北信ローカルの記事から・・・・・223

~ 今 日 の 雑 感 ~


北信ローカルの記事から


    「わたしは、今まで病気という病気をしたことがない」----そんな風に自慢をしている人が、いざ病気になると、もともと病弱な人に比べて、かなり神経質に思い悩むものだということを、わたしは知っています。

    北信ローカルの記事から・・・・・223わたし自身、長年に渡って身体の痛みと闘って来ましたから判るのですが、泣いていたのは痛みが激しいためで、手術の不安や、死などという言葉が医師の口から出た時も、正直、ほとんどどうでもよいことでした。この痛みから解放されるのであれば、「もうどうなってもいいや」ぐらいの気持ちであったため、早く手術をして欲しいと、自ら手術日を早めてもらったくらいです。

    しかし、そういう究極の経験がない場合は、ほんのささいな病気でも精神的に追い詰められ、うつ病傾向となり悩まれる人もいるそうで、そんな病歴を持つ女性の体験談が、先日の「北信ローカル」新聞に掲載されていました。


    Yさんという女性は、六十歳ごろまでは病気らしい病気もしないごく健康な人でしたが、二、三年前から、手のしびれや肩こり、不眠などに悩まされ、県内の病院を数か所受信。とくに、癌に対する不安が大きく、健診の結果、甲状腺腫が見つかり、大学病院で詳しく調べてもらったところ、甲状腺腫は3個あることと、そのうちの一つが「濾(ろ)胞腺がん」だということが判ったのだそうです。

    この「濾胞腺がん」というものは進行が非常に遅く、すぐに手術の必要はないため、住んている場所の病院で定期的に検査してもらうように説明され、近くの総合病院へ、(大学病院の)紹介状を持って診察を受けに赴いたのでした。

    しかし、そうこうするうちにも、Yさんの中で癌に対する不安は日々大きくなり、インターネットで調べるなど、居ても立ってもいられない気持ちになって行ったのだそうです。その心理的抑うつのために、肩こりや喉の圧迫感が強くなり、思い余って総合病院の外来の担当医にそのことを話したのですが、聞き入れてもらえなかったのだといいます。

    それがためか、外来のスタッフの対応までもが冷たく感じられ、担当医師からは、喉の痛みと甲状腺腫は何の関係もないとの診断をもらい、Yさんのために診察時間をとられると、他の患者にも迷惑になる、神経内科か神経科に相談してほしい、インターネットの情報を質問されても答えようがない、大学病院へ戻りますか?-----と、シャットアウトされてしまったのだそうです。

    現在、Yさんは、東京の甲状腺専門病院で定期的に診察してもらっているとのことでしたが、ここでは、心のケアも一緒に診てくれるので、とても助かっているという内容でした。


    この手記を読んだ時、わたしは、この女性は、もともと受診する病院を間違えていたのだと感じました。

   地方病院の医師不足は、今や誰もが周知のことです。そういう地域医療の拠点病院で優先されるのは、まずは緊急を要する患者さんなのです。少ない医師が、大勢の患者を診察するためには、緊急性のない患者の治療は、後回しになるのは当然のことです。進行の遅い病気のために、より大変な病気の患者の治療をないがしろには出来ません。

    ですから、その担当医の先生が説明したことは、至極理にかなったものだと思うのです。

    わたしは、自分の病気が相当にひどいと判った時も、救急外来に親指を切断した男性がやって来た時は、その蒼白になった顔面を観て、「先に、診察してもらってください」と、受診の順番を譲りました。(まあ、これは常識でしょうけれど・・・・)

    このYさんは、幸いなことに、東京の病院へ通院することが出来るのです。しかし、病気のせいで、どうしても身動きがとれない患者も大勢いるのですから、そういう患者が地元の病院へ集まるのは仕方がないことです。精神的な問題よりも、そこには命にかかわる問題が、日々ひしめいているのです。

    自分の身体のことが心配なことは判ります。病気の大小にかかわらず、病気が怖いと思う気持ちは、誰しも同じです。しかし、病院には、その病院が抱える事情というものもありますし、すべての人に満足のいく医療を提供するということは、今の地域病院には無理難題というものではないでしょうか。

    正直、心療内科医でもない医師に、心のケアまでお願いするというのは、酷な話なのだと思います。

    現民主党政権は、そうした地方の医師不足、医療崩壊を救済するべく、勤務医に手厚い政策を実施する運びであると聞きます。この新たな診療・医療制度改革が実行されれば、少しは、患者一人一人の気持ちに副った、手厚い治療が可能になるやもしれません。

    それまでは、「患者側にも、自分だけがよければいいというような考え方は、改めて欲しい」と、いう地域医療人の意見にも耳を傾ける必要があるのではないかと、考える次第です。face06

   

    

    

<今日のおまけ>

    国内の新型インフルエンザ感染患者が、100万人を突破したという。(ホントだったら凄い!!)

