日本語は難しい・・・・・560

~ 今 日 の 雑 感 ~


日本語は難しい



    
    わたしの友人は、勤務先の会社が企画したイベントのPRを書いたフライヤーを、色々な施設や商店においてもらおうと思っていました。

    そして、そのフラーヤーは、持ち帰り自由です。日本語は難しい・・・・・560

    大勢のお客さまにただで持ち帰り、見て頂きたいという主旨のことを、フライヤーを置いて頂きたい先方に文書で頼みたいのですが、こういう時の良い言葉が思いつきません。

    「このフライヤーを、お店で配布して頂きたいのですが・・・・」

    これでは、お店の人にフライヤーを手に持って配って下さいと、頼むことになってしまいます。ですから、「配布」は却下です。

    「このフライヤーを設置させていただけないでしょうか?」

    でも、これでは、フライヤーがそこから動かせなくなってしまいます。「設置」は、その場に固定化するという意味ですから。

    (もちろん、フライヤーが固定されたボックスなどの中へ入っている場合は、「設置」でもいいと思います)

    では、「置設」ではどうでしょうか?しかし、あまりに堅苦しすぎる言葉ですね。

    そこで、どうにも困り果てて、専門家に訊ねたところ、こういう場合は、「頒布(はんぷ)」が妥当なのではないかという意見でした。

    「頒布」ならば、置いてある物を勝手に持って行ってもらうという意味が加味されます。

    「無料頒布」とすれば、良いということでした。

    このように、日本語は様々な状況で言葉が微妙に異なって来ます。ただの意味だけではなく、その言葉の持つニュアンスで使い方を変えることができるのです。

    つまり、その言葉でしか表現できないというささやかな心象の違いをも含むものが、日本語にはたくさんあります。

    特に、方言に至っては、それこそ数え切れません。

    そんな言葉の微々たる違いをうまく利用しながら、文章を書ければいいのですけれどね。 

<今日のおまけ>

   医師のことは英語でdoctor か physician であるが、physician は、主に内科医の意味であるという。

   しかし、外科医だけは医師の総称でもあるphysician は使わず、特別にsurgeon と、いう。

   何故、外科医だけは呼び方が違うのかというと、昔、外科は理容師がやっていて、医師の分野ではなかったからなのだそうである。

   そのために、今でも理容院のサインポールは、動脈と静脈を表わす赤と青の帯が回っているのだそうだ。因みに、その中の白は、包帯の意味だという。 

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この記事へのコメント
こんにちは。お元気ですか?

私は、患者さんとの会話を、すごく重視する医療を目指しているので、日本語の難しさには、閉口する毎日です。

しかし、大学時代に、ある先生が教えてくれた

「坐薬をだすとき、『おしりに一個いれてください』と言ったら、
『おつゆに一個いれてください』と間違って、お味噌汁に坐薬を入れた患者さんがいる」っていう話は、絶対に、その先生のネタに違いないと、いまだに心のなかで、「ウソつき」と思いつつ、懐かしく思い出しています。

当時の医学部は、超個性派の先生方から、そんなことばかり教わっていた記憶があります。

なにしろ、「国家試験は落ちるやつが悪い」という時代で、まともに国家試験の勉強を教わった記憶などありません。

自力で合格するしかないという、いい時代でした。
Posted by 安東満 at 2010年05月23日 14:53
安東 満先生へ>

 コメント、ありがとうございます!

 座薬を「おつゆに一個」は、傑作ですね。
 お薬の使い方は、お医者さまの説明を良く聞いていないと、時々、本当に間違えることがありますね。一日に一個で良い薬を勘違いして毎食後に飲んでしまったり、食間を、食事をしている間に飲むと思ったり、座薬なども、座って飲む薬だと、本気で信じていた人もいると聞いたことがあります。

 日本語は、使い方によっては、まったく意味の違うものになってしまいますから、実に難しいですね。
 「死んでいない」という言葉も、「死んでしまって既にこの世にいない」という意味にも取れますし、「死んではいない。生きている」と、いう意味にも取ることが出来ます。
 
