ファッションが持つ意味・・・・・842
2010年11月21日
~ 今 日 の 雑 感 ~
ファッションが持つ意味
皆さんは、自分が着る服を選ぶ時、何に気をつけて選んでいますか?
自分の個性?バッグや靴などとのコーディネイト?

それとも、会社の上司や恋人の好みでしょうか?
皇后美智子さまのデザイナーとして活躍、国際的な社交界に身を置いてきた芦田淳さんは、今の人たちのファッション感覚は控えめなところが薄れ、人よりも目立とうという意識ばかりが先行し、
「生活の中に息づく美意識」
が、抜け落ちていると、指摘します。
世の中は豊かになり、人々のファッションへの関心も時代を追うごとに旺盛になっては来ましたが、それと同時に最も大切なことが次第に忘れ去られて行っていると、芦田さんは危機感を感じているのです。
それは、「人とふれあう時に相手を喜ばせるといった社交的なマナーが、日本人には定着していない」と、いうことなのです。
かつて、まだ日本人が貧しかった時代、着物や洋服の着方には作法がありました。それは、これから会いに行く人に対して、失礼にならないようにしようという配慮から生み出された生活の知恵でもあったのです。
ファッションを見せる対象者は、何も個人に限ったことではありません。
街へ出れば、通りすがりの人に対しての配慮も必要となるのです。独自性の中にも、上品さや決めごとは踏まえて装うというスタイルが大切だと、芦田さんは説くのです。
カジュアル化が加速し、改まった席と休日の服装に大きな差がなくなってしまった現在では、近所へ買い物に出かけるような服装のまま、歌舞伎やオペラ鑑賞に出かけてしまう人たちも多いといいます。
芦田さんは、歌舞伎を鑑賞する際には、それなりの格式高いファッションで行くべきであるという理由として、「素晴らしい演技をした役者さんへの敬意を表するため----」と、説明します。
以前も書きましたが、わたしが英会話スクールに通っていた時、外国人教師が真冬にアロハシャツを着てきたことがあり、これを経営者の女性がとがめたことがありました。
「日本には、四季というものがあり、服装もその四季に合わせるのが常識です。あなたはそれで満足かもしれないけれど、あなたのファッションを見せられる相手の気持も考えて下さい」
外国人教師は、最初は何を言われているのか良く理解できないようでしたが、わたしたち生徒が、「何故、冬にはスクールの冷蔵庫内に冷たい麦茶が用意されていないのか?」という意味を説明して、日本人の感性について話したところ、彼はそのあまりの繊細さに仰天したものでした。
しかし、自分以外の人たちへの配慮ということでは、日本に限らず世界のファッション界にも同様の基準があるはずです。
いえ、基準というよりも、人としてのモラルとでも表現した方が良いかもしれません。
もちろん、ファッションは自分自身を引き立て、主張するものですが、その主張が独りよがりになってしまっては元も子もないのです。
あなたの着ている服は、季節や街の雰囲気を壊してはいませんか?周りの人たちが不快に思うものではないですか?
そして、その場にふさわしく、また相手への敬意を持っていますか?
時々は、そんなことにも思いを巡らせてファッションを選んでみてはいかがでしょうか。
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