介護殺人の現実・・・・・166
2009年09月15日
~ 今 日 の 雑 感 ~
介護殺人の現実
「献身介護の夫に猶予判決」
山口地裁(向野剛裁判長)は、9月9日午後、寝たきりの60歳の妻を殺害しようとして、殺人未遂に問われた無職の岩崎政司被告63歳に、裁判員裁判による判決として、懲役三年、保護観察付きの執行猶予四年を言い渡しました。
この事件は、、夫の岩崎被告が、今年5月15日の未明、1996年に脳出血を起こし寝たきりとなっていた妻の百合江さんの首を包丁で刺し、十日間のけがを負わせたというもので、岩崎被告本人も、その後、殺鼠剤を飲み自殺を図ったものの死にきれず、警察に自首したといういきさつでした。
この事件の場合は、幸いにも未遂に済みましたが、こうした介護殺人は、最近、多く聞かれるようになり、その大半は、夫が妻を殺害するというものです。それも、その加害者になる夫たちは、押し並べて、ほとんどたった一人で妻を介護していたという現実があります。
そして、その現実に行き詰まりを感じると、最終的にとる手段が、妻の殺害なのです。どうして、男性が女性を介護している場合にのみ、こういうことが起きやすいのでしょうか?
妻が、夫の介護疲れを理由に、夫を殺害------などという事件は、あまり聞いたことがありません。
それなのに、何故、男性ばかりが加害者になりやすいのか・・・・?わたしは、その原因の一つに、男性の間違ったプライドがあるのではないかと思うのです。男が、女のために洗濯をしたり風呂へ入れたり、下の世話をしたり、食事の用意をしたりするなどみっともない。世間体が悪いから、妻の介護をしているということも、公には出来ない。
そんな男の見栄が、夫自身を追い詰めて行き、果ては、自分一人では対処できなくなるところまで行きついた結果、最終的に選択するのが、「妻の殺害」なのです。「こんな女のために、おれはこれから一生を棒に振らねばならんのか。女は、男を介護するもので、これでは、何のために女房をもらったのか意味がない。こんな、終着点の見えない介護は、もうご免だ。いい加減にしてくれ!」-----おそらく、これが夫の本音なのでしょう。
この判決を下した裁判員たちも、「献身的な介護の末に------」と、夫の岩崎被告を気遣うような言葉をかけていたとのことですが、わたしに言わせれば、何が献身的な介護なんでしょうか。自分のエゴを貫いたばかりに、このような結果を自分自身で招いたわけで、これは、一種の虐待です。献身的介護というのなら、最後までやり通してから言って欲しいものです。
どんなに長年親身に尽くしてもらっても、途中で殺されるのでは、最初から面倒などみてもらいたくはありません。それが、介護を受ける側の本音です。
もしも、岩崎被告が、自分のプライドを捨て、隣近所に頭を下げて、自治体のサービスや様々な人たちの手を借りていれば、おそらくこんな結果にはならなかったのだと思います。もっと、弱みを見せていれば、必ず救いはあったはずなのです。
最後に、裁判員の意見を代弁した向野剛裁判長が、「肩の力を抜いて人生を過ごして下さい。奥さんとの関係は、周りと協力して見守る形で、二度と悲しませることのないように」と、言った言葉が、すべてを物語っているように思いました。
何年か前、わたしの住んでいる地域でも、この介護疲れの夫による妻殺害事件がありました。
この夫婦の場合も、また、高齢の夫が、息子夫婦にも自分が妻の介護に疲労困憊していることが言いだせず、とうとう妻を手に掛けてしまったという事件でした。
介護されている人は、おそらく、美談になるような愛情たっぷりの献身的介護などは望んでいないと思います。
介護者の犠牲を伴う愛情などより、普通に身の回りの世話をしてもらえることの方が嬉しいのです。
わたし自身も、ほぼ二年ほど、自力で身動きがとれない日々を過ごしましたから、少しは介護される側の気持ちも判るのですが、自分自身の身体が辛いことよりも、介護してくれている家族が苦しむ姿を見ることの方が、ずっと精神的ダメージになるのです。
急激な高齢化社会の中、これからは、男性が妻の介護に当たらなくてはならない立場になる場合が、より増えて来るでしょう。そうなると、もはや、「おれは、男だ。介護なんかできるか」の意地は、通用しないのです。結婚した以上、夫も妻も介護の負担は五分と五分。妻の介護をするなど、どうしても我慢できないのでしたら、結婚などしないことです。

