同行者の本名を知らない登山者たち
2013年09月19日

新聞の囲み記事に、興味深い内容のものがあった。
八月に中央アルプスの宝剣岳付近で滑落死した大阪府の女性(35)の遭難事故に関する記事なのだが、この女性と同行した4人の男女は、な、なんと、女性の本名を知らなかったのだそうである。
彼らは、インターネットのコミュニティーサイトを通じて知り合ったのだが、同行者たちは滑落死した女性のニックネームしか知らなかったというのである。
女性は、他の女性1人、男性3人と大阪から車一台で訪れ、八月四日早朝に千畳敷から日帰りの予定で入山。
駒ケ岳から宝剣岳へ縦走し、全員で岩を登っていた時、登りきった女性が反対側へ約20メートル滑落したのだという。
救助関係者によると、5人は30~40代で、リーダーの男性がコミュニティーサイト上で今回の登山を呼び掛け、この5人が集まったとのことで、この日が初対面。
登山計画書も出ていなかったそうである。
ネットの掲示板やSNSには、山仲間を募る書き込みも多いそうで、目指す山や日程を示し、「同行してくれる人いませんか?」という具合に呼び掛けるのだという。
こうしたコミュニティーサイトに入ったことで、「人脈が広がった。コミュニティーに入っていれば仲間を募りやすい」と、同行者探しを歓迎する向きもあるそうで、こういう人たちは、仲間とは基本的にあだな(おそらくハンドルネームか何かなのだろうが・・・)で呼び合っているとのことだった。
それにしても、登山仲間といえば、命を助けあう運命共同体ともいうべき存在である。
そうした大切な同行者の本名を知らないというのは、何とも奇妙な話だ。
名前も顔も、素性さえも分からない人たちとパーティーを組み、山へ登る----怖いとか、危険と感じたことはないのであろうか?
しかも、男性だけでなく、女性の単身参加もあるという。(今回の遭難事故もこのケース)
旅行会社が募集するツアー旅行感覚で気軽に出かけてしまうのかもしれないが、危機感のなさがどうにも解せない。
SNS仲間にあれこれ詳細を訊ねるのは失礼だという気持ちもあるのかもしれないが、登山同行者同士が互いの本名も知らないという状況は、さすがに常識を逸脱しているとしか思えないのだが・・・。
<今日のおまけ>
近頃は、香りを楽しむ柔軟剤が流行りだが、この香りが原因でたくさんのトラブルも発生しているというテレビニュースを観た。
マンションやアパートの隣の部屋の住人がベランダに干す洗濯物の香りがきつ過ぎて、吐き気や頭痛を訴える人たちが急増しているというのである。
食べ物やファッション以上に好き嫌いが分かれるのが、匂いである。
ある人にとっては大好きな匂いでも、別の人には殺人的な悪臭になるということも良くある話で、かつて、学生時代に住んでいた寮で青リンゴの香りの香水を撒き散らした寮生がいて、あまりの激臭に寮中が大パニックに陥ってしまったという経験も・・・。
殊に、料理を楽しむ飲食店に香水の類をつけて入るのは、とんでもないマナー違反であるし、騒音も大きなトラブル原因になるが、香りや匂いもまた人間を精神的に痛めつける凶器としては十分過ぎる。
しかも、香りにはかぎ続けると次第に嗅覚を麻痺させる作用もあるため、さらに強い香りをつけなければ満足できなくなってしまうということが・・・。
とはいえ、ほのかに漂うラベンダーや石鹸の匂いなど、反対に精神を安定させる癒しの香りも世の中にはたくさんある。
つまりは、何事もほどほどが良いということなのではないだろうか。
Posted by ちよみ at 21:21│Comments(2)
│ちょっと、一息 50
この記事へのコメント
登山の話はソーシャルゲームの世界と混同しているとしか思えませんね。
信じられません、スキー場で偶々リフと乗り合わせた のとはわけが違います。
40年以上前のバスの排気ガスはなぜか甘い香りがしました。
内田百閒が「阿房列車」の中で、蒸気機関車の煙は旅情につながるが、風呂の煙突の煙は けむっぽいだけだ とも書いてます
信じられません、スキー場で偶々リフと乗り合わせた のとはわけが違います。
40年以上前のバスの排気ガスはなぜか甘い香りがしました。
内田百閒が「阿房列車」の中で、蒸気機関車の煙は旅情につながるが、風呂の煙突の煙は けむっぽいだけだ とも書いてます
Posted by DT33
at 2013年09月20日 02:57

DT33さまへ>
こんにちは。
本当に、そんな感じですね。
登山を計画したら、事前に一度ぐらいは顔合わせをして、正式な自己紹介を済ませておくのが普通ではないでしょうか。
登山当日が初対面の本名も知らない人と同行するなんて、勇気があるというよりは、あまりに無謀です。
事故でもあった時は、対処のしようがありません。同行者が身元不明なんて、まるでサスペンスドラマです。
こんにちは。
本当に、そんな感じですね。
登山を計画したら、事前に一度ぐらいは顔合わせをして、正式な自己紹介を済ませておくのが普通ではないでしょうか。
登山当日が初対面の本名も知らない人と同行するなんて、勇気があるというよりは、あまりに無謀です。
事故でもあった時は、対処のしようがありません。同行者が身元不明なんて、まるでサスペンスドラマです。
Posted by ちよみ
at 2013年09月20日 10:30

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