天井裏の猫

yama天井裏の猫




    今から一月ほど前、我が家の天井裏がやけに騒がしくなった。

    時折、「ミー、ミー」という子猫の鳴き声まで聞こえてきた。

    奇妙に思ってベランダへ出ると、何と一階の洗濯場の屋根の上に、生まれて間もない子猫が日向ぼっこをしている。

    やがて、天井裏に猫の親子が住みついていることが判った。

    母猫と子猫が4匹。

    子猫は全身真っ黒なのが一匹、真っ白が一匹、茶と白のまじりが一匹、白黒が一匹である。

    縁の下に住みついたという猫の話は良く聞くが、天井裏というのは驚きだ。

    いったい、何処から入り込んだのか・・・。

    わたしに見られたと思った母猫は、その後は子猫たちに静かにしているように注意したものか、まるで親子は息を殺すかのようにひっそりと暮らしていた。

    それでもやんちゃな子猫は、天井の裂け目から興味深そうに時々顔を出す。

    静かなのはいいのだが、天井裏で糞尿でもされては一大事だと心配しているうちに、子猫の中でも少し大きな黒が、もはや狭くて暗い天井裏に飽きたらしく頻繁に外へ冒険に出かけるようになり、母猫も気が気ではなくなった頃、一家は別の場所へと引っ越して行った。

    その後は、しばらくは近所の家の庭などで母子がくつろぐ様子があったが、今は何処へ行ったものかぱったりと姿が見えなくなった。

    母猫は何処かの家の飼い猫のようだったので、実家へ戻ったのかもしれない。

    子猫を何匹も連れて帰ったのでは、飼い主に叱られるとでも思い、しばらく我が家の天井裏に居候していたのだろうか。

    今度子供を産む時は、ちゃんと飼い主の家で産んで欲しいものである。





  続きを読む


Posted by ちよみ at 21:07Comments(6)ちょっと、一息 47