寂しい子供たち・・・・・283

ちよみ

2009年12月12日 20:06

~ 今 日 の 雑 感 ~


寂しい子供たち


    近頃の子供たちを見ていて思う。

    この子たち、本当に子供時代を楽しんでいるのかなァ?-----と。

    わたしたちが子供の頃って、ワイワイガヤガヤ、街中に子供の声がいつもあふれていた。小学校や中学校の登下校時間などは、もう、うるさいぐらいに子供同士が流行りの歌謡曲を歌ったり、リコーダーを吹いたり、怒鳴り合ったり、ふざけ合ったり、などなど、それはすさまじいものだった。

    子供は、普通、全身で声を張り上げて話をするものだ。そうやって、体力を付け身長も伸び、成長していくはずなのだ。

    しかし、近頃の子供はどうだろう。登下校中も皆不思議なほどにおとなしい。確かに、友達同士で話もしながら歩いてはいるのだが、まるで、お通夜の帰りのようにちんやりとしている。

    礼儀も正しいし、言葉使いもさほど悪くはないが、何処となく「覇気」が感じられない。大笑いするとか、怒りをあらわにするとか、感情が乏しいように思う。

    そんな原因の一つに、「言語活動の貧困」をあげる大学教授もいる。奈良教育大学の小柳和喜教授は、子供たちの会話のための「話題のハブ機能」がなくなってきて、逆に携帯電話特有の(無機質な)言語文化が発達したことで、子供たちが、自分たちの感情や意思を、その貧困な言葉では表現しきれなくなっているのではないかというのである。

    だから、感情が表に出てこない分、いきなり暴力的に爆発したり、突飛な行動に走ってしまったりもするのだろう。

    わたしたちが子供の時代、教授の言う「話題のハブ機能」の役割を果たしていたのが、本年度いっぱいで高学年向きの休刊が決まった小学館の学習雑誌であり、また、アイドルと呼ばれる芸能人たちの存在であった。

    小学館の学習雑誌は、「小学五年生」「小学六年生」が休刊となるという。

    漫画、芸能情報、勉強方法と、話題が満載で、常に子供たちの話題の核をなしていた学習雑誌の休刊は、ある意味、時代の変化を如実に表している現実といえる。要するに、子供たちがみんなで盛り上がれる「話題のハブ」が、今はないのである。

    個人の好みが多様化したことで、タレントや歌手、俳優たちに関しても、知っている人たちは知っているが、知らない人たちは名前さえも聞いたことがないということが、今の社会にはゴロゴロしているのだ。子供たちは、インターネット社会の中で育ち、自分に関心のあることには恐ろしく前向きに取り組むが、まったく関心のない話題には見向きもしない。

    そのため、付き合う友達も細分化し、固定され、その友人同士でさえ、かつての子供たちように、互いに悩みを打ち明け合うような、深く相手に踏み込んだ付き合い方など決してしないのである。

    必然的に、友達は少なくなり、気心を許して大声を上げるなどという無作法なことはできなくなるのであろう。

    しかし、小柳教授は、こうも言っている。「子供たちが携帯電話などで作り出した言語文化を問題視するだけではなく、学校で学ぶ言葉と、(遊びで使う)他の言葉との違いを教える必要があると思う。文章のエキスパートである学習雑誌なら、たとえば、ケータイ小説と作文の違いを特集するなどの試みも出来るのではないか?」

    わたしも、インターネットに偏りがちな子供たちの生活の中にも、間違いなく、活字文化は必要であると思うし、また、雑誌でなくては伝えられないこともたくさんあると思う。

    子供は、言わば空想の中で生きる動物であるから、インターネットのような短絡的な文字の配列では到底伝えきれない言葉の重みや味わいというものも、必ず必要なはずなのである。空想を巡らす時、その下地となる雑誌や本が欠かせないアイテムであることは、今も昔も変わってはいない。

    生き生きとした子供たちの表情を再び取り戻すためにも、やはり、紙に書かれた文字や共通の話題は、間違いなくこれからの社会にとって不可欠なものであるということを、明言したいのである。
<今日のおまけ>

    冬は太陽が出ている日中の時間が短く、また、寒いので家の中に閉じこもりがちになる。

    特に、高齢者にはこの傾向が顕著である。下手をすると、一日中カーテンを閉めた部屋の中で、テレビを見て過ごすお年寄りもいるそうである。確かに、厳寒に表へ出て雪道で滑って転び、骨折でもしてはたまらない。

    しかし、そうやって、日光にあたらずに過ごす時間が増えると、体内のビタミンD が活性化せずに、骨が弱くなるという現象が起きるらしい。そして、春になり、いざ外へ出ようとしても足が立たないなどということもあるそうなのだ。

    また、日光不足は脳にも影響を及ぼし、うつ傾向になる人が増えるのも冬の時季だという。

    それらの改善策として、たとえ、手の甲を十分間ほど日光に当てるだけでも、効果はあるそうだ。

    やはり、人間には太陽の光が大事なのだと、実感される話である。    
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