ちょっと、一服・・・・・35

~ 今 日 の 雑 感 ~

ブロッケンの妖怪


    皆さんは、「ブロッケンの妖怪」と呼ばれる現象をご存じでしょうか?

    これは、特に山岳で見られる大気光学現象の一つなのですが、またの名を「ブロッケンの怪人」などとも言われます。

    この現象は、ドイツのブロッケン山で目撃されることが多かったため、このように呼ばれるのだそうですが、要するに、登山などで山に入った時、自分の身体の背後から太陽光が差し込み、遠くにある雲の粒子や霧の粒子に自分の姿が大きな影として映るとともに、その影の周りには、虹に似た光の輪が出来ることから、こんな名称が付いたものらしいのです。

    しかし、この「ブロッケンの妖怪」は、何もドイツだけに発生するものではありません。日本の、しかもわたし達が住む信州の比較的標高の高い山岳でも、よく起きる現象なのです。これから、信州は、山菜採りの本格的シーズンを迎えます。近くの山へ入り、コゴミ、ワラビ、ネマガリダケなどなど、色々な山菜を採るための山歩きに興じる人たちも多いのではないでしょうか?それも、夏山だという気楽さから、軽装で、満足な食料も携帯せずに登山をし、山で行方不明になるケースも、年々増加しているのだとか------。こういう遭難者の中には、案外、山菜取りのベテランも含まれているのが実情です。

    ちょっと、一服・・・・・35では、どうして、そんな山のベテランが道に迷ったり、最悪、沢に転落したりして遺体で発見されたりするのでしょうか?その原因の一つに、この「ブロッケンの妖怪現象」があるといわれています。

    わたしの近所に、やはり山菜取りが大好きで、この季節になると、必ず志賀高原へワラビ取りに行くという年配の男性がいます。この男性が、まだ五十代の頃、気の合う友人たちと一緒に、志賀高原のある場所へワラビを採りに入ったのだそうです。そこは、男性たち地元の人間しか知らないワラビ採りの穴場で、男性は、あちらこちらにたくさん生えているワラビを、わき目も振らずに採り続けていたのですが、持ってきた籠がようやくワラビでいっぱいになったので、いったん、自動車の中へ運び入れて来ようと、腰を伸ばしました。が、その時、おかしなことに気付いたのです。男性は、ワラビ採りに夢中になっても方向だけは間違えないようにと、常に、志賀高原の有名な山の笠岳を背にしていたはずなのですが、その笠岳が、今は、目の前にあるのです。近くにいた友人の一人も、この様子に不審を感じながらも、男性と二人で、自動車のある方角へと歩き出しました。
    しかし、行けども行けども、乗って来た車が見つかりません。不安になった男性と友人は、大声で、他の友人たちを呼びましたが、すぐ近くでワラビ採りをしているはずの他の友人たちからは、何の返事も返ってこないのです。
    ますます不安になった男性が、気を取り直して、もう一度、笠岳を見た時、不思議なことに、今度は、まったく逆方向にその山はあったのです。
    「なんだ、こっちが笠岳じゃないか。じゃァ、今までおれたちが見ていたのは、何だったんだ?」
    二人は、自分たちがどんどん逆方向へ歩いて行っていることにようやく気が付き、それからやっとの思いで、他の友人たちの待つ自動車のある場所へと戻って来られたのだそうです。しかし、その時は、既に辺りは暗くなり、もしも、実際の笠岳の位置に気付くのがもう少し遅れていたら、大変なことになっていたと、今も話してくれます。

    これは、明らかに、「ブロッケンの妖怪」に他なりません。山の霧粒に、笠岳が映り、山が反対側にあるように男性たちに思わせ、方向を見失わせていたのです。実に、怖いことだと思いました。

    「たかが山菜採りと山を侮ると、大変な目に逢うぞ」
    その男性の言葉は、正に、これからの季節の教訓です。
    皆さんも、山に入る時は、くれぐれも方向を勘違いしないように、気を付けて山菜採りを楽しんで下さい。山には、思いもかけない危険がたくさんあるのですから------。 
    

    *** 写真は、ピンクのコサージュです。見ればわかりますよね。(^_^;)
    
    我が家の裏山では、最近になってようやくウグイスが、鳴き始めました。ところが、何だか、鳴き方が変です。「-----ケッキョ。-----ケッキョ。-----キョ?」-----なんだ?これは?(ーー )
    どうやら、去年までの鳴き方を忘れているようです。それが、ようやく、今日になって、「ホーホケキョ!ケキョ、ケキョ、ホーホケキョ!」-----ついに、思い出しました!やれば、出来る子だったんです。めでたし、めでたし。icon22
     

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この記事へのコメント
ちよみさん

今晩は。
私はこうした話が好きです。
思わずのめり込んでしまいました。

おっと!
いけない!

こうした場合も
前後不覚に陥り
自分を見失ってしまうかも。

山城探検が好きな
左近次郎
Posted by 左近法務事務所左近法務事務所 at 2009年05月09日 21:08
左近法務事務所さまへ>

 こんばんは。
 ブログ、お読み頂きありがとうございます。左近先生は、山城探検がご趣味なんですね。では、山歩きの経験も豊富でいらっしゃるのでしょうね。
 わたしは、まだ、実際にこういう現象を見たことはないのですが、話を聞きますと、かなり鮮明に偽の山は現われたのだと言います。よく、夏山で遭難などという場合は、こういう現象に騙されてのことがあるのでしょうね。「山を甘く見てはいけない」と、いうことなのですね。
 でも、これからの志賀高原などは、最高の季節ですから、一度ぐらいは行ってみたいものです。
Posted by ちよみちよみ at 2009年05月09日 22:17
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