    もはや、大流行の兆しである。持病のある人や妊婦、受験生などへのワクチンの接種をこれまでの予定よりも前倒しで行なう自治体が増え、長野県もこの11月から開始する運びだという。

    そこで、理容師や美容師の人たちも、お客さんとかなりに至近距離で接する仕事なので、ワクチン接種も優先的なのかと訊ねたところ、まったく関係ないという答えだった。

    「医療関係は、判るけど、わたしたちだって似たような商売なのにねェ・・・・」

    本当に、何故なんだろう?icon02


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この記事へのコメント
私の現在の担当医(女医)さんも、12月にはご主人がいるアメリカへ行かれてしまいます><
まだまだお若い為、勉強&経験を積み、今迄以上の名医になるように、喜んでお見送りしたいと思います。

医師不足が深刻な状態でいる地方病院はホントに大変なようですね、
迂闊に病気にもなれません>< ><

担当医が変わる、、、のは非常に困る事なのですが、私の場合メルアドを聞いています、、、が!!!本当に困った時にだけメールします。 私だけの医師ではないし、、、><

最初の頃担当医に言われました、ネットや
雑誌などの情報に惑わされないで下さいね、、、と。信じるのは自分の勝手です、、、。
確かにそぉだと思いました。
それから私は担当医に言われる事だけを信じ、検査、手術に励みました。
そして今の元気な私があるのです!!!

お医者さんだって、どの薬が効いて、どの検査が良いのかはやってみなければ分からないのです、、、。
私はどちらかと言えば良い方に向かった部類ですので感謝しています^-^
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2009年10月31日 15:59
自称 美人女将さまへ>

 そうですか。女性の担当医の先生も替わられるのですか。では、この次は、三人目の先生ということになる訳ですね。
 わたしは、なんと、既に、四人替わっています。(驚)目まぐるし~!
 じっくり診察して下さるお医者さまは理想ですが、医師不足の地方病院では、無理な話なのでしょうね。
 女将さんの場合は、T先生という、いざという時に相談できる医師がおられますから、安心できますね。
 これは、わたしの勘なのですが、この記事のYさんは、女将さんと同じ担当医の診察を受けていたのではないかと思うのです。でも、女将さんたちのような重症患者さんたちの治療が最優先ですから、このYさんのように緊急性のない患者さんには、問診にあまり時間をかけられなかったのではないかと、推察します。

 お医者様も、毎日が勉強でしょうから、いつも、心の中では、「この薬でよくなって欲しい」と、念じておられることだと思います。
 だからこそ、ネットや雑誌などの情報に惑わされないで下さいと、女将さんに言われた、T先生の言葉には、重い物がありますね。
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月31日 16:27
私の場合、ホントに幸せでした。

乳がんが発覚してT先生になり、1年間担当されて手術、、、
そしてドイツへ行かれました。
私の為に来て下さったのでないか、、、??? と思ってしまう位です><

執刀した責任上、最後まで面倒をみて下さっている事も感謝しなければいけませんね^-^  我儘な患者ですみませ~ん><

それにしても4人目ですか、、、びっくりです。
カルテがあるので安心ですが、、、~~
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2009年10月31日 19:28
自称 美人女将さまへ>

 女将さんの場合は、T先生にとっても、かなり記憶に残るケースだったんではないでしょうか。そこまで大きな腫瘍を手術したということは、相当稀なことだったんだと思います。しかも、それが、成功したということは、医師にとってみれば、自身の評価が上がるということですから、もしかしたら、女将さんのケースが、T先生のドイツ行きを決意させたきっかけになったのかもしれません。
 つまり、T先生にとって、女将さんは、自身のステップアップのための恩人ということなのではないでしょうか。もしかしたら、医学論文に書かれている可能性もありますね。
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月31日 20:23
こんばんは。
ワクチン接種の優先順位を医療関係者に高く設定しているのは、人の命を助ける立場の人が次々倒れられたら困るからじゃないですか?医者が倒れたら誰が病人を助けるのでしょうか?
仮に、理容師や美容師の人たちに次々倒れられたら国や社会が成り立たなくなるとかいうことなら、彼らにも高い優先順位が与えられるんじゃないですかね。でも髪の毛なんか最悪自分でも切れるじゃないですか(切りたくないけど(苦笑))。
国や社会の根幹を為す仕事をしている人々に高い優先順位が与えられるのは当たり前だと思いますけど。
医者と床屋じゃ社会における役割も重要度も全然違いますよ。だから日頃、世間の医者に対する目は厳しいんでしょ。いい加減にやって貰っちゃ世の中が滅茶苦茶になるから。
特権を与えられている人間ってのは、それだけ社会に対して負う責任も大きいってことだと思います。
Posted by ま・こと at 2009年10月31日 21:33
ま・ことさまへ>