<今日のおまけ>
お昼のワイドショーを観ていたら、映画音楽の話題を取り上げていて、「これまでに最も印象に残った映画音楽はなんですか?」と、三十代から五十代の人たちに訊ねていました。
それによると、第五位が、「フラッシュダンス」と「ウエストサイドストーリーの挿入歌色々」、第四位が、「ゴッドファーザー・愛のテーマ」、第三位が、「トップガンのオープニングテーマ」、第二位が、「サウンドオブミュージック・ドレミの歌」、そして、第一位が、
「ロッキーのテーマ」
でした。皆さんの第一位は、何ですか?
因みに、わたしの第一位は、「アラビアのロレンスのテーマ」です。ヨルダンの砂漠に鉄道を敷いてしまったという、あの壮大なスケールの映画にふさわしい、テーマ曲だと思います。主演のピーター・オトゥールの名演も光りました。
ところで、最近、「ナガブロ」のつながりが悪いと思いませんか?
お昼頃などは、特にひどいため、コメントを書き込むときは、必ず、コピーを設定してから書き込みをクリックするようにしています。せっかく書いたのが吹っ飛んでしまっては、気分が萎えてしまいますから。
皆さんは、こんな時、どうされていますか?(?_?)
お昼のワイドショーを観ていたら、映画音楽の話題を取り上げていて、「これまでに最も印象に残った映画音楽はなんですか?」と、三十代から五十代の人たちに訊ねていました。
それによると、第五位が、「フラッシュダンス」と「ウエストサイドストーリーの挿入歌色々」、第四位が、「ゴッドファーザー・愛のテーマ」、第三位が、「トップガンのオープニングテーマ」、第二位が、「サウンドオブミュージック・ドレミの歌」、そして、第一位が、
「ロッキーのテーマ」
でした。皆さんの第一位は、何ですか?
因みに、わたしの第一位は、「アラビアのロレンスのテーマ」です。ヨルダンの砂漠に鉄道を敷いてしまったという、あの壮大なスケールの映画にふさわしい、テーマ曲だと思います。主演のピーター・オトゥールの名演も光りました。

ところで、最近、「ナガブロ」のつながりが悪いと思いませんか?
お昼頃などは、特にひどいため、コメントを書き込むときは、必ず、コピーを設定してから書き込みをクリックするようにしています。せっかく書いたのが吹っ飛んでしまっては、気分が萎えてしまいますから。
皆さんは、こんな時、どうされていますか?(?_?)
他人の話を聞かない人・・・・・184
子供の叱り方・・・・・183
血液型で判る積極性・・・・・182
ユナイテッド航空93便は何処へ行った?・・・・・181
日本人の謝罪は謝罪にあらず・・・・・180
意外と知らない行司の世界・・・・・178
子供の叱り方・・・・・183
血液型で判る積極性・・・・・182
ユナイテッド航空93便は何処へ行った?・・・・・181
日本人の謝罪は謝罪にあらず・・・・・180
意外と知らない行司の世界・・・・・178
Posted by ちよみ at 23:32│Comments(4)
│ちょっと、一服・・・・・ Ⅸ
この記事へのコメント
ちよみさん こんばんは~
私は幼いころから
スクリーンミュージックが
大好きでした♪これは親の影響かも・・・^^
特に「太陽がいっぱい」の
アランドロン主演の映画が
何とも強烈な印象です
あの切ない音楽とドロンの目が
何とも言えません♫
また ロミオとジュリエットの
中で歌われた曲も忘れられません
サウンドミュージックを見て
私は 声楽家になりたいと思った
ものです♪ジュリー&リュースの
あの澄んだ歌声に 惹かれました
(=^・・^=)
私は幼いころから
スクリーンミュージックが
大好きでした♪これは親の影響かも・・・^^
特に「太陽がいっぱい」の
アランドロン主演の映画が
何とも強烈な印象です
あの切ない音楽とドロンの目が
何とも言えません♫
また ロミオとジュリエットの
中で歌われた曲も忘れられません
サウンドミュージックを見て
私は 声楽家になりたいと思った
ものです♪ジュリー&リュースの
あの澄んだ歌声に 惹かれました
(=^・・^=)
Posted by 福寿荘 女将
at 2009年09月16日 20:20

福寿荘 女将さまへ>
福寿荘さんは、声楽家志望だったんですね。素晴らしいです!!☆
歌声の素敵な人は、実に魅力的ですよね。サウンドオブミュージックも、エーデルワイスやドレミの歌が、雄大なスイスの山の風景と相まって、とても感動的でした。
エーデルワイスで、思い出しましたが、昔、防衛医大の学生たちと集まりがあった時、一人の防医生が、すっくと立ち上がり、ドイツ語でこの歌を歌ってくれたのが、とても印象的でした。
ロミオとジュリエットも、オリビア・ハッセーが、可憐でしたね。
そして、おっしゃるように、「太陽がいっぱい」---これを忘れていました。アラン・ドロンのあの透き通るような青い瞳が、ガラス細工のような青年の企みの危うさを、見事に表現していましたね。映画音楽の最高傑作ですね。
水野晴男さんではないですが、「映画音楽って、本当に、素晴らしいですよね」♫
福寿荘さんは、声楽家志望だったんですね。素晴らしいです!!☆
歌声の素敵な人は、実に魅力的ですよね。サウンドオブミュージックも、エーデルワイスやドレミの歌が、雄大なスイスの山の風景と相まって、とても感動的でした。
エーデルワイスで、思い出しましたが、昔、防衛医大の学生たちと集まりがあった時、一人の防医生が、すっくと立ち上がり、ドイツ語でこの歌を歌ってくれたのが、とても印象的でした。
ロミオとジュリエットも、オリビア・ハッセーが、可憐でしたね。
そして、おっしゃるように、「太陽がいっぱい」---これを忘れていました。アラン・ドロンのあの透き通るような青い瞳が、ガラス細工のような青年の企みの危うさを、見事に表現していましたね。映画音楽の最高傑作ですね。
水野晴男さんではないですが、「映画音楽って、本当に、素晴らしいですよね」♫
Posted by ちよみ
at 2009年09月16日 20:48

昨日から看護士、介護士の皆さんと山形に来ています。
私の母も介護士の仕事をしていましたが、定年延長はしませんでした。かなり、体力のいる仕事で精神的にも大変です。
仕事でも大変なのですから身内ならもっと大変で苦しいと思います。ある意味、赤の他人だからこそできる。という点はあると思います。
私の母も介護士の仕事をしていましたが、定年延長はしませんでした。かなり、体力のいる仕事で精神的にも大変です。
仕事でも大変なのですから身内ならもっと大変で苦しいと思います。ある意味、赤の他人だからこそできる。という点はあると思います。
Posted by ティンク at 2009年09月17日 12:11
ティンクさまへ>
ティンクさん、山形なんですね。
今日も、天気が良くて、よかったです。
お客様は、看護師さんや介護士さんたちですか。ティンクさんのお母さまが、同じ介護職を経験されているということで、日々のご苦労のお話など、ティンクさんも会話のお相手が出来ますね。
介護士さんは、本当に体力を使うお仕事ですし、高齢者の方たちをケアするのは、集中力や根気、気配りも必要ですから、並大抵の苦労ではないでしょう。大抵の介護士さんは、四十代までで疲労や腰痛を理由に、やめられると聞きますから、お母さまは、とても頑張られたと思います。
その大変な介護を、誰にも相談せずに、いや、出来ずに、たった一人で完璧にこなそうとするのは、絶対に無理があると思います。こういう、高齢者化社会においては、認知症や寝たきりは恥ずかしいなどという気持ちは、捨てるべきですね。
ティンクさんの言われるように、赤の他人の力だからこそ、出来ることもありますよね。
ティンクさん、山形なんですね。
今日も、天気が良くて、よかったです。
お客様は、看護師さんや介護士さんたちですか。ティンクさんのお母さまが、同じ介護職を経験されているということで、日々のご苦労のお話など、ティンクさんも会話のお相手が出来ますね。
介護士さんは、本当に体力を使うお仕事ですし、高齢者の方たちをケアするのは、集中力や根気、気配りも必要ですから、並大抵の苦労ではないでしょう。大抵の介護士さんは、四十代までで疲労や腰痛を理由に、やめられると聞きますから、お母さまは、とても頑張られたと思います。
その大変な介護を、誰にも相談せずに、いや、出来ずに、たった一人で完璧にこなそうとするのは、絶対に無理があると思います。こういう、高齢者化社会においては、認知症や寝たきりは恥ずかしいなどという気持ちは、捨てるべきですね。
ティンクさんの言われるように、赤の他人の力だからこそ、出来ることもありますよね。
Posted by ちよみ
at 2009年09月17日 12:39

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。