帰りたい場所は、何処ですか?・・・・・427

~ 今 日 の雑 感 ~


帰りたい場所は、何処ですか?



    養護老人ホームなどで生活をしている認知症の高齢者によくみられる症状に、「帰宅願望」があるといいます。

    「自分のいるべき場所は、こんな所ではないから、早く帰して欲しい」と、職員に頼むのだそうです。

    職員は、毎度のことなので、「ここが、〇〇さんの新しいお家なんだよ。お友達もいるから、寂しくないでしょう?」と、なだめながら高齢者を部屋へ戻すのだそうですが、十分も経つと、また、

    「家へ帰りたいので、送ってくれ」と、頼みに来るのだそうです。帰りたい場所は、何処ですか?・・・・・427

    それがあまりに頻繁なので、一度、その高齢者がかつて住んでいた家へ連れて行けば、少しは納得してくれるのかと思い、自動車に乗せて連れて行くこともあるといいますが、何故か、その元住んでいた住居を見ても、あまり懐かしがることがない人が多いのだそうです。

    殊に、女性の高齢者にそういう傾向が見られるので、「あれほど、帰りたいと言っていたのに、どうして?」と、職員たちも不思議に思うのですが、その理由は、わたしには、とてもよく判ります。

    何故なら、職員たちがその女性高齢者を連れて行くのは、彼女の本当の家ではないからです。

    それは、嫁ぎ先のご主人の家であり、彼女が嫁として働いていた、いわゆる職場なのです。そんな職場に、何十年も住んでいたからといって、そこは、結局、最後まで彼女の家ではありません。

    つまり、そういう女性高齢者が帰りたい家は、彼女たちが生まれ育った実家であり、「帰りたい」と、言っている彼女たちのその時の精神年齢は、ほぼ十代の、人生の中で一番楽しかった頃に逆戻りしていることが多いのです。

    自分の父親がいて、母親がいて、いつ帰っても安心出来る最良の場所。-----彼女たちは、そこへ帰りたいと願うのです。

    こんなことを言うと、ご主人たちには気の毒かもしれませんが、結婚している間は、本当にご主人のことを愛しているように見える奥さまも、実は、その深層心理では、やはり、無意識の仮面をかぶっているものなのです。

    それは、たとえ自分の子供に対してでも、同様のことが言えるようです。子供の前でも、しっかりとした優しい母親を演じている彼女たちは、決して真の姿を見せません。

    認知症になり、再び心が子供時代に戻った時に見せる姿こそ、その女性の真実の姿なのではないでしょうか?

    わたしの家のご近所のおばあさんも、生前、わたしの父に、「段ボールと縄をもらいたい」と、頼んできたことがあり、父が驚いて、「そんなものをどうするんですか?」と、訊ねたところ、「これから実家へ帰るので、荷造りをするのだ」と、言うのです。

    でも、そのおばあさんの実家は、既に誰も住む人がいないので何年も前に取り壊されたと、聞いていましたから、父は、そのおばあさんの家のお嫁さんにそのことを伝えると、お嫁さんは、とても驚いていたそうです。

    この前、新聞に、こんな俳句が掲載されていました。

    嫁し経ても  心の春は  山向こう

    この家へ嫁いで来て、もう何十年も経つけれど、やはり、わたしの心の中に描く春の景色は、山の向こうの実家の家族と迎えた春なんですよ。

    そう考えると、高齢者の「帰宅願望」も、決して不思議なことではなく、人間なら誰しも懐く当たり前の気持ちなのではないかと、思うのです。

    

<今日のおまけ>

    フィギュア・スケートを見ていて思うのですが、日本の選手は、どうして、ペアやアイスダンスをやろうと思う選手が少ないのでしょうか?

    やはり、二人で組むということは、二人の練習時間を合わせなければならないということで、学生には練習時間の取り方も難しかったりするためなのでしょうか?