 コメントありがとうございます。
 その通りですね。医療関係者は、確かに患者を診る立場ですから、優先順位が一番というのは、わたしも判りますし、理容師や美容師さんたちも異論はないと思います。でも、この理容師さんがおっしゃるには、職業で分けるなら、その次の順位ぐらいにして欲しいということのようです。持病がある人や妊婦さんと同じぐらいの順番にはならないかということですね。
 顔を剃る時などの、お客さんへの接近状態は、かなりのものですから。(笑)そんな風に思うのでしょうね。厳密にいえば、マスクなどあまり価値はないようですし、深呼吸などもってのほかで、ウイルスを喉で食い止めるか、肺まで吸い込むかでは、症状の強さにもかなり影響すると聞きました。
 それから、この前テレビでやっていたのですが、インフルエンザ予防には、何故かヨーグルトがいいようです。
 医者は、特権階級という一般の認識は大きいですね。だから、最も敬遠される「病気」や「けが」を治療するという、重い責任のある仕事をしなければならないんだと、思います。でも、医師の方には、自分たちは特別な人間だという意識は、あまりないようですね。まあ、今のような、患者が医師を簡単に訴えるような時代になりますと、その意識の差は、ますます縮まって来るのかもしれません。
 わたしの家の近所の人たちは、ほとんど同じ開業医のクリニックへ行くのですが、そこでは、歯科医師の先生も、一般のおじさんたちも、クリニックの先生も、みんな同じように世間話に興じています。ある意味、それが、田舎のいいところなんですね。
Posted by ちよみちよみ at 2009年10月31日 23:23
すみません、私ちょっとズレてました(^^;)
そうですね、国民の健康を守る、という観点から考えると、ちよみさんが仰るように、不特定多数の人間と接する機会が多い人たちに優先的に接種させるべきだと思います。
でも私は安全保障という観点から考えると、本当はもっと他にも優先順位の高い人たちがいるんじゃないかと思ってコメントを書きました。
安全保障って、国が国としての機能を損なうことが無いようにすることだと思うので、そう考えると、警察だとか消防だとか、電気(特に原発=手薄になって管理が疎かになっては困る)や水道やガスといったインフラに携わる人々とか、自衛隊とか、あと国会議員も官僚も、そういう人たちは、バッタバッタ倒れられては困るので、優先的に接種を受けるべきだと思います。
私が「特権」と書いたのは別に医者を妬んでいる訳じゃなくて(笑)、国を維持する為には無くては困るような仕事に就いている人々は、必然的に一般の人々とは違う扱いを受ける義務も権利もある、と思って書きました。じゃないと社会が成り立たないと思うからです。
だから今の政府の対応には凄く不満があります。感染を拡大させないための対策は考えているみたいですが、仮に拡大したとしても問題なく国の機能を維持し続けるための対策が殆ど盛り込まれていないと思うからです。
インフルエンザで死ぬ人は稀なのかもしれませんが、電気もガスも警察も、一日機能停止しただけで国はご臨終ですから。
Posted by ま・こと at 2009年11月01日 01:16
ま・ことさまへ>

 そうですね。安全保障の観点から言いますと、ま・ことさんのおっしゃる通り、政治家、官僚、自衛隊員、警察・消防官なども、優先順位を高くしなければなりませんね。医療関係者の次は、これらの人たちが優先的に接種を受ける必要があるでしょうね。そこまで、気が付きませんでした。
 国家体制維持の問題を一番に考えると、むしろ、老人や持病を持っている人たちの接種順位は最も遅くなるのかもしれませんね。要は、これからの日本を支えて行くべき子供やその子供を産む可能性のある若い女性、妊婦は、最優先でも、老い先短い老人や、生産性に乏しい病人などは、最も順位があとに回されることも考えられますね。
 電力会社関係の人たちも優先順位は高くなりますね。国民の生活に直結する、ライフライン関係の職種も、優先的かもしれません。そうなると、食糧を生産する農家の人たちも貴重な存在です。
 もっとも、ワクチン接種が後回しになる部類は、観光業、などサービス業関係者ということになるのでしょうか。と、なると、やはり理容師さんたちはあとになってしまう訳でっすね。(苦笑)
 その時の国の政治の性質如何で、この優先順位の見方が大きく変わるというのも、面白いと思います。自民党が政権与党なら、また別の対策の取り方をしたのかもしれませんね。
 でも、そうなると、一般国民からは、病人や年寄りをないがしろにしたと、非難ごうごうなのでしょうけれど。
 まあ、今回の新型は、それほど神経質にならなくてもいいとは言いますが、一家に一人が感染しただけで、家族全員が隔離状態に置かれるというのも、厄介なものですね。うちの甥っ子のクラスも学年閉鎖に巻き込まれましたが、どうせ外出禁止なのだからと、先生が山のような宿題を出したといって、ボヤイていました。(笑)
Posted by ちよみちよみ at 2009年11月01日 13:00
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