(笑)の考察 

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    皆さんは、文章の終わりに(笑)を付けることがあるだろうか?

    この(笑)という書き方だが、一つ置き方を間違えると、とんでもなく相手の気分を害させてしまう言葉の凶器でもあるのだ。

    たとえば、今から二年ほど前の信濃毎日新聞の記事にこんなものがあった。

    あるフランス料理のシェフが書いた文章中のくだりである。

    「長野電鉄の須坂駅の構内に、地元の生産者のみなさんが持ち寄った新鮮な農産物を販売する、無人の青空市場風の売店を発見し思わず足を止めて、見入ってしまいました。----何といってもカボチャの種類の多さにびっくりしました。----黄色やオレンジのものまで色とりどり。形や大きさも、丸いものから長細いものまで、大小さまざまで----『ここはヨーロッパの市場かな?』と錯覚しそうでした(笑)。」

    この文章を読んだ時、わたしは、この(笑)の使い方に疑問を感じたのである。

    これは、ヨーロッパ各地を旅行したことのある著名な筆者が、須坂駅構内の無人青空市場風の売店に売られているカボチャの種類の豊富さに驚いた----ということなのであろうが、『ヨーロッパの市場かな?』と錯覚しそうになったというあとに(笑)を付けたことによって、「そんな訳ないでしょ。冗談だよ。たかだか田舎の無人販売所が、そんな風に見えるわけないだろう」と、いう筆者の高慢さが読みとれたのであった。

    もしも、そうした感想を聞けば、「そんなつもりはなかった」と、おそらく筆者は答えるだろうが、読み手の側に田舎コンプレックスがあったとすれば、そう受け取られても仕方がない書き方なのである。

    また、こういう例もある。

    相手に何かを頼もうとした文章のあとに(笑)を付けた場合である。

    「今度、〇〇をお願いしますね。(笑)」

    これも、相手の機嫌を損ねるには十分な書き方である。

    この(笑)は、相手に対しての親しみを表現していると書き手はいうだろうが、それほどお互いが親しい間柄ではない場合は、やはり、「〇〇をお願いするつもりなんかさらさらないよ。本気にするなよ、冗談なんだからさ」と、いう意味として相手には伝わる可能性が大なのだ。

    しかし、この(笑)という表記は、自虐的な文章には有効な書き方かもしれない。

    「この間、何もない道で突然転んで、子供に不思議な目で見られたよ。(笑)」

    こんな場合なら、読む側も素直に笑えるだろう。

    しかし、書く場所によっては、相手を軽蔑したり軽んじたりする文章となるために、読む側に多大な不快感を与えることにもなり兼ねないのである。

    たかが(笑)だが、されど(笑)でもあることを、忘れて欲しくはないものである。

(笑)の考察 

    

<今日のおまけ>

    自分や他人の本気度を測る時、こんな風に考えるといいという。

    たとえば、女性宇宙飛行士の話題をテレビで観ていた主婦が、「自分も宇宙飛行士になりたい」と、思ったとする。

    でも、彼女はすぐにこう思って諦める。

    「あたしなんて頭も悪いし、英語だって苦手だし、だいいち結婚しているし、夫が許してくれるわけないわ」

    それじゃァ、もしも夫が許してくれたら英語を一から勉強し直して宇宙飛行士を目指す気持ちがあるのか?

    夫が許してくれない場合は、離婚してでも宇宙飛行士になりたいという気持ちがあるのか?

    このように、コントロール可能な原因をすべて洗い出したあとでも、なお宇宙飛行士になりたいと思う気持ちが消えない場合は、あなたの本気度はかなり高いといえるのだそうである。

    

    

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この記事へのコメント
こんばんは。

そう言われてみると(笑)のつけ方というのはかなり微妙なものですね。

僕も良く使ってしまいますが、気を付けないといけないと思いました。

つける方は、文章を穏やかにする、という想いや
、親しみをという想いで使うのでしょうが、とり方によっては、馬鹿にされたと、とっても仕方ない場合も出てきますね。

絵文字ならまだ穏やかなものですが、(笑)となると、いろんなとり方が出来ますから、慎重にしたいものです。
Posted by こみさんこみさん at 2012年05月10日 20:14
こみさまへ>  

 こんばんは。  
 顔の見えない文字だけのコミュニケーションの場合は、ちょっとしたことでも相手の気分を損ねることがありますよね。 
 おそらく、表情や声があればそんな風に誤解されることはないだろうというケースでも、文字のみでは本心を伝えるには限界があることも事実です。  

 以前、わたしは、自分の書くブログを「面白すぎる」と、言われたことがありましたが、この「すぎる」という言葉にも、ひっかかったものです。「すぎる」にしても(笑)にしても、使い方によっては相手を小馬鹿にしているように受け取られることがあるものです。 

 時々、文章の最後に(苦笑)を多用する人もいますが、こういう書き方を読むと、「そんなに格好付けたいのか?」と、思うという人もいました。 

 わたしも時々、(笑)は使ってしまうのですが、時にはこうした誤解(もしくは曲解)されるリスクもあり得るので、使う時は出来るだけ自虐的に使おうと思っています。  

 そうですね。おっしゃるように、こういう場合は、(笑)よりは、絵文字の方がまだ救いがあるように思います。上記の新聞記事の(笑)も、もしも(驚)とか(感心)という表記でしたらまた全然受け取り方も違ったのではないでしょうか。   
Posted by ちよみちよみ at 2012年05月10日 21:29
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