 医学部の先生方も、今よりも個性的な方たちが大勢おられたんですね。
 でも、それだけ、学生といえども妥協が許されない厳しい時代だったのでしょうね。 そういえば、わたしの学生時代の教授にも、ご本人曰く「階段の上から試験用紙をばらまいて、遠くへ飛んだ者から合格点をつけた」という破天荒な先生もいました。
 事実か否かは、定かではありませんが。(笑) 
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月23日 16:04
こんにちは。

「頒布」に「置いてある物を勝手に持って行ってもらうという意味」が含まれているかについては疑問を感じます。
私には、むしろ「配布」より積極的に広い範囲に配ろうというニュアンスが感じられます。
「無料頒布してください」にもなんか違和感が...。

単純に「置かせてもらえませんか?」が一番いいんではないでしょうか...。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2010年05月23日 17:03
どーもオリゴ糖さまへ>

 この友人も、最初はただ「置かせて下さい」にしようと思ったそうなのですが、「『いいですよ、置くだけでしたら。でも、無料で持って行って下さいとの説明は、この店ではいちいちしませんので、それでもよろしかったら・・・』と、言われてしまう可能性があるじゃないか」と、上司に指摘されたそうなのです。
 しかも、「文書でお願いするのだから、あまり平易な言葉は使うな。一言でまとめろ」とまで言われ、考え抜いた揚句、高校の国語教師の方の知恵をお借りし、「無料頒布」としたのだそうです。
 「配布」としなかったのも、上司が却下したそうで、「違和感がある」という反応だったそうです。
 言葉は、どうしてもその場の状況に合致した物が見付からない場合もありますから、何とか相手の注文に応えるためには、少々強引なものにならざるを得ない時もあるように思います。
 確かに、「頒布」はこの場合、それほどしっくりこないかもしれませんが、まあ、上司を納得させなおかつ店側にも短い一言で趣旨を理解してもらうためには、これしかなかったというのが本音なのかもしれませんね。
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月23日 17:27
なるほど...そういうことでしたか。

しかしその上司の言っていることも無理がありますね。
「無料で持って行って下さいとの説明は、この店ではいちいちしませんので、それでもよろしかったら・・・」と言われてしまうのはダメで、「頒布」なら「勝手に持って行ってもらう意味」が含まれているからOKなんて矛盾しているんじゃないですかねぇ...。
店側にもっと積極的に関わってほしいというニュアンスを、さり気なく込めろとということですよね?

「お客様にご自由にお持ち帰りいただけるよう、置かせてもらえないでしょうか。無料である旨、一言お声かけいただければ幸甚です。」くらいが一番無難でしょうが、これでは一言でまとまってないからダメなんですね。

...う~ん、困った...。
Posted by どーもオリゴ糖どーもオリゴ糖 at 2010年05月23日 18:14
あの~

日本語が難しいのは分かるのですが、その前に、フライヤーってなんですか?

ほんとに初めて聞きました。

日本語以前の質問で、すみません。
Posted by 安東満 at 2010年05月23日 18:32
どーもオリゴ糖さまへ>

 そうなんですよ。
 色々な規制がかかった中で言葉を絞り出さねばならず、かなり苦労したようです。
 なんでも、「頒布会」というような催しがあると、そこに置かれているパンフレットなどを勝手に持ち帰っていいそうなので、そんなところからの発想のようです。
 どーもオリゴ糖さんの言葉のように伝えることが出来れば、正確ですし判りやすいのですが、本当に難しいですね。
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月23日 19:52
安東 満先生へ>

 フライヤー(flyer)という言葉は、最近、若い人たちの間で使われ始めたようで、要は、チラシとかビラと同じ意味の英語だそうです。
 以前は、上空を飛ぶ飛行機の中からチラシをまいたことから、この言葉が出来たそうです。
 わたしもつい最近知ったのですが、ブログをやっていると、新しい言葉を色々覚えられて勉強になります。♫
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月23日 20:02
ありがとうございました。勉強になりました。

ただ、チラシとかビラとか言ったほうが、はるかにいいと思うのは、私が歳をとった証拠なのでしょうね。

もうすぐ、上杉謙信公の亡くなられた歳です。織田信長公も同じ歳です。

なぜか、うちの親父も同じ歳であの世に行きました。

そのせいでしょうか? どうしても自分が長生きするイメージが湧きません。
Posted by 安東満 at 2010年05月23日 23:22
美人薄命・・・
と言いますから・・・
私も気をつけます・・・~~


あっ、すみません・・・
よからぬ事を言ってしまいました・・・><

安東先生・・・長生きもいぃ~ものですよ・・・^^
年下の私に言われても~~~???
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2010年05月24日 09:58
女将さん! お久しぶりです。

お元気ですか?

