励まし言葉の大間違い・・・・・165

~ 今 日 の 雑 感 ~


励まし言葉の大間違いface08


    あなたは、入院中の患者さんを励ます時、どのような言葉をかけることが多いですか?

    たとえば、こんな言い方をしたこと、ありませんか?

    「わたしの知り合いにも、同じ病気をしたことのある人がいるんだけれど、あなたの方が、全然軽いから、心配いらないわよ。その人も、今は、すごく元気になって、バリバリ仕事しているから」

    これは、一見、とても相手を勇気づける言葉のように思われますが、必ずしも、患者の気持ちを楽にする訳ではないのです。つまり、それは、見舞いに来ている人本人の話ではないですよね。励まし言葉の大間違い・・・・・165

    要は、他人の経験談です。たとえそれが、真実だとしても、ワンクッション置いた立場での伝聞は、深刻な病気を抱えた患者にとって、ほとんどリアル感がありません。

    聞かされた患者は、「そうだね。そういう人もいるなら、わたしも頑張らなくっちゃね」とは、言いますが、大半がお義理の反応なのです。患者の気持ちの中に、「わたしは、その人じゃない。あなたに何が判るのか。勝手なことを言わないでくれ」という憤懣を植え付けるのが落ちなのです。

    しかし、もし、その見舞客自身が、そういう病気を体験した本人だったとしたら、それは、かなりの励ましになると思います。

    そうはいっても、その見舞客が、こんな言い方をしたのでは、ますます逆効果なのです。

    「何言ってるの。あなたなんかより、わたしの方が、すごい手術したんだから。あなたの病気なんか、わたしのに比べたら、軽いものよ。だから、全然心配することなんかない」

    これでは、まるで、自慢話です。患者は、今現在の自分の辛さや痛みが究極のものだと思っているのですから、そこへもって来て、「あなたのなんか、わたしの比じゃない」などと言われたら、「そうね。わたしよりも大変な経験をしているのだから、あなたの方が偉いわね」などと、言葉では応じながらも、内心は、「冗談じゃない。あなたより、わたしの方が辛さは倍だ」と、反発するものなのです。

    患者は、どんな軽症の患者でも、自分が一番大変な目に遭っているのだと思うものなのです。

    しかし、病気を経験したことのある人は、自分こそが最大の受難者なのだと、思い込む癖があるものですから、とかく、自分の体験を他人に自慢したがるきらいがありますが、そんなところで競争意識を持ち出しても仕方がないことです。

    では、どうしたら、患者の気持ちを穏やかにするよう励ますことが出来るのかというと、心から、 「大変だったね」「痛かったでしょう」「偉かったね」「あなた、勇気があるわ」「わたしの病気なんか、あなたのに比べたら軽いものね」「あなただから、頑張れたのね」-----などという、尊敬とねぎらいの言葉が、最も必要なのです。    
    
    わたしが、身体中の痛みで泣き言を言ってばかりいた時、わたしの伯父が、「そんな痛みは序の口だ。おれの痛みなんか、そんなものじゃない」と、いうので、わたしは、自分自身が体験している、この立ち上がることも出来ないほどの痛みよりも凄い痛みを、伯父は堪えているのかと、内心、仰天していたのですが、それが、まったくの伯父だけの思い込みだったということが、あとで判りました。

    つまり、伯父は、自分が辛いものだから、わたしよりも自分の方が大変な症状なのだと、思い込んでいたのです。それほど、伯父にとっては、今まで経験したことのない痛みだったのでしょうが、医師の話から、伯父の痛みと、わたしの痛みを比べれば、痛みの種類は異なるものの、わたしの痛みの方が、数十倍の激痛だということが判りました。

    それほど、他人の痛みというものは、判らないものなのです。face07

    「自分の方が上」「自分の方が、大変」「自分の方が、我慢した」-----そんな言葉は、聞かされる側の患者の反発を招きはしても、決して励ましなどにはならないのです。

    わたしは、自分の経験から、常に、こんなことを考えながら、病院へお見舞いに行きます。

    皆さんも、周りに病気の方がおられたら、ぜひとも、尊敬とねぎらいの言葉をかけて差し上げて下さい。それが、患者にとっては、大いなるエネルギーの源になるのですから。icon06

    
  

    

<今日のおまけ>

    フィギュア・スケートの安藤美姫と、コーチのニコライ・モロゾフ氏、いつも感じていたんですけれど、二人、すごく親密そうに試合の打ち合わせなどしていましたよね。

    同じモロゾフコーチに指導を受けている村主章枝には、ごくあっさりと励ましを与えるぐらいなのに、ミキティーには、とても丁寧で、あの激励ぶりや、連続三回転ジャンプが成功した時の喜びようは、ものすごくて、テレビ観戦しているこちらまで、力が入ってしまうほどでした。

    どうして、彼は、あんなにもミキティーにばかり真剣なのかと、奇妙に感じていましたが、今日の新聞の広告欄を見て、「な~んだ、やっぱりね」と、納得してしまいました。

    モロゾフコーチは、まだ三十三歳。なのに、既にバツ3---。

    大丈夫か、ミキティー?

