年越し派遣村民のその後・・・・・293

ちよみ

2009年12月21日 17:23

~ 今 日 の 雑 感 ~


年越し派遣村民のその後



    NHKのクローズアップ現代で、昨年末の「年越し派遣村」で、ボランティアの炊き出しをもらう生活を余儀なくされていた人たちが、一年を経て、どのような暮しをしているかを取材した番組を放送した。

    49歳の男性は、17年間フォークリフトの専門職を続けてきたが、会社の業績の悪化で職を失い、日雇いの仕事を転々としたが、ついに、この不況でその日雇いの仕事もなくなり、昨年、年越し派遣村で年末年始を迎えることとなってしまった。

    そして、その後、生活保護を受けながら、アパートにも住むことが出来、再就職のクチを探すため、50件もの会社を回り、面接も受けたが、すべてが、不採用の返事であったという。

    その理由の一つに、男性が、派遣社員ではなく、正規雇用を望んでいるということがある。派遣は、いつまた離職という問題に直面するか判らないため、怖くて受け入れられないのだというのだ。しかも、職を得れば、これまでの生活保護が打ち切られてしまう。派遣社員を受け入れ、また、解雇という時になって、再び、生活保護が受けられる保証はないというのである。

    さらに、そのほかにも、男性がこだわるものは、やはり、これまでの17年間で培ったフォークリフトの技術を生かした職に就きたいという願いなのである。

    そんな折、男性に恰好ともいうべきフォークリフト操作の正社員の求人情報が舞い込んだ。

    男性は、即座に、面接を受けたが、相手の会社の求人が、最初は正社員募集であったのが、面接後は、派遣ならば雇用するという物に変わってしまったのだという。

    男性は、熟慮の末、この会社の申し出を断わった。

    つまり、このような、雇用する側と、職を求める側との希望がかならずしも一致しないというミスマッチが多く、派遣村の元村民たちの就職がうまく運んでいないという現状が浮き彫りになっていると、番組は説明していた。

    この男性は、それから、今度は手に職を付けようと、就職支援のための職業訓練校への入学を希望したのだが、やりたい職業訓練は、既に定員オーバーで、入学はかなわなかった。

    では、こういう男性のようなケースは、どうしたら正社員としての就職が出来るのだろうか?

    それは、あくまでも自分の希望の職種を押し通すのではなく、発想を転換させて、まったく新しい分野の職を見つけることだというのである。

    しかし、これまでの年功序列で長年同じ会社へ勤めることが立派なことで、また、それが男としては当然の進路だと思い込まされて来た日本の男性たちの頭を、派遣や、別の職種へ切り替えさせるというのは、正に至難の業であるというのである。
 
    かつて、国鉄からJRになった時にも、再雇用からあぶれた男性社員たちが、どうしても、元の運転士や車掌に復帰しなければ承知しないと、再就職先として会社が用意したパン屋さんや飲食店などの求人を蹴って、JRを相手に再雇用を迫り続け、ついに定年を迎えてしまったように、どうしても、過去の仕事への執着を捨てきれないというのが、就職ミスマッチの最大の要因ではないかということであった。

    これを見る限り、彼らは、本当に背に腹は代えられないという状況ではないのではないかと、戦後の食糧難を死に物狂いで生きて来た、わたしの父親たち世代は、感じるようである。

    父親たちの時代は、職にありつければ、何でも構わないという究極に切羽詰まった時代であったから、皆、不本意な職についても文句一つ言わずに勤め上げたのだという。

    そういう意味からすると、確かに、不況で失業者が急増とはいっても、何処まで額面通りに受け取ってよいものやら判らないというのが今の失業率なのではないかと、思うのである。

    この番組を観ていて、この49歳の男性が、いつまでもフォークリフトのオペレーターにこだわらず、介護の分野などにも目を向けてくれたなら、どんなにか社会のためにもなるのではなかろうかと、考えた次第である。 
<今日のおまけ>

    友人から届いたクリスマスカード。

    こんな可愛いカードを頂くと、やっぱり、クリスマスって、ロマンティックな気持ちになりますよね。

    
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