東日本大震災にまつわる不思議なエピソード
2013年08月24日

不思議なエピソード
昨日の大雨も上がり、秋風が感じられる涼しい一日だった。
昨夜のNHK総合では、東日本大震災で肉親を亡くしたそれぞれの家族の悲痛な思いを特集していたが、中でも印象に残ったのが、「不思議な白い花」の話だった。
大好きな父親を、まだ54歳という若さで津波に奪われた女性が語っていた。
「震災後、ようやく父親の遺体が見付かったので、急いで遺体安置所へ向かったのだが、遺体に触れることが許されなかった。どうしても、最後に一度だけでも触りたかったのだが、ただ眺めるしか出来なかった。
その時、気付いた。お棺に納められている父親の胸に、見覚えのある真っ白な花が一輪置かれていることに・・・。
で、思い出した。
自分の職場のげた箱は、ロッカーのように鍵がかかるタイプで、そのげた箱に靴を脱いで入れると、いつもちゃんと鍵をかけていたのだが、ある日、帰り際にげた箱から靴を出して履こうと片方に足を入れたら、足に何かが触った。
ひんやりと冷たくて、やわらかい感触・・・。靴下の上からでも、それがはっきりと分かった。
何だろうと靴の中を見ると、まるで今摘み取って来たかのようなみずみずしさを保った真っ白な花が一輪入っていた。
遺体安置所の父親の上に置かれていた花が、正にその花だった。
ああ、きっと、父の遺体に触れたとしたら、あの花の感触と同じだったんだろうな・・・。あの日の白い花の感触は、父親の肌そのものだったに違いない」
本当に不思議な体験談だった。
これを語った女性は、今、大震災の記憶を原稿にまとめているそうだ。
他にも、保育園に通っていた息子を津波で亡くした母親は、最近、自宅の仏壇の前に座ってニコニコ微笑んでいる息子の夢を見たといい、やはり、津波で奥さん、11カ月の長男、生後間もない次男を亡くした男性は、背が伸びてお兄ちゃんらしくなった長男と次男が着物姿の見知らぬ女の子と手をつないで夢に現われたと、話していた。
男性は、
「二人の息子がすぐそばにいることが分かるんです。だから、いつまでも悲しんでばかりいられない。息子たちに恥ずかしくない父親になります」
と、前向きな決意を言葉にしていた。
あの日、思いもかけない悲劇に襲われた人々は、皆、何とかして愛する肉親の死を納得し受け入れようともがいている。
「どうして、彼らは死ななければならなかったのか・・・。運命などという陳腐な一言で片付けて欲しくはない」
しかし、その答えが出ない以上、おそらく遺族は一生それを納得することは出来ないであろう。
ならば、せめて、彼らの想いを自分の想いとして心の中にその存在を感じていたい----その気持ちがこれからの人生を前向きに生きるための支えともなる----そう番組は伝えたかったのではないかと思いながら視聴した。
Posted by ちよみ at 21:20│Comments(0)
│ちょっと、一息 49
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