言葉の魔術・・・・・567

~ 今 日 の 雑 感 ~


言葉の魔術


   
    言葉の使い方で人の気持ちは麻痺を起すということは、この間書きました。

    契約をする時に、「では、ここに署名捺印して下さい」などと言えば、契約者は一気に緊張してしまいますが、「さて、書類を書きましょうか」と、いうだけで、その緊張感が緩和できるという例も、言わば『言葉による感覚の麻痺』です。

    そういうことを考えると、病院で医師が患者に病名を告知する時も、ある程度の言い方のテクニックで患者の気持ちを操縦することが可能なのだそうです。

    
   
    たとえば、A医師は、患者にこのように病名を伝えました。言葉の魔術・・・・・567

    「大変残念なのですが、あなたは既に糖尿病です。自覚があろうとなかろうと、これは命にかかわる重大な病気です。このまま症状が悪化すれば、合併症を引き起こし、失明したり手足を切断しなければならなくなります」

    片やB医師は、こう診断結果を患者に伝えました。

    「血糖値が高いですが、大丈夫、あとは健康体ですよ。この検査結果なら充分改善も見込めます。まあ、早く診察を受けて正解でした。これからは、食事や運動の指導などもさせて頂きますから、根気よく頑張りましょうね」

    如何ですか?

    断然、B医師の言葉の方が安心感を受けますし、B医師に好感すら懐く患者もいるでしょう。

    しかし、A医師の言葉を聞いた患者は、ショックを受けると同時にA医師に対して敵意さえ感じるかもしれません。

    現に、わたし家の近所の主婦は、内科の担当医に「いくら膝が痛くても、あなたには、これ以上の痛み止めを処方することは出来ません。ただでさえ劇薬を飲んでいるんですから、わたしは、責任負えませんからね」と、言われたことで、院長にこの医師を解雇して欲しいと言いたくなったと、話していました。

    その内科医は、主婦の身体のことを考えて親切心で話したのですが、主婦には「なんて意地悪な医者だ!」としか思えなかったのだそうです。

    まあ、この主婦はかなり体重も多く、医師から常に痩せろと言われ続けてきているのですが、それでもどうしても痩せられないために、そのことでも医師と常にバトル状態だったので、こんな不快感を覚えたのだと思うのですが・・・・。

    太った身体を気にしている女性に、「痩せなさい」は、かなり自尊心を傷つける言葉でもあるようで、これを言われただけでも、この主婦のように怒り出すという人も多いようです。しかし、では、他にどのような言い方があるのでしょうか?

    こういう女性は、もともと意志が弱く、運動嫌いな上に膝痛をかかえ、さらに食欲がセーブできないので太っている訳ですから、あまり生易しい言葉をかけていても効果はないと、その担当医も思っているようなのです。

    昨日も、共同浴場の体重計にのり、「この体重計、絶対に壊れている!!」と、叫んでいました。

    それにしても、一度にまんじゅう10個食いは、いくらなんでもやり過ぎだと思うのですが・・・・。

    そこで、考えました。もしも、わたしが彼女の担当医なら、この主婦にこんな言い方をすると思います。

    「奥さんは、お綺麗なんですから、もう少し体重をコントロールすれば、もっと魅力的になると思いますよ」

    さて、如何でしょうか?
    

<今日のおまけ>

    日本国民の有権者数は、約一億人。

    つまり、十九歳以下は全人口の約二千万人しかいない訳だ。

    そう考えると、恐ろしい少子化である。

    ということは、小さな子供の命を奪うということは、即ち自分の将来を奪うということである。

    そのことが判っていれば、子供を殺すことなど絶対に出来ないはずなのだ。



    ところで、ブログの記事を書く時、わたしも「ほのめかし」の手法を使うことがある。

    すると、面白いように「これは、自分のことを書いているのではないか?」とか、「あの人のことを書いているに違いない」などと推測して覗きに来るブロガーがいるのだ。それは、それは、ジャストタイミングで!

    要するに、人は自分のことなど関心がないように装ってはいるが、内心は全身ハリネズミのように自意識の神経をとがらせていることがよく判る。

    自分自身の生き方に後ろめたさがなければ、びくびくする必要などないと思うのだが・・・・。

    みんな、自分のことが気になってしょうがないんだね。face03

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この記事へのコメント
おはようございます。

そうなんですよね、人は皆、自分のことが気になっているんですよ。
自分のことに無頓着なようにみえる人ほど
案外、気になっているんだろうと思います。
人の気持なんて、だいたい同じなんですよ。
 
言葉の魔術。
これは、確かにありますね。
相手を傷つけないように、言葉を選ぶというのは難しいことだとは思いますが、そういう配慮は欲しいものです。

誰だって、ちょっとした言葉で傷つきますから。特に、病気の説明の時はやさしく接して欲しいものです。

言い方で一つで、傷ついたり、悩んだりしてしまいますよね。
言葉は凶器にもなると思います。
Posted by コミ at 2010年05月27日 05:38
コミさまへ>

 おはようございます。
 今日も、お天気は芳しくありませんね。
 こういう日が続きますと、気分まで冴え。ません。人間には、どれほど太陽の光が必要かがよく判ります。

 そうですね。
 自分は、世間の評判など気にならないと思っていても、案外、皆さん気にしているものなんですよね。以前、わたしがこのブログで「八方美人は八方敵に回す」という記事を書いた時など、「それは、わたしのことでしょうか?」と、初めて書き込んでこられた方が数名おられました。

 おっしゃるように、言葉は、使い方を誤れば凶器にも薬にもなるものだと思います。
 しかし、自分が言われて傷付いたことも、他人に対しては簡単に口に出すのが人間なのです。自分が言われて嫌なことは、人にも言わないようにしよう---などと、よく言いますが、それも、自分の中に余裕がある時だけの話で、いったん、煩わしさや不幸や寂しさを背負い込んだ途端、そんな感覚は何処かへ消えてしまうのが常なのでしょうね。
 そんな意味でも、これからは、医師の方たちにも、コミュニケーション能力がより必要な時代が来ているのだと思います。
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月27日 10:30
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