    確かに、兄妹とか夫婦でしたらそういう問題も何とかクリア出来るかもしれませんが、赤の他人同士では、そう都合のよい具合にはいかないでしょうね。

    日本には、シングルで活躍する選手が多いのですから、その中でペアやアイスダンスへの転向を希望する選手たちが出て来ても不思議ではないと思うのですが、女子選手よりも、男子選手の方に抵抗感が強いのかもしれません。

    たとえ、お芝居とはいえ、氷上で愛を語り合ったりする訳ですから、照れの方が先に立ち、男の沽券にかかわると、考える人もいるのでしょう。

    それに、男子選手の身長や腕力も関係してきますから、体格的にも簡単な問題ではないのかもしれませんね。




    二日ばかり、歯医者さんに通っています。カルシウムの異常分泌で歯石が付きやすくなり見苦しかった歯も、白く綺麗になってピッカピカです。

    やっぱり、プロってすごいですね~。face02




   

    

    

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この記事へのコメント
こんにちは。

私は、好き放題に生きて、ポックリ死んでやろうと決めています。人に殺されるのも、まったく怖くありません。だから、人を怒らすなんて、へっちゃらです。

でも、やっぱり自分の一番なつかしい心の故郷は、生まれ育った愛媛県の新居浜市です。もう、父も母も、あの世に行ってしまいましたが、でも、その父、母、と過ごした家が、一番、安らげる場所だと思います。

今、私は岡山市に住んで、自宅を建てました。「岡山発、世界へ!」をモットーに、毎日、デカイことばかり言って暮らしています。

思いっきり生きて、ある日、ポックリ、あの世に行って、父や母に会うのが、楽しみでたまりません。その日まで、ド根性で生きていきます。

あの世でも、アルコールばかり飲んで過ごす予定です。みなさん一緒に、楽しみましょう。
Posted by 安東満 at 2010年03月12日 13:16
賛成~!!!

私も一度死に掛けた人間です!!!

人間何事も死ぬ気でやれば何でも出来る!
・・・が私のモットーです^-^

救急車で運ばれるのと同じで硬ゆで卵をご持参しますか・・・???
潰さないに・・・~~(笑)
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2010年03月12日 17:27
女将さん

硬いほうが好きなのは、ほんとに卵なのですか?
Posted by 安東満 at 2010年03月12日 18:15
安東 満先生へ>

 コメント、ありがとうございます。
 自分が生まれ育った故郷の景色は、その空気の匂いや土の感触などとも相まって、何処へ行っても忘れることが出来ないものですよね。

 先生にとっては、ご両親と暮らした新居浜市がやはり心の故郷なんですね。

 わたしは、正に現在の場所に生まれ育った土着民ですから、何処へ行っても帰る場所はここしかないと思っています。

 先生の亡くなられたご両親も、きっと、先生とご一緒にお酒を飲む日を楽しみにされていると思いますよ。
Posted by ちよみちよみ at 2010年03月12日 20:43
自称 美人女将さまへ>

 人間死ぬ気でやれば、怖いものなしですね。大病を克服された女将さんだからこそ、言葉にも説得力があります。

 でも、安東先生とかたゆで卵を握りしめて救急車に乗るのだけは、ご勘弁を!

 S先生が腰を抜かしますよ。(爆)
Posted by ちよみちよみ at 2010年03月12日 20:51
この場をお借りしまして、ちよみ様失礼致します~~

安東先生!!!
硬い方がいぃ~に決まってます!!!^-^

それが卵とは限りませんがね・・・~~


S先生・・・対応に困ると思います><
避けましょう・・・
Posted by 自称 美人女将自称 美人女将 at 2010年03月13日 09:48
自称 美人女将さまへ>

 お気遣いなく、どうぞお使いください。
 
 女将さんと先生の会話は、いつも楽しいですね~。(笑)
 因みに、わたしの硬い方が好きな物は、「桃」です。まだ、熟す前の桃の実を、ガブリとかじるのが大好きです。♫
Posted by ちよみちよみ at 2010年03月13日 11:49
ちよみさん、女将さん、私のブログへのコメント、ありがとうございました。

私は、医者とはいっても、ほんとに好き放題に生きている、ただのバカな男です。

どんどん面白いコメント、お願いいたします。人間、笑っていれば、いいのです。あと、夜はゆっくり布団で眠りましょう。
Posted by 安東満 at 2010年03月13日 19:37
安東 満先生へ>

 安東先生って、本当にお医者さまなの?---と、いうような、楽しくてためになるブログを、また読むことが出来て嬉しいです。
 女将さんとの機知に富んだ会話を、期待しております。(笑)
Posted by ちよみちよみ at 2010年03月13日 20:42
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