美女薄命も、あまりに美しすぎるばあいは当てはまらないらしく、
長生きしすぎて、だれも美女といってくれなくなるという話を、聞いた覚えがあります。

もちろん誰かの作り話に決まってますけど…

お腹がすいたので、なにか食べに行ってきます。

また、私のブログものぞいてみてくださいね。
Posted by 安東満 at 2010年05月24日 13:37
安東 満先生へ>

 そうですね。
 日本人ですから、チラシとかビラの方が判りやすいと思いますね。特に、ご年配の経営者がおられるお店などには、「フライヤー置かせて下さい」と、言っても、何のことか判らないでしょうね。
 言葉は、相手によって臨機応変に使い分けることが大事かもしれません。

 上杉謙信も織田信長も、確かに五十歳を目前にして亡くなりましたが、あの時代の、しかも武将ですから、毎日がストレスの連続で、徳川家康のような長生きは、極めて珍しかったのだと思います。
 でも、わたしの印象では、短命なお医者さまは、むしろ稀ではないかと思います。先生のお父さまは、お若くして亡くなられて本当にお気の毒でしたが、わたしのご近所の開業医の方たちも皆さんご長寿ですし、今日の新聞の弔辞欄には、103歳の現役の歯科医院長先生が亡くなられた記事が出ていました。
 わたしも自分自身の経験から、40代は何かと人間の心身に変化が訪れる年代のような気がします。
 安東先生ならば、きっと、この年代を上手にクリアされると思いますよ。

 そうですか。美人過ぎる人には「美人薄命」は当てはまりませんか。
 いえ、案外作り話ではないかもしれませんよ。かの平安時代最高の美女といわれた小野小町がそれに当てはまると思います。美しすぎたがゆえに、深草中将を焦がれ死にさせた報いで醜い老婆になるまで長生きをして、最後は自分自身も若い男の魂を奪う妖女の卒塔婆小町となってしまうというお話を、聞いたことがあります。
 何事も、ほどほどがいいようですね。(笑)
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月24日 17:00
自称 美人女将さまへ>

 女将さんは、きっと長生きされるでしょう。恋多き女が短命という話は聞いたことがありません。宇野千代さんも、瀬戸内寂聴さんも、エリザベス・テイラーさんも皆さん長生きですよね。ああ、ジャニーズ命の森光子さんもそうです。
 どうも、女性の長生きの秘訣は『恋心』にあるようです。
 女将さんも、これからもたくさん良い恋をし続けて下さいね。❤
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月24日 17:13
私の適当な作り話を、上手にフォローしていただき、大変、恐縮しております。しかし、なにごとも、ほどほどというのは、時代を超えた真理なのでしょうね。

私の父は、私など足元にも及ばない大酒のみでした。でもまた、私が100回生まれ変わっても絶対になれない人格者でした。

昭和の時代には本当にいたのです。人の悪口を一切言わない。愚痴を一切言わない。文句を一切言わない。口にするのは、冗談と好きなお酒のみ。

わが父ながら、惚れ惚れします。私は早くあの世に行って、父と酒を飲みたいのだろうと思います。
Posted by 安東満 at 2010年05月24日 18:15
安東 満先生へ>

 人の悪口を言わない、愚痴を言わない---先生のお父さまは、本当に心からのお医者さまだったのですね。人間の究極である生と死に真正面から真摯に取り組めば、人の一生などというものは、善人も悪人も結局は同じであるという考えに行き着くのだと悟られていたのかもしれませんね。
 『白い巨塔』の里見先生のような方だったのでしょうね。
 そういう素晴らしいお父さまが目標として存在する安東先生は、たぶん、お幸せな方なのだと思います。今は、誰もが何を目指して進めばいいのかが判らない時代ですから・・・。
 わたしにも、「~なりたい」という人はほとんどいませんが、「~はなるまい」と、いう人なら大勢います。(爆)
Posted by ちよみちよみ at 2010年05月24日 19:43
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