別れの常とう句・・・・・843
2010年11月22日
~ 今 日 の 雑 感 ~
別れの常とう句
「きみには、ぼくよりもふさわしい男が必ず見つかるはずだよ」
実に、よく聞く常とう句ですよね。
男性が恋人に別れ話を切り出す時の、ベタベタのマニュアル語と言っていいでしょう。
でも、男性は本心からそう思っているのか----?
これが案外、本当にそう思っている----いや、そうなって欲しいと願っている物なのです。
何故なら、今の彼女には恋愛感情はないが、それでも、付き合っていた時は、彼女の素晴らしい面もたくさん見たし、彼女が親切で優しい女性だということも判っているから、とても、「もう、きみが嫌いだ」なんて、口が裂けても言えないものなのです。
それに、結局は男性の自分勝手で彼女と別れたいのですから、当然、彼女から恨まれることだってある訳で、万が一復讐なんて考えだされたら、怖いし、かといって、自分だけが悪者になりたくはないので、
「彼女にいい男が出来て、おれのことなんかきれいさっぱり忘れてくれればいいなァ・・・」
なんて、ど~しようもない勝手な理屈を思い描いてもいるのです。
つまり、どれほど回りくどい言い方をしても、つまりは、
「もう、ぼくはきみとはやって行けないので、頼みますから別れて下さい。そして、こんなぼくを恨まないで下さい」
と、いうことなのです。本当に、腰抜けもいいところですよね。
しかし、男性が心から彼女の幸せを思うのなら、「きみが嫌いだ!頼むから別れてくれ」と、言うべきなのですが、彼女の記憶に、自分は悪い男だというイメージを刻みたくはないという気持ちの方が先行して、こういう自己保身的な言葉しか思いつかないのが男の悲しい性なのです。
ところが、「おれのことなんか、きれいさっぱり忘れてくれればいい」と、思いつつも、その女性のことをいつまでも思い続けるのは、むしろ男性の方。
「けんか別れした訳じゃないもんな」
なんて、シレっと考えて、時々、「あの子、まだおれのこと好きかな?」などというおめでたい妄想をふくらませたりもするのです。
男は、一度好きになった女を、決して忘れない。
でも、女の方は----?
自分を捨てた男のことなど、脳味噌の片隅にだって残しておきたくはないものなのです。
