上げ馬は動物虐待?・・・・・398

~ 今 日 の 雑 感 ~


上げ馬は動物虐待?



    文化の伝承と現代の常識の兼ね合いを見つけることほど、難しい問題はない。

    大抵において、伝統とか文化とかいうものは、現代の環境や社会感覚からすれば、かなりずれているものばかりだからである。

    神の前では女性は不浄だとか、生け贄とか、トンネル工事中に女性はトンネル内に入れてはいけないとか、裸でなくては禊(みそぎ)にならないとか、とにかく、理屈に合わないことばかりが多いものである。

    しかし、それが、昔からの習わしなのだから、日本文化を後世に伝えるためには、現代の常識とはかけ離れたこともいたし方ないと、これまでは、黙認されて来たものである。

    ところが、ここに、そういう伝統文化は、もう継承する必要はないというお上からのお達しが下ることにもなりかねない事態が起きている。

    三重県無形民俗文化財に指定されている多度大社(たどたいしゃ・桑名市)などの「上げ馬神事」が、動物虐待にあたるとの声を受け、馬を興奮させるために叩いたりする行為はしてはならないと、いうのである。上げ馬は動物虐待?・・・・・398

    同県教委が、「伝統だとは思うが、現代風に改める必要があるのでは」と指摘。

    県文化財保護審議会にこれまでの経緯などを報告した上で、9月に指定の当否を判断することになったものである。

    この「上げ馬神事」は、地元7地区の青年会などでつくる「御厨(みくりや)」と呼ばれる組織により大社に奉納され、高さ約2メートルの土壁を駆け上がった馬の数で豊作凶作を占うという神事で、馬を興奮させるため竹やはんてんでたたいたり、ササの葉で急所を刺激することもあるという。

    1996年以降、複数の動物愛護団体が「動物虐待に当たる」と主張し、指定取り消しを要望していたため、県は、「御厨」との協議や馬の習性を学ぶシンポジウムを通じ、「不適切な扱い」の改善を求めてきた。

    しかし県によると、昨年もたたくなどの例があったということで、県内の動物愛護団体代表の女性(62)は「見物人から『かわいそう』『もう来年は見たくない』との声も聞こえる。誰が見てもいい祭になるよう考えてほしい」と、訴えているという。
   
    ある御厨関係者は、取材に対して、「虐待などない」と強く否定してはいるものの、別の御厨関係者は「馬が痛がっているのを調子が上がっていると勘違いするOBが出しゃばり、急所を刺激するなどしてしまう」と明かし、「しかし、今の青年会のメンバーはそんなことはしない」とも話しているらしい。

    一方、奉納される側の多度大社は、難しい立場に「コメントは差し控えたい」と口をつぐむ。

    指定継続には、虐待を疑われる行為の改善がポイントであり、県教委は御厨への獣医や専門家の紹介を通じて、疑われる行為のないよう促しているという。

    とはいえ、代々に渡り継承されてきた方法が最善であり、それを守り続けることが最も重要なのだと考える祭事のOBたちにしてみれば、馬を刺激したり挑発したりすることなしに、祭りの意義はあり得ないと考える者もいるだろう。

    こうしたことを考えると、信州諏訪の御柱もまた、危険極まりない祭りの一つであるため、木落としは危ないので、木の上に人は乗らないように-----と、いうような要望がなされることも、今後、ないとは言えないのである。

    それでも、形や方法を変えてでも祭りを続けるべきか、それとも、伝統が守れないのなら、いっそのこと祭りそのものをやめてしまうか、今の常識の中で、伝統文化は、極めて微妙な位置にあるのではないかと思われる。

    この「上げ馬神事」も、馬を刺激しなければ、高さ約2メートルもの土壁を駆け上がることなど不可能だと、いう声もあると聞く。わたしも、テレビ番組でこの神事の様子を観たことがあるが、確かに、ただ馬を走らせただけで駆け上がれるような壁ではないと思った。

    もちろん、騎乗の少年たちも命がけであり、実際、駆け上がりに失敗し、落馬して怪我をした者もいたという。

    動物愛護が大事か、伝統文化の継承が大事か-----?あなたは、どう思いますか?icon23

     

<今日のおまけ>

    長野県内のある養護老人ホームでは、身寄りがなかったり一人暮らしの人に限るということで、認知症とは関係ないお年寄りたちを入所させて来たのだが、今や、そのお年寄りたちのほとんどが認知症となり、もともと、そういう人たちの介護が目的ではない施設のために、職員たちは、予想外の昼夜を問わない介助に追いまくられ、悲鳴を上げているという。

    そのため、認知症を発症したお年寄りには、特別養護老人ホームの方へ移ってもらいたいと特養側へ頼み込んでいるのだが、そちらも満杯状態で、とても、引き受けられないということである。

    また、他県のある施設では、防火設備に不備が見つかり、資金もないので改善出来ないといったら、施設を閉鎖して欲しいと自治体から迫られ、認知症老人たちを施設から放り出すことにもなりかねないと、女性所長は嘆いていた。

    人の命が大事か?施設の改善が大事か?最近の行政は、いったいどちらを向いているのかと、問いただしたくなる。

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