~ 今 日 の 雑 感 ~
★☆本当に伝えたいこと☆★
まずは、以下の文章を読んでください。
「わたしは、この連休中に、家の中の大掃除をしました。押し入れの中を整理していたところ、小さな箱を見つけ、『何が入っているのだろう?』と、ふたを開けてみますと、中には、たくさんの写真が無造作に入れられていて、その一枚一枚を眺めていると、一人の外国人の若い女性が写っている写真を見つけました。
それは、今から30年ほど前の秋に、我が家にホームステイしていたオーストラリア人の23歳の大学生の写真でした。彼女は、わたしの家に約一月ほど寝泊まりし、日本の文化を学んで帰国したのですが、写真は、そんな彼女の思い出にと、我が家の庭で撮ったものでした。ある日、彼女は、近所の田んぼに出かけ、風にそよぐ一面の稲穂を見て、驚きの歓声をあげました。そして、わたしに、こう訊ねたのです。
『あれは何ですか?』
わたしは、彼女が稲穂を見たことがないことに驚き、
『これはライスよ』
と、答えようとして、ハタと困りました。確かに米はライスだが、これは稲穂だから、何と英語では言うのだろう?。そして、思いつくままに、米の植物だから、「ライスプラント」だと、返事をしました。彼女の国では、米を食べることもあるそうなのですが、それがどのように出来ているのかあまり知られてはいないのだそうで、麦畑の光景しか見たことがないというのでした。
それでも、わたしは、自分の答えに不安もあったので、一応辞書で『稲』を引いてみると、そこには、正しく「ライスプラント」の文字が。自分が間違っていなかったことに、安堵しました。
そんなことを思い出していると、あの秋の日、穏やかな陽光の中ににっこりと微笑んでいた、彼女のことが急に恋しくなり、また、いつか何処かで会いたいものだと、懐かしさがこみ上げるのでした。」
この文章の中で、筆者が最も読者に伝えたいことは何だと思いますか?
これが、もし、国語の問題だとしたら、答えは、「オーストラリアから来たホームステイ女性との思い出」とか、「懐かしい異文化交流について」などということになるのでしょう。
しかし、この文章をもっと噛み砕いて考えれば、それは、「わたしの英語力自慢」が答えとなるのです。
文章を書く人は、必ずその行間に自分が本当に書きたいことを、それとなく盛り込むことが多いのです。
つまり、この筆者は、30年前のオーストラリア人女性との懐かしい思い出にかこつけて、自分が「ライスプラント」という言葉を、誰に教わることもなく、自分の知り得る英語を組み合わせて考えたという、「わたしって、なかなか英語力あるでしょう?」という自慢話を、この文章の中に盛り込み、それが最も伝えたかったことなのだということが判るのです。
もしも、筆者が、こう書いたらどうでしょう?
「30年前に我が家にホームステイしたオーストラリア人女性が、『稲』を知らなかったので、わたしは、自分の知り得る英語を駆使して、彼女に『それはライスプラントだ』と、教えることが出来たのです。わたしの語学力も、なかなか大したものでしょう」
これでは、実に、えげつない自慢タラタラの鼻もちならない文章になってしまっていたはずです。
文章というものは、存外曲者なのです。そこに書かれていることが、本当に筆者の言いたいこととは限りません。
やたらに比喩を使って、相手に自分の真実の気持ちを伝えようとする場合など、その比喩が複雑すぎて、結局何を言わんとしているのか、さっぱり伝わらないということだってあるのです。
わたしもある時、ブログのコメントで、あまりに遠回しな言い方がひどくて、返事のしようがないものを頂いたことがありました。しかも、それは、わたしの記事に対する反論のコメントだったらしいのですが、文面は、どう読んでも、わたしに共感しているようにしか取れないのです。
しかし、後日、そのコメントを書き込んだブロガーさんのブログを読んだところ、「なんか、勘違いされたみたいだ。もう、コメントを書くのはやめよう」と、書かれていました。
そのブロガーさんは、おそらく、ストレートに反論を書き込むことが怖かったのだと思います。言葉をオブラートに包み過ぎたことが、失敗の元だったのでしょうね。
しかも、自分に文才があると自負しているような人ほど、回りくどい言葉を使いすぎて、こういうポカをやりがちなのです。
もし、その筆者の言いたいことが大雑把に判っても、もう一度、文字と文字の間、文と文の間を、じっと味わってみてください。そうすれば、そこに、真に書き手の言いたいことが、自然と浮き出して来るかもしれませんから-----。
<今日のおまけ>
ブログには、「読者登録欄」というものがありますよね。
この「読者登録」ですが、いったいどなたがが登録して下さっているのかということは、判らないものなのでしょうか?
わたしの登録者は、現在3名の方ですが、そのうちの1名がどなたなのかは、判っています。わたしが、ブログを始めたその日から、読者登録してくださっている方です。
でも、そのあとの2名がどなたなのか判りません。
とはいえ、この毒舌と愚痴ばかりのブログを、読者登録してまでお読みいただいているとは、本当にありがたい限りです。