大魔が時
< 不 思 議 な 話 >
以前、ブログに書いた「不思議な話」を、再掲載します。
大 魔 が 時
皆さんは、「大魔が時・おおまがとき」という言葉をご存知ですか?「大禍時」または、「逢魔時」とも書く言葉ですが、この言葉が指す時刻は、ちょうど夕方の頃、辺りが薄暗くなりかけ、向こうから歩いて来る人の顔なども判然としにくくなった時間のことを言います。
つまり、この時刻になると、まだ暗さに目が慣れていなかったり、昼間の暖かさから急に冷え込んで来たりして、事故や病気の引き金になることが多かったため、古来より、魔物が跳梁(ちょうりょう)する時間と恐れられ、このような呼び方がされていたものと思われるのです。
それ故、不思議な現象に出くわしたという人の話を聞くと、真夜中に次いで、この時刻にそうした経験をした人が多いということも頷けます。
これは、わたしの父が体験した話なのですが、わたしの家は、家から少し離れたところに少しばかりの家庭菜園を持っていまして、その一角を、駐車場として近所の人たちに借りて頂いています。
父が、ある夏の日の夕方、その家庭菜園で、野菜の水くれをしていた時のことです。
ふと気が付くと、背後に六十歳ぐらいの女性が立っていたのだそうです。
小柄で品のいいその女性は、父が振り向くと、にっこりと笑って、「わたし、すぐそこの家の者なんだけど、今度、娘が免許を取って、自動車を買いたいというので、娘の車をここへ駐車させてもらいたいんだけれど、いいでしょうか?」と、言うので、父が、「ああ、いいけど、どんな自動車だい?」と、訊きますと、紺色の軽自動車だと、答えるので、「じゃァ、正式な手続きをしてもらうから、明日にでも家の方へ来てくれ」と、言って、その日は別れたのだそうです。
ところが、その女性は、数日しても家に来なかったので、父は、また、菜園で作業をしていた時に、近くを通りかかった近所の人に、その女性のことを訊ねたのですが、その近所の人が言うには、「その女性(ひと)なら、たぶん、〇〇さんの家の奥さんだと思うけど、でも、その奥さんなら、先月病気で亡くなったはずだで。ほんとに、そこの家の者だと言ったのかい?確かに、娘さんは、最近自動車免許を取って、紺色の軽自動車に乗っているけどねェ」と、いう、答えでした。
父は、その近所の人は、きっと誰か別の女性と間違えているのだと、思ったようですが、でも、その女性と出会った時刻は、正に「大魔が時」------。不思議な、夏の出来事でした。
共同浴場の子供
わたしの家のある地区には、近所の人たちだけが入れる天然温泉の無人の共同浴場があります。そのお風呂の入口にはマグネットタイプの鍵がかかっていて、その鍵を持っていない人は入れない仕組みになっているのですが、時々、その鍵を持っている人から借りて、近所(組みうち)以外の所から入浴しに来る人もいるため、少々問題になっているのです。
つい最近、その共同浴場で、わたしの知っている近所のある女性が、何とも不可思議な体験をしました。
時刻は、夜の十一時頃、女性一人で入浴するには、少し遅い時間ではありましたが、真冬の寒さで凍えた身体を温めてから帰宅しようと、その女性は仕事帰りにお風呂へ立ち寄ったのです。
浴室へ入ると、一度湯船につかった後で、脱衣室と浴室の間の大きなガラス戸を背にして、鏡に向かった位置に立ち膝をつく格好で、洗髪を始めたのですが、しばらくすると、背後に何かの気配を感じて、目の前の鏡を見たのだそうです。
すると、そこには、緑色の毛糸の帽子をかぶった小さな子供がガラス戸越しにこちらを覗いて、ニコニコ笑っている姿が映っていたので、「ああ、この辺の子供じゃァない子が、来ているな」と、思い、また洗髪を始めたのですが、その子は、まったくこちらへ入って来る様子がありません。不思議に思った彼女が、今度は改めてちゃんと振り返ってみたところ、そこには、誰もいなかったというのです。
確かに、考えてみれば、そんな時間に親にも連れられずに、外湯へ来るような子供がいる筈がありません。「もう、あんまり怖かったから、急いで上がって来ちゃったわよ」と、その女性は、蒼くなって話していました。その子供は、いったい何だったのでしょうか?単に、彼女の思い違いだったのでしょうか?------実に、不可思議な出来事です。(^_^;)
<今日のおまけ>
信濃グランセローズのチーム第一期生たちが、ここでほとんど球団を去ってしまった。
彼らには、三年間、本当にお疲れさまでしたと、言いたい。まだ、BCリーグが海の物とも山の物とも分からない黎明期を支え、地域に名前を知れ渡らせてくれた貢献は大きい。
来年のスコアボードから彼らの名前が消えるということは、寂しい限りだが、元セローズ選手たちの再出発に、幸多かれと、祈りたい気持ちでいっぱいである。
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