    もはや、そういうことなら、頼むから、来年の冬季オリンピックまでは、いい雰囲気のままで続いていてほしいものです。icon06 



    
    
ところで、

イチロー選手、
9年連続200本安打達成、
おめでとう!!


日本人て、やっぱり大した国民です。icon22





    でも、今、ヤフーニュースを読んでいたら、このイチロー選手の大記録は、アメリカのメディアは、ほとんど報道していないんだそうですね。ジーターの球団記録は、大騒ぎで報道したのに、やっぱり、これって、アジア人差別なんでしょうか?

    いや、アメリカという国は、ものすごい内向きの国民性を持っているから、自国の人間以外は、野球選手と認めていないのかもしれません。そんなことだから、WBCでも、負け続けるんです。

    彼らは、いつまで「井の中の蛙」で、満足し続けるのでしょうか?face03

    

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この記事へのコメント
身に詰まるお話です。
病気・・・って聞いただけで 凄く落ち込んでいるのに 他人の事など あまり聞きたくないですよね、
逆に 大部屋だったりすると、自分と同じ症状で直らなかった人の事とか 平気で話題にしてる人もいたりして(私の亡くなった祖母の隣のベットの見舞い客ですが・・)凄く落ち込んでしまったり、
お見舞いの言葉って 病人は敏感になっているので 選ばなくてはと思います。

*ミキティー、いつも応援してます。
 以外や以外・・・私情は挟んでほしくないけど、どうなんでしょう?
Posted by 艶や華艶や華 at 2009年09月15日 10:26
艶や華さまへ>

 そうなんですよね。
 病人は、自分のことで精いっぱいなのですから、他人の体験談に耳を傾ける余裕などないのが普通なのです。
 しかし、自分がその最も苦しいところを過ぎてしまうと、そのことを忘れてしまうのも、また患者なのです。自分は、病に打ち勝った勝者なのだという自負が、相手よりも自分の方が症状は重かった---などという、自慢話になってしまうようなのです。
 大部屋の病室での、見舞客の会話は、隣のベッドの人にも筒抜けですから、出来るだけ、病気の話題は避けた方がいいですよね。治らなかった人の話など、聞きたくはありませんから。
 病人の方が、症状を話す場合はともかく、見舞客の方から、そういう話題を持ち出すのは、控えた方がいいと思います。

 ミキティーの力強いスケートは、わたしも好きなんです。モロゾフコーチの入れ込みようは、見ているこちらまで圧倒されますよね。でも、フィギュアスケートは、あくまでも競技なのですから、艶や華さんのおっしゃるように、そこに私情は挟んで欲しくないと思います。
Posted by ちよみちよみ at 2009年09月15日 12:33
 ちよみさん、優しい言葉ありがとうございました。 ちよみさんの辛いきりくちと、その奥にあるやさしい真心感じます。
 今日の、励まし言葉の大間違い、今日もまた、ほんとーに同感です。
 昨日も同じような事を書きましたが、常々思っていることを、ズバーッと書いて戴き、心が晴れ晴れします。
 私は小心者で、ちよみさんのように堂々と書けないのですが、 「大変だったね」「痛かったでしょう」「偉かったね」「あなた、勇気があるわ」「わたしの病気なんか、あなたのに比べたら軽いものね」・・・その通りだと思います。
 大分前になりますが、私も同僚から言われたことは、相手から悩みを告白された場合は、逆らってはいけない。説得しようと思ったらいけない。相手の言葉にイエスと言えば良いと。
 未熟な私は、以前 言われたとおり、相手の言葉を繰り返すだけです。「痛いんだ!」と言われたら「そぅ ・・・痛いんだー・・・」と。
 ちよみさんの考えと、チョット違っちゃいましたか?
Posted by みやもんたみやもんた at 2009年09月15日 22:24
みやもんたさまへ>

 お読み頂き、ありがとうございます。
 わたしは、いつも思ったことをストレートに書き過ぎるので、もう少し、オブラートにくるんだ方がいいのでは?などと、言われることもあるのですが、「一を聴いて十を知る」ということが希薄になっている昨今、どうしても、こうした書き方にならざるを得ないのです。書くことで、自分の溜飲を下げているということもあるのですけれど…。
 時には、お気に触るような記述もあるかもしれませんが、各別の意図がある訳ではありませんので、読み飛ばして下さい。

 おっしゃるように、病人に対しては、相手を否定したり、助言したりは、極力避けた方がいいと思います。助言は、医師や看護師さんが適切に行ってくれますから、面会人は、病状を聴く程度で、あまり踏み込んだ会話はしない方がいいと思います。(これは、わたし自身の経験でもあります)
 それから、「がんばってね」も、禁句だそうです。患者は、既に、頑張るだけ頑張っているのですから・・・。
 また、退院したら何をしようというような、将来の話をするのが、良いとも聞きました。わたしも、「退院したら、絶対この病院での経験を小説に書くぞ」と、担当医に宣言して、乗り切りました。それが、~七人の外科医~です。♪
Posted by ちよみちよみ at 2009年09月15日 23:14
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