人が怠けものという訳ではないのです。人間には足の速い人もいれば遅い人もいるように、眠りに関しても、同じことが言えるのだそうです。

    ここに、ある女性の例があります。

    五十二歳の女性のAさんは、二十代の時に一度結婚しましたが、子供が出来ないまま三年で離婚してからというもの、その後は、大手の電機メーカーで事務系の会社員をしてきました。

    そんな中、偶然知り合った取引先の会社の同年齢の男性と両想いとなり、男性も独身だったため、半年後には結婚。Aさんは、長年勤めた会社を辞めて、専業主婦になりました。

    根がまじめなA さんは、会社へ出勤する夫のために毎朝六時には起きて、朝食を作り、愛妻弁当をこしらえて、笑顔で夫を送り出していました。そんな生活が、三ヶ月ほど続いた頃、夫がAさんに言いました。

    「きみも、ただの専業主婦でいるのもつまらないんじゃないのかな?もしも、また働きたいと思うのなら、ぼくに遠慮せず、勤めてくれてもいいんだよ」

    この言葉は、Aさんにとっても渡りに船でした。実は、Aさんは、この頃既に、専業主婦でいることに物足りなさを感じていたのです。そこで、すぐさまハローワークへ行き、ブライダル関係の小さな会社の面接を受け、合格。営業ウーマンとして働き始めたのでした。

    もともと明るくて人当たりもいいAさんは、得意先やお客さまにも気に入られ、担当する仕事にも充実感を覚えて行きました。それでも、夫の身の回りの世話に手抜きはしたくありません。毎朝の起床を五時にして、家事もキッチリとこなすように努力していました。

    ところが、しばらくして、Aさんの体調に異変が起き始めたのです。出勤しても常に頭が重く、気分が憂鬱で、恐ろしいほどの眠気に苛まれることがあるかと思えば、心臓がドキドキして冷や汗をかいたりもする。そのことを同僚の女性に話したところ、「それって、更年期じゃァないの?」と、言われ、Aさんも、「きっと、そうね」と、思い込もうとしましたが、とうとう、ある日の朝、出勤しようとした時、ひどいめまいに襲われて、玄関先で倒れてしまったのです。

    Aさんは、連絡を受け、会社からとんぼ返りした夫に付き添われて、病院へ行きました。すると、担当医の言葉は、

    「寝不足ですね」

    Aさんは、驚き、「でも、わたし、夜の十一時には寝ますから、六時間はしっかり眠っているんです」と、答えると、医師は、

    「六時間が、あなたにとってベストの睡眠時間ではないということですよ。どれだけ眠ればその人が活動するに充分な体力が得られるかというのは、ほとんど子供のうちに決定されるのです。あなたは、子供の時分、何時間ぐらい睡眠時間をとっていましたか?」

    「わたしの家は、子供に厳しくて、夜の八時には寝室へ行くように言われていましたから、約十時間は眠っていたと思います」

    Aさんが答えると、医師は、「あなたの身体は、それだけの睡眠時間がないと充分な活動が出来ないようにインプットされてしまっているのです。大人になったので、それでもこれまでは七時間の睡眠時間がとれていたこともあり何とか持ちこたえていましたが、六時間睡眠では、もう限界を超えてしまったのでしょうね。旦那さんのために頑張るのも結構ですが、ご自分の身体のことを考えたら、五時起きはやめた方がいいですね」

    医師の説得もあって、それからは、Aさんは、以前のように朝六時に起きるように生活を戻しました。そして、家事にも少し手抜きをすることを覚えると、仕事と家事の両立も出来、また、一日を元気に過ごせるようになったといいます。

    つまり、睡眠時間は、子供の頃の生活に大きく影響するものなのだということです。

    だからといって、将来のことを考えて、子供に早寝をさせないなどという理屈は通りませんが、子供の頃とあまりにも差があり過ぎるような睡眠のとり方では、病気になる確率も高まるということは事実のようです。

    ですから、「早起きは苦手」と、いう人は、特にズボラな性格という訳ではなく、逆に、子供の頃は夜更かしもしない良い子だったということの証しなのかもしれません。

    

<今日のおまけ>

    京都の言葉とは、実に、奥が深くユニークなものなんですね。

    料亭などでの「いらっしゃいませ」一つとっても、「おいでやす」と「おこしやす」の2パターンがあるとか。

    この言葉の違い、何だと思います?

    「おいでやす」は、ごく一般的なお客に対して使う言葉で、「おこしやす」は、常連さんに対しての言葉なのだそうです。

    どうしてこんな言い方に違いをつけるのかといいますと、「おいでやす」は、単に「来て頂いてありがとうございます」の意味ですが、「おこしやす」は、「お忙しいところ万難を排して来て下さり、誠にありがとうございます」の意味が含まれているのだとも言われます。そして、もう一つの訳は、調理場の板前さんたちへの合図なのだそうです。

    お客を出迎えた女将が、調理場に聞こえるように言うことで、板前さんたちは、「これは、一見(いちげん)さんだな。無難な料理をお出しした方がいいかな?」とか、「ああ、今来られたのは常連さんだな。それなら、今日の特別料理をお出ししてご感想をうかがうとしよう」などと、即座に、調理に対応できるのだそうです。

    京都ならではの、客あしらいと言えますね。
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