方言、あれこれ・・・・・126

~ 今 日 の 雑 感 ~


方言、あれこれ



    「おらちのぼこ、風邪ひいたもんで、よんべ、わにてわにて、へー、もうらしくて。今朝がた、医者えったわ」

    「ま~んず、われんちのぼここさ、ちいせからな。あんべ悪くなれば、心配ださ。で、へえ、いいんかい?」

    「えま、うちけって来て、ねてらさ。起きたら、桃でも食わしてやらずそもってさ。えま、畑から採って来たところだ」

    「ふんとかい。今年の桃は、出来いいかい?」

    「でけことはでけな。けど、味は大味みてださな。------で、さっきから見てんだけど、おめさんの服、その着方でいいんかい?」

    「あれ、やだ、しょうし!後ろ前に来てるわ。あんまりのくてんで、あたまぼーっとしちまったわ」



    昨日、わたしの部屋の窓の下で、こんな言葉のやり取りをしている年配の女性たちの声が聞こえました。

    方言、あれこれ・・・・・126この会話、わたしは、すべての意味が判りますが、おそらく、若い世代の人たちは判らない言葉もあると思います。

    長野県の言葉のイントネーションは、標準語とほとんど変わりませんが、方言の多さは、東北地方などに引けを取らないと思います。

    また、県内の教育が標準語主体で行われていますから、どんな年配の人でも、公の場所に出れば、ちゃんとした言葉を話すことができます。ですから、かつて、テレビタレントが、

    「信州というから、もっと田舎だと思って、素朴な言葉を期待して来たのに、みんな普通に話をするので、ちょっと残念だな」

    と、インタビューで語っていました。しかし、信州人同士で気楽に話をする時は、みんな、こういう方言を平気で使うということが、そのタレントには判らなかったようです。

    わたしが上記したのは、北信地方の方言ですが、東信、中信、南信ともなると、また、まったく別の方言があるのですから、面白いです。

    以前、わたしが華道教室へ通っていた時の先生は、諏訪の出身で、よく、こういう言い方をしました。

    「昨日、家の中へカエルが入って来て、もう、おどけちゃってね-----」

    わたしたち生徒は、「おどける」という言葉を、「面白おかしい」という風に認識していましたから、

    「それは、面白かったですね」
 
    と、返事をしたところ、先生は、不思議そうな顔になり、

    「カエルなんか、ちっとも、面白くなんかないわよ。ぞっとしたわ」

    と、言います。どうやら、先生の出身地域の方では、「おどける」という言葉は、「びっくりした」「驚いた」という意味で使うのだということが、何となく想像出来ました。

    では、ここで、皆さんに、方言をいくつか読んで頂きます。意味が判りますか?

「びしょってねェ」    「ばちゃいい」    「あいさ」    「べちゃる」    「けっこくる」    「りこうもん」    「よう
じ」    「えの」    「あおらあおら」  「へっぺへっぺ」  「ひっちゃばく」  「らっちもねェ」  「どきょ」


    


    答え

「情けない・みじめだ」    「ざまをみろ」    「仲間外れ」    「捨てる」    「蹴る」    「バカ」    「歯ブラシ」    「犬」    「風に吹かれるようにふらふら、よろよろする」    「はあ、はあ、息が切れるさま」    「破く」     「くだらない」    「芋虫・毛虫」

    因みに、「ぼこ」は、「赤ん坊」    「わにる」は、「人見知りして泣く・イライラして泣く」    「もうらしい」は、「可哀そう」
「あんべ」は、「具合」    「しょうし」は、「恥ずかしい」    「のくて・のくとい」は、「あったかい」 です。face02
        

<今日のおまけ>

    「裁判員裁判」が、始まりましたね~。

    弁護士さんも、検事さんも、今までのスタイルとはやり方を変えて、裁判員の被告に対する印象を少しでも自分の方へ有利に傾けようと、裁判員の方へ歩み出て、身振り手振りを交えたプレゼンテーションを行なうなど、かなり、工夫を重ねたアメリカ的法廷スタイルになったようです。

    「まるで、刑事裁判ショウを見ているようだ」と、いう人もいたようですが、これからもこのやり方が続くとなると、弁護士さんや検事さんも、裁判員がどのような員数構成になっているのかを予め調査したうえで、ファッションや化粧などにもこだわったスタイルで、法廷に臨むようになるのでしょうね。

    女性裁判員が多そうな時は、クールなイケメンをそろえるとか、男性裁判員を意識して、アリー・マクビールのようなミニスカ弁護士も登場するかも------。(ちょっと、ドラマの見過ぎかな?face03

    いずれにしても、裁判が、かなり様変わりすることは、間違いなさそうですね。senmonka02

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この記事へのコメント
僕の母は東京育ち(疎開で長野へ)。
で、ラジオから流れてくるのは標準語なワケだし、
僕は信州の方言や言葉遣いを殆ど知らずに育った幼児でした。
(親父は佐久育ちだけど、母親ほど子と親しくするワケではなかったので…)

もの心ついて近所の子らと遊んだりした時に、
言葉の違いにカルチャーショックを受けました…。

いまだにカミさんの時折使う方言に
「???」の時があります…。
Posted by zukyzuky at 2009年08月12日 00:01
zukyさまへ>

 zukyさんは、標準語で育ったんですね。
 お母さまは、疎開で長野に来られたんですか。幼い子供は、特に母親の言葉に影響されますから、子供同士で遊ぶようになった時は、かなり戸惑われたことでしょうね。では、奥様は、長野の方なんですね。

 わたしの東京育ちの友人も、初めて長野へ来た時に、「早く、とんで来い」と、言われて、どうやって空を飛んだらいいのか困ったといっていました。(笑)「とんで来い」とは、「走ってこい」のことなんですけれどね。ですから、運動会の「かけっこ」のことは、年配者は、「とびっくら」と、言います。「飛び比べ」のことなんでしょうね。
 信州の方言は、難しいです。しっかり信州人のわたしも、未だに判らない言葉がありますから。(^_^;)
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 00:19
ちよみさん おはようございます
あらためて 活字にすると
こんなにもいろんな方言あるんだね
結構日常的に言っているのかも
しれないけどね
ずっと前に
「じょんじょんにならんでね」
と言ったら
「どんな意味?」と首をかしげられました
じょんじょん=順番にという意味
この言葉 使わないかな?
Posted by 福寿荘 女将福寿荘 女将 at 2009年08月12日 05:56
長野に住み、中信で働く自分はバイリンガルです。
こんな風に混じります

毎日80キロも通っていると
『まめってぇ』日も、『てきねぇ』日もあるけど『せ』
それも仕方ねぇ『ずら?』
んだもん『だで』、今日も行か『ず』ってところで
あと2日、『ずく』だして行ってくるじゃねぇかい。

ってことですっかり田舎モノです。
Posted by はるみっちゅ at 2009年08月12日 06:15
福寿荘 女将さまへ>

 「じょんじょん」は、こちらも使いますよ。
 わたしは、「じゅんじゅん」と、使いますけれど、「夏休みの宿題、順々に片付けよう」とか---。こういう言葉も、次第に判らなくなる人が増えているんでしょうか。
 お年寄りの話を聞いていますと、「ああ、こんな言葉も昔聞いたな」なんていう懐かしい方言も時々出て来て、こういう素朴な言葉は、残して行きたいなァと、思います。
 テレビドラマを観ていても、信州の方言が出て来ると、何となく嬉しいですよね。(^-^)
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 11:37
はるみっちゅさまへ>

 毎日、80キロは大層な距離ですね。
 働く場所と住む場所で、方言が違うというのも、興味深いです。
 「まめ」「てきねェ」---は、わたしには難解ですね。「せ」は、こちらでいう「さ」でしょうか?「ずら」は、静岡の方でも使いますから、そちらの影響もあるのでしょうね。
 でも、不思議なことに、これだけ方言が違う東北中南信でも、「ずく」だけは共通語なんですよね。
 田舎には、田舎の良さがありますが、特に信州は、その田舎がブランドとなる貴重な県なんだそうです。
 「信州牛乳」と、いうだけで、何だかおいしそうですし、「さわやか」「清楚」「健やか」などというイメージと、「信州」は結びつくようですね。田舎者、バンザイですね。(^◇^)
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 11:52
私も中信に住んでいますが、
「もうらしい」や「てきねぇ」は割りと日常的に使ってしまいます。東京に住んでいたときは全く方言が出てこなかったのですが・・・。

しかしやはり、祖母が友人とお喋りしているときの方言の頻出度がすごいです。信州ならではの方言は気持ちを穏やかにしてくれるので、ずっと残っていてほしいと思います♪
Posted by モモセーヌ市長モモセーヌ市長 at 2009年08月12日 12:56
んでは、翻訳を

毎日80キロも通っていると
『調子いい』日も、『しんどい』日もあるけど『さ』
それも仕方ない『でしょ?』
ってことで、今日も『行くか』ってところで
あと2日、『ずく』だして行ってくるじゃん。

『てきない』⇔『しんどい』⇔『ごしたい』

と、地域性が出てますねぇ


しかし、蒸し暑くて『おめってぇなぁ』
Posted by はるみっちゅはるみっちゅ at 2009年08月12日 14:47
モモセーヌ市長さまへ>

 コメント、ありがとうございます!
 
 「てきねェ」という言葉は、中信の方言なんですね。わたしの住んでいる北信は、「なんぎ」を、主に使います。
 東京にいると、やはり都会の言葉での生活が普通になりますね。わたしも、東京にいた時、唯一使ったのが、「ずく」でした。でも、この方言は、友人たちも気に入ってくれて、わたしの周囲では、「ずく」を共通語にしていました。(笑)
 
 おっしゃるように、年配の方たちの言葉を聞いていますと、何だか、ほっとする時がありますね。安心感があるといいますか、その方言でしか伝わらないニュアンスもあって、これからの高齢化社会には、方言が判る人材は、貴重な戦力としても期待されているようです。
 地域の言葉は、大切に残して行きたいですね。
 
 
 
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 15:53
はるみっちゅさまへ>

 解説、ありがとうございます。
 「まめってぇ」の「まめ」は、「調子がいい」ということなんですね。そういえば、「マメに暮らせよ」なんて、言いますね。
 「てきねェ」は、「しんどい」「ごしたい」なんですね。「疲れ」に関する言葉は、本当に多いですね。岐阜県の方では、「えらい」というそうで、ある日病院で、飛騨高山出身の患者さんが、手術を終えて、「先生、わたしえらかったわ」と、いったところ、医師は「うん、よく頑張ったね。偉い、偉い」と、答え、会話が微妙にずれていた時がありました。(^_^;)
 
 「おめってェ」に代わる方言は、北信には見当たらないのですが、確かに、この蒸し暑い中、外出するのは、「おめってェ」ですね。
 
 

 
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 16:12
先日、秋田に行って年配の女性と話をしたのだけれど、耳をダンボにしてよおく聞き取ろうとしたのに、理解できず・・・。
「外国に行った方がまだ、理解できるかも」と思ったのですが。

どうやら、長野に行っても同じ経験をしそう。でも、なあんかほんわかしていいですよねぇ。
Posted by ぷりんちぺ at 2009年08月12日 21:43
ぷりんちぺさまへ>

 コメント、ありがとうございます。

 秋田へ行かれたんですか。東北は、夏祭りが目白押しですね。
 それとも、お仕事でしたか。
 秋田の言葉も、難解ですよね。確かに、外国語の方が理解できるかもしれませんね。方言が難しいということもさることながら、あのお年寄りの独特の発音が、どうにも聞き取れません。日本は、広いですね。

 長野も、似たようなところがありますね。中、南信(松本地域や飯田地域)などの方言は、わたしも、ほとんど判らないと思いますが、ホンワカとした温かみのある方言ですよね。
 ところで、長野には、北信、東信、中信、南信はあるのですが、何故か西信がないんですよね。西のない、不思議な県なのです。(笑)
Posted by ちよみちよみ at 2009年08月12日 22:32
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