高校野球の不思議

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    雲はわき光あふれて  天高く  純白の球 今日ぞ飛ぶ・・・

    高校野球の夏がやって来た。

    高校野球と言えば、まだ20代前半の頃、「ああ、紺碧の空高く」という高校球児たちを主人公にした新聞連載小説を書いていたこともあったな。



    ところで、「たかじんのそこまで言って委員会」で、元某高校野球部監督が高校野球にまつわる不可思議な疑問点を様々あげていた。

    この元監督は、甲子園大会で推薦枠で出場した高校に、自分のチームが負けたことを悔やみ、

    「推薦枠になど負けるとは思わなかった。腹を切りたい」

    との暴言を吐いたことが問題視され、監督をやめた経緯のある人だ。

    この元監督が説明するには、高校野球で大活躍した選手も、ひとたびプロ野球選手になれば、たとえ母校へ来てもグラウンドへは一歩たりとも入れないし、もちろん後輩の練習に付き合うことなど絶対にしてはならないのだという。

    中学生まではプロ野球選手や元プロ野球選手にコーチをしてもらうことも可能なのだが、高校野球や大学野球では、これが許されていないのだとか。

    そのため、もしも父親が元プロ野球選手の場合、息子が野球部へ属していても、決して息子に野球を教えてはならないし、家の中で野球に関係する会話さえ基本的にはNGなのだそうである。

    最近は、プロ野球選手も母校に限り後輩と一緒にランニングなどの練習をすることを許されるようになったそうだが、こんな理不尽な規則は、早く撤廃して欲しいと元監督は話す。

    さらに、高校野球では、生徒が別の高校から転校し越境入学した場合、その生徒が野球部へ所属しても公式戦への出場は一年間認めないというようなルールもあるそうだ。

    高校野球の不思議これは、優秀な野球留学生を他校から引き抜くという場合も考えられるための措置だという。

    この際、親の転勤などで家族も一緒にその土地へ移り住んだ場合は、例外として出場を認める場合もあるそうなのだが、それにもかなり厳しい調査がなされるということであった。

    以前、わたしが聞いた話では、プロ野球はお金を稼ぐという目的のためのスポーツであるから、アマチュア野球規定に照らしてみれば、崇高なスポーツマンシップに反した者たちだと見なされるのだという。

    ある野球評論家は、プロ選手は、金で身売りする「男芸者」にたとえられていたこともあると、プロとアマチュアの確執について語っていた。

    サッカーは、プロ選手が高校生を指導することも許されているのに、どうして野球だけはいけないのか?

    多くの高校球児たちの最終目標はNPBへ行くことである。

    それには、実力のあるプロ選手から教えを請いたいと思うのは当然のことなのに、それが許されない今のシステムは日本の野球の未来を潰しているも同然だ----と、元監督は言いたいようであった。

    とはいえ、全国高校野球選手権大会は主催者が新聞社で、テレビの甲子園中継には今や民放も参入し、多くのスポンサー出資で成り立っていて、しっかり興行の色合いが濃いのだから、ほとんどプロ化していると言っても過言ではないはずなのだが・・・。

    高校野球の不思議は、数え上げればまだまだ出て来そうだ。



    

<今日のおまけ>

    やっと雨が上がりましたね~。icon01



    で、高校野球の出場資格規則には、

    第5条 参加選手の資格は、以下の各項に適合するものとする。
   (1) その学校に在学する男子生徒で、当該都道府県高等学校野球連盟に登録されている部員のうち、学校長が身体、学業及び人物について選手として適当と認めたもの。

    という一文もあるとか・・・。

    だから、女子は、かろうじてベンチ入りが許されるマネージャーにしかなれないんですね。

    それならせめて、女性監督が采配を振るうチームが甲子園で大活躍するところでも観てみたいものです。
    

    

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この記事へのコメント
最近は減りましたが、高校球児聖人伝説とも言うべき都市伝説並みの幻想を抱いている大人が多かったですね。
長野五輪より後でしたが、富山へ撮り鉄しに行き帰りの列車の中で他人の話を聞くとも無く聞いていたら
「息子が吹奏楽部に入りたいと言う。怒ってやった 音楽などくだらない。野球部に入れ」と。
吹奏楽部がくだらないとは何たる暴言 と吹奏楽部出身の私は憤りを感じました。
Posted by DT33DT33 at 2012年07月08日 21:56
DT33さまへ>  

 こんばんは。  
 「高校球児聖人伝説」---確かに、大人たちの中には、そのように球児を神格化する風潮がありますね。そうあって欲しいと思いたい訳です。(わたしにも多少、そういう気持ちが無きにしも非ずですが・・・)
 でも、そんな幻想を押し付けられる球児たちこそ災難なのかもしれないですね。
 
 「たかじんの~」でもパネラーたちが話していましたが、「夏の甲子園大会を主催する新聞社の社旗は、旧海軍の軍艦旗みたいなものだから、入場行進に学徒出陣のイメージを重ね合わせているんだ」とのことでした。 

 あの壮観な一斉前進を見て、感激する人も多いのではないでしょうか? 球児に丸刈りを奨励するのも、そのような裏の理由があるのかもしれませんね。  

 「吹奏楽部よりも野球部に入れ」というのも、大人のエゴですね。吹奏楽部だって、立派な部活です。 
 DT33さんは、長商の吹奏楽部だったんですか。では、高校野球公式戦の時は、野球部以上の大活躍だったのでは? 
 わたしは、女子ばかりの高校だったので、野球部の応援が出来なくて実に残念でした。  
Posted by ちよみちよみ at 2012年07月08日 22:34
応援は燃えました。
今考えると、あの暑いグラウンドで楽器担いで応援演奏した事が信じられません。
勝利の時は疲れも暑さも感じませんが、負けたときは放心しました。
Posted by DT33DT33 at 2012年07月09日 11:12
DT33さまへ>

 こんにちは。

 炎天下での応援合戦は、高校野球ならではの醍醐味ですよね。
 高校野球の定番応援ソングを力いっぱい演奏するのは、高校吹奏楽部員のみに与えられた特権だと思います。
 DT33さんも、「海のトリトン」や「狙い撃ち」を一生懸命演奏されたのでしょうね。
 
 そうですか。
 「勝利の時は疲れも暑さも感じませんが、負けたときは放心しました」---スタンドとグラウンドが一体になるという感覚は、めったに味わえない体験ですね。
 素晴らしい思い出を持っておられて羨ましいです。
Posted by ちよみちよみ at 2012年07月09日 18:02
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