励まし言葉の大間違い・・・・・165

ちよみ

2009年09月14日 23:08

~ 今 日 の 雑 感 ~


励まし言葉の大間違い


    あなたは、入院中の患者さんを励ます時、どのような言葉をかけることが多いですか?

    たとえば、こんな言い方をしたこと、ありませんか?

    「わたしの知り合いにも、同じ病気をしたことのある人がいるんだけれど、あなたの方が、全然軽いから、心配いらないわよ。その人も、今は、すごく元気になって、バリバリ仕事しているから」

    これは、一見、とても相手を勇気づける言葉のように思われますが、必ずしも、患者の気持ちを楽にする訳ではないのです。つまり、それは、見舞いに来ている人本人の話ではないですよね。

    要は、他人の経験談です。たとえそれが、真実だとしても、ワンクッション置いた立場での伝聞は、深刻な病気を抱えた患者にとって、ほとんどリアル感がありません。

    聞かされた患者は、「そうだね。そういう人もいるなら、わたしも頑張らなくっちゃね」とは、言いますが、大半がお義理の反応なのです。患者の気持ちの中に、「わたしは、その人じゃない。あなたに何が判るのか。勝手なことを言わないでくれ」という憤懣を植え付けるのが落ちなのです。

    しかし、もし、その見舞客自身が、そういう病気を体験した本人だったとしたら、それは、かなりの励ましになると思います。

    そうはいっても、その見舞客が、こんな言い方をしたのでは、ますます逆効果なのです。

    「何言ってるの。あなたなんかより、わたしの方が、すごい手術したんだから。あなたの病気なんか、わたしのに比べたら、軽いものよ。だから、全然心配することなんかない」

    これでは、まるで、自慢話です。患者は、今現在の自分の辛さや痛みが究極のものだと思っているのですから、そこへもって来て、「あなたのなんか、わたしの比じゃない」などと言われたら、「そうね。わたしよりも大変な経験をしているのだから、あなたの方が偉いわね」などと、言葉では応じながらも、内心は、「冗談じゃない。あなたより、わたしの方が辛さは倍だ」と、反発するものなのです。

    患者は、どんな軽症の患者でも、自分が一番大変な目に遭っているのだと思うものなのです。

    しかし、病気を経験したことのある人は、自分こそが最大の受難者なのだと、思い込む癖があるものですから、とかく、自分の体験を他人に自慢したがるきらいがありますが、そんなところで競争意識を持ち出しても仕方がないことです。

    では、どうしたら、患者の気持ちを穏やかにするよう励ますことが出来るのかというと、心から、 「大変だったね」「痛かったでしょう」「偉かったね」「あなた、勇気があるわ」「わたしの病気なんか、あなたのに比べたら軽いものね」「あなただから、頑張れたのね」-----などという、尊敬とねぎらいの言葉が、最も必要なのです。    
    
    わたしが、身体中の痛みで泣き言を言ってばかりいた時、わたしの伯父が、「そんな痛みは序の口だ。おれの痛みなんか、そんなものじゃない」と、いうので、わたしは、自分自身が体験している、この立ち上がることも出来ないほどの痛みよりも凄い痛みを、伯父は堪えているのかと、内心、仰天していたのですが、それが、まったくの伯父だけの思い込みだったということが、あとで判りました。

    つまり、伯父は、自分が辛いものだから、わたしよりも自分の方が大変な症状なのだと、思い込んでいたのです。それほど、伯父にとっては、今まで経験したことのない痛みだったのでしょうが、医師の話から、伯父の痛みと、わたしの痛みを比べれば、痛みの種類は異なるものの、わたしの痛みの方が、数十倍の激痛だということが判りました。

    それほど、他人の痛みというものは、判らないものなのです。

    「自分の方が上」「自分の方が、大変」「自分の方が、我慢した」-----そんな言葉は、聞かされる側の患者の反発を招きはしても、決して励ましなどにはならないのです。

    わたしは、自分の経験から、常に、こんなことを考えながら、病院へお見舞いに行きます。

    皆さんも、周りに病気の方がおられたら、ぜひとも、尊敬とねぎらいの言葉をかけて差し上げて下さい。それが、患者にとっては、大いなるエネルギーの源になるのですから。

    
  

    
<今日のおまけ>

    フィギュア・スケートの安藤美姫と、コーチのニコライ・モロゾフ氏、いつも感じていたんですけれど、二人、すごく親密そうに試合の打ち合わせなどしていましたよね。

    同じモロゾフコーチに指導を受けている村主章枝には、ごくあっさりと励ましを与えるぐらいなのに、ミキティーには、とても丁寧で、あの激励ぶりや、連続三回転ジャンプが成功した時の喜びようは、ものすごくて、テレビ観戦しているこちらまで、力が入ってしまうほどでした。

    どうして、彼は、あんなにもミキティーにばかり真剣なのかと、奇妙に感じていましたが、今日の新聞の広告欄を見て、「な~んだ、やっぱりね」と、納得してしまいました。

    モロゾフコーチは、まだ三十三歳。なのに、既にバツ3---。

    大丈夫か、ミキティー?

    もはや、そういうことなら、頼むから、来年の冬季オリンピックまでは、いい雰囲気のままで続いていてほしいものです。 



    
    
ところで、

イチロー選手、
9年連続200本安打達成、
おめでとう!!


日本人て、やっぱり大した国民です。





    でも、今、ヤフーニュースを読んでいたら、このイチロー選手の大記録は、アメリカのメディアは、ほとんど報道していないんだそうですね。ジーターの球団記録は、大騒ぎで報道したのに、やっぱり、これって、アジア人差別なんでしょうか?

    いや、アメリカという国は、ものすごい内向きの国民性を持っているから、自国の人間以外は、野球選手と認めていないのかもしれません。そんなことだから、WBCでも、負け続けるんです。

    彼らは、いつまで「井の中の蛙」で、満足し続けるのでしょうか